マンション管理士の過去問
平成26年度(2014年)
問31

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問題

マンション管理士試験 平成26年度(2014年) 問31 (訂正依頼・報告はこちら)

甲マンション(専有部分の総数は20戸、各専有部分の床面積は等しい。)は、組合員Aが4戸、組合員Bが3戸、組合員Cが2戸、その他に11人の組合員が各1戸を所有している。この場合における管理組合の総会における決議に関する次の記述のうち、標準管理規約によれば、適切なものはどれか。ただし、総会には全組合員が出席しているものとし、各組合員の議決権は、共有持分の割合によるものとする。
  • 甲マンションの建替えは、B及びCが反対しても、それ以外の組合員が賛成であれば、実施することができる。
  • 計画修繕工事に関し、外壁補修工事、給水管更新工事及びエレベーター設備更新工事は、A、B及びCが反対しても、それ以外の組合員が賛成であれば、実施することができる。
  • バリアフリー化工事に関し、階段部分を改造しエレベーターを新たに設置する工事は、A及びCが反対しても、それ以外の組合員が賛成であれば、実施することができる。
  • 窓枠、玄関扉の一斉交換工事は、A、B、C及びその他の組合員のうち2人の計5人が反対しても、それ以外の組合員が賛成であれば、実施することができる。

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この過去問の解説 (3件)

01

組合員14人、専有部分の総数は20戸、各専有部分の床面積は等しいため、決議によって以下のような組合員、議決権の賛成が必要となります。

普通決議 過半数となる議決権11戸分以上の賛成(組合員半数以上の出席が必要ですが、今回全員出席なので充足しています。)

特別決議 4分の3以上となる組合員11人以上、議決権15戸分以上の賛成

建替決議 5分の4以上となる組合員12人以上、議決権16戸分以上の賛成

選択肢1. 甲マンションの建替えは、B及びCが反対しても、それ以外の組合員が賛成であれば、実施することができる。

不適切

建替決議となります。賛成組合人は12人ですが、賛成議決権は15戸分となり、不成立です。

選択肢2. 計画修繕工事に関し、外壁補修工事、給水管更新工事及びエレベーター設備更新工事は、A、B及びCが反対しても、それ以外の組合員が賛成であれば、実施することができる。

適切

普通決議となります。賛成議決権は11戸分となり、成立します。

選択肢3. バリアフリー化工事に関し、階段部分を改造しエレベーターを新たに設置する工事は、A及びCが反対しても、それ以外の組合員が賛成であれば、実施することができる。

不適切

特別決議となります。賛成組合員は12人ですが、賛成議決権は14戸分となり、不成立です。

選択肢4. 窓枠、玄関扉の一斉交換工事は、A、B、C及びその他の組合員のうち2人の計5人が反対しても、それ以外の組合員が賛成であれば、実施することができる。

不適切

普通決議となります。賛成議決権は9戸分となり、不成立です。

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02

組合員総数はAとBとC他11人で計14。議決権総数は4+3+2+11で20。

選択肢1. 甲マンションの建替えは、B及びCが反対しても、それ以外の組合員が賛成であれば、実施することができる。

甲マンションの建替え決議は、組合員総数の5分の4以上及び議決権総数の5分の4以上で決します。

組合員総数の5分の4は12、議決権総数の5分の4は16。

BとC以外の組合員数は12で、議決権は15なので、決議は否決され、建替えは実施できません。

よって、この設問は不適切です。

選択肢2. 計画修繕工事に関し、外壁補修工事、給水管更新工事及びエレベーター設備更新工事は、A、B及びCが反対しても、それ以外の組合員が賛成であれば、実施することができる。

計画修繕工事に関し、外壁補修工事、給水管更新工事及びエレベーター設備更新工事は、出席組合員の議決権の過半数で決します。

出席組合員の議決権の過半数は11。

A、B、C以外の組合員の議決権は11なので、決議は可決され該当工事は実施できます。

選択肢3. バリアフリー化工事に関し、階段部分を改造しエレベーターを新たに設置する工事は、A及びCが反対しても、それ以外の組合員が賛成であれば、実施することができる。

