大学入学共通テスト(地理歴史) 過去問
令和6年度(2024年度)本試験
問68 (地理B(第1問) 問3)

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問題

大学入学共通テスト(地理歴史)試験 令和6年度(2024年度)本試験 問68(地理B(第1問) 問3) (訂正依頼・報告はこちら)

世界の自然環境と自然災害に関する次の問いに答えよ。

次の図4中のD~Gは、ヨーロッパのいくつかの地域でみられる海岸付近の地形を示したものである。また、後の文は、図4中のいずれかの地域における海岸の特徴について述べたものである。Eに該当するものを、後の文のうちから一つ選べ。
問題文の画像
  • 沿岸流で運ばれてきた土砂の堆積により、入り江の閉塞が進行している。
  • 河川の侵食で形成された谷が沈水し、海岸線が複雑な入り江が連なる。
  • 大河川の河口部が沈水してできた深い入り江がみられる。
  • 氷食谷が沈水してできた深い入り江がみられる。

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この過去問の解説 (3件)

01

正答は「氷食谷が沈水してできた深い入り江がみられる。」です。

 

海岸地形の特徴を復習しながら各選択肢を検討しましょう。

選択肢1. 沿岸流で運ばれてきた土砂の堆積により、入り江の閉塞が進行している。

これはGの解説です。

 

近隣の河川からの土砂の流入と堆積により、ラグーンが形成されています。

日本ではサロマ湖や十三湊が代表的です。

選択肢2. 河川の侵食で形成された谷が沈水し、海岸線が複雑な入り江が連なる。

これはDの解説です。

 

河川の河口付近で地盤の沈降や海水面の上昇が起き、谷が沈水した結果、リアス式海岸が形成されています。

選択肢3. 大河川の河口部が沈水してできた深い入り江がみられる。

これはFの解説です。

 

大河川の大きな三角州が沈降し、扇形の巨大な入り江が形成されます。

エスチュアリー(三角江)と呼ばれる地形で、イギリスのテムズ川が代表的です。

選択肢4. 氷食谷が沈水してできた深い入り江がみられる。

これがEの解説に当たり、正答です。

 

表食谷(U字谷)が陸地の奥深くまで延び、氷期時代に形成された巨大な氷河の残滓です。

ヨーロッパではノルウェー西岸のフィヨルド地帯が有名です。

まとめ

自然地形の特徴は、それらが形成された過程を踏まえながら理解すると楽しくなりますね!

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02

4つの海岸線の地形図の中のEに適合する説明文を選ぶという問題です。

海岸線は地形や成り立ちによって様々な種類があります。Eの湾は複雑な形をして、陸地に深く入り込んでいます。このような湾の形状はフィンランドに見られるフィヨルドです。フィヨルドは氷食谷が沈水(水に沈むこと)してできた深い入り江がみられる形状です。

説明文の「氷食谷が沈水してできた深い入り江がみられる」が正解になります。

選択肢1. 沿岸流で運ばれてきた土砂の堆積により、入り江の閉塞が進行している。

沿岸流(海岸に沿って平行する海水の流れ)によって運ばれた土砂が堆積して、海中に細長く突き出た「砂州」や「砂嘴(さし)」が形成されます。このような地形ができると、入り江が狭まったり塞がったりする閉塞が進行して「潟」や「潟湖(せきこ)」ができます。

この説明はGの海岸線の説明です。

選択肢2. 河川の侵食で形成された谷が沈水し、海岸線が複雑な入り江が連なる。

河川の浸食で形成された谷が沈水してできる地形は「リアス式海岸」です。湾の幅が不規則で、入り江や半島が連続する特徴があります。

日本では岩手県の三陸海岸や三重県の志摩半島に見られます。

Dの図の説明になります。

選択肢3. 大河川の河口部が沈水してできた深い入り江がみられる。

大河川の河口部の土地が沈水してラッパ状に開いた入り江がみられます。このような地形は「三角江(さんかくこう)」といいます。

図Fの説明になります。

選択肢4. 氷食谷が沈水してできた深い入り江がみられる。

氷食谷(ひょうしょくこく)とは、氷河が移動することにより浸食されて形成された谷のことです。この谷が沈水して氷食谷が海面下に沈んでできた地形が、フィヨルドです。

かなりの陸地に及んでいるのが特徴です。図Eの説明に当てはりますので、この説明文が正解になります。

まとめ

フィヨルドとリアス式海岸は似ていますが、フィヨルドは氷食谷が沈水してできたもので、リアス式海岸は河川の浸食でできた谷が沈水してできたものです。

この違いを理解しておきましょう。

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03

Eに当てはまるのは

「氷食谷が沈水してできた深い入り江がみられる。」です。

 

図4-Eでは、細長く入り込む多数のV字状の入江と、海に浮かぶ小島が網目状に連なる典型的なフィヨルド地形が読み取れます。

フィヨルドは氷河が削った谷(氷食谷)が海面上昇で水没してできるため、海岸線が極めて複雑になります。

選択肢1. 沿岸流で運ばれてきた土砂の堆積により、入り江の閉塞が進行している。

これは砂嘴や干潟が発達するラグーン・ハッフ海岸を指します。

広い湾口を砂州がふさぎつつある単純な曲線状海岸が特徴ですが、Eは無数の細長い入江が刻まれた入り組んだ海岸線であり、形態が一致しません。

選択肢2. 河川の侵食で形成された谷が沈水し、海岸線が複雑な入り江が連なる。

ここで言うリアス海岸は谷幅が比較的広く、入江は樹枝状に分岐してもフィヨルドほど細長く深くありません。

Eの入江は幅が狭く奥行きが長い点でリアスよりフィヨルドに近い姿です。

選択肢3. 大河川の河口部が沈水してできた深い入り江がみられる。

河口エスチュアリは1本の大きな入り江が川の浸食谷を拡幅して形成します。

Eのように多数の細い入り江が並列する形にはなりません。

選択肢4. 氷食谷が沈水してできた深い入り江がみられる。

氷河による直線的で急深なU字谷が複数沈水し、狭長な入江と小島が網状に分布します。

図4-Eの海岸線はまさにこの特徴を示しており、北欧西岸などにみられるフィヨルド海岸と判断できます。

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