バリアフリー化工事に関し、階段部分を改造しエレベーターを新たに設置する工事は、組合員総数の4分の3以上及び議決権総数の4分の3以上で決します。

組合員総数の4分の3は11、議決権総数の4分の3は15。

AとC以外の組合員数は12で、議決権は14なので、決議は否決され該当工事は実施できません。

よって、この設問は不適切です。

選択肢4. 窓枠、玄関扉の一斉交換工事は、A、B、C及びその他の組合員のうち2人の計5人が反対しても、それ以外の組合員が賛成であれば、実施することができる。

窓枠、玄関扉の一斉交換工事は、出席組合員の議決権の過半数で決します。

出席組合員の議決権の過半数は11。

A、B、C及びその他の組合員のうち2人以外の組合員の議決権は9なので、決議は否決され該当工事は実施できません。

よって、この設問は不適切です。

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03

正答【2】

1 X適切でない。
  建替えは、組合員総数の4/5(80%)以
 上及び 議決権総数の4/5(80%)以上 の
 両方の賛成が必要です。
 組合員(区分所有者)の総数は、
   A + B + C + 11= 14人
  議決権の数は、持分割合=専有部分が等しいか
 ら 全体は20個
  但し、A=4、B=3、C=2を持っている。
  そこで、建替え総会の決議で必要な、組合
 員(区分所有者)数と議決権数は、標準管理
 規約47条第4項によれば、建替え決議には、
 組合員総数の4/5(80%)以上 及び 
 議決権総数の4/5(80%)以上 の両方の
 賛成が必要です。
 設問では、B(議決権=3)、C(議決権=2)が反対なら、
  反対組合員(区分所有者)の数は 2人  
  逆に 賛成は、 12/14=85.7%
  反対議決権の数は 5個  逆に 賛成は、 
  15/20=75% 
  となり、組合員(区分所有者)の数では、建替
 え決議である、4/5を超えていますが、議決権
 の数では、4/5を超えていませんから、甲マン
 ションの建替えは、実施することができず、適切
 ではありません。 

2 〇適切である。 
  普通決議の工事で、出席組合員の議決権の過半
 数でできます。
  標準管理規約47条の2項及び3項2号によ
 り、「その形状又は効用の著しい変更を伴う(重
 大変更)」なら、組合員総数の3/4以上及び議
 決権総数の3/4以上の賛成がないといけない、
 ということです。
  つまり、工事の内容によって、出席組合員の議
 決権の過半数(普通決議)でいいのか、それと
 も、組合員総数の3/4以上及び議決権総数の3
 /4以上の賛成が必要(特別多数決議)かという
 ことになります。
  しかし、どのような工事が、どの決議でいいの
 かというと実に曖昧です。そこで、1つの判断と
 して、標準管理規約47条関係コメント⑤があり
 ます。その中に、 
 「オ)計画修繕工事に関し、鉄部塗装工事、外壁
 補修工事、屋上等防水工事、給水管更生・更新工
 事、照明設備、共聴設備、消防用設備、エレベー
 ター設備の更新工事は普通決議で実施可能と考え
 られる。」とあり、
  設問の「計画修繕工事に関し、外壁補修工事、
 給水管更新工事及びエレベーター設備更新工事」
 は、この オ)に該当していますから、「普通決
 議」つまり、出席組合員の議決権の過半数で決す
 る事項となります。
  これにより、反対者とその議決権は
 A=4、B=3、C=2 合計9 です。
 賛成の議決権は、11 ですから、
 これは、総議決権総数 20 の過半数(半分の
 10を超えている必要があります)となり、この
 工事は、実施することができ、適切です。

3 X適切でない。
  特別多数決議となり、議決権が足りません。
  バリアフリー化工事に関し、階段部分を改造し
 エレベーターを新たに設置する工事は、標準管理
 規約47条関係コメント⑤ 「ア)バリアフリー
 化の工事に関し、建物の基本的構造部分を取り壊
 す等の加工を伴わずに階段にスロープを併設し、
 手すりを追加する工事は普通決議により、階段室
 部分を改造したり、建物の外壁に新たに外付けし
 たりして、エレベーターを新たに設置する工事は
 特別多数決議により実施可能と考えられる。」 
 とあり、
  後半の特別多数決議に該当し、組合員総数の3
 /4以上及び議決権総数の3/4以上の賛成が必
 要です。
  すると、反対者2人と議決権は、
 A=4、 C=2  合計6 です。
 賛成者は、12/14=85.7%
 賛成の議決権は、14/20=70.0% 
 となり、
 組合員総数では、80%以上ですが、議決権にお
 いて、80%を下回っているため、この工事は実
 施できず、適切ではありません。 

4 X適切でない。
  普通決議でも、過半数には足りません。
  窓枠、玄開扉の一斉交換工事の実施は、標準管
 理規約47条関係コメント⑤
 「カ)その他、集会室、駐車場、駐輪場の増改築
  工事などで、大規模なものや著しい加工を伴う
  ものは特別多数決議により、窓枠、窓ガラス、
  玄関扉等の一斉交換工事、既に不要となったダ
  ストボックスや高置水槽等の撤去工事は普通決
  議により、実施可能と考えられる。」とあり、
  後半の、普通決議(出席組合員の議決権の過半
  数)が必要です。
  そこで、反対者の議決権数は、
 A=4、B=3、C=2 + 2人 計11です。
  この反対は、出席組合員の議決権 20 の過
 半数を超えていますから、それ以外の組合員が賛
 成でも、実施できませんので、適切ではありませ
 ん。

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