マンション管理士の過去問
平成26年度(2014年)
問40
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問題
マンション管理士試験 平成26年度(2014年) 問40 (訂正依頼・報告はこちら)
鉄筋コンクリート造マンションの構造に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。
- 鉄筋に対するコンクリートのかぶり厚さは、建築基準法施行令によって定められており、直接土に接しない耐力壁、柱、梁は3cm以上である。
- 柱には地震力を受けた場合にせん断力によるひび割れの拡がりを防ぐための帯筋を配置するが、たれ壁と腰壁が上下についた短柱の場合はせん断破壊が生じやすくなる。
- 昭和56年5月以前の耐震基準(旧耐震基準)に基づいて建てられた中層の壁式構造の建物は、一般に耐震性は低く、過去の大地震で大きな被害を受けたものが多い。
- 耐力壁は、地震力等の水平力を負担するものであるから、平面上、立面上でつり合いよく配置しないと、ねじれが生じやすくなる。
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この過去問の解説 (3件)
01
1 正しい。
建築基準法施行令第79条第1項によれば、鉄筋に対するコンクリートのかぶり厚さは以下のようになっています。
(A)2cm以上必要 耐力壁以外の壁又は床
(B)3cm以上必要 耐力壁、柱又ははり
(C)4cm以上必要 直接土に接する壁、柱、床若しくははり又は布基礎の立上り部分
(D)6cm以上必要 基礎は捨コンクリートの部分は除く
今回の選択肢は(B)に関するもので、正しいです。
2 正しい。
たれ壁と腰壁が上下についた短柱は、柱の剛性(変化しづらさ)が大きくなり、この柱に多くの力が集まるため、せん断破壊が生じやすくなります。したがって、選択肢は正しいです。
3 誤り。
旧耐震基準で建てられた建物であっても、中層の壁式構造は壁量が多く耐震性は高いので、地震で被害を受けることは少ないです。したがって、選択肢は誤りとなります。
4 正しい。
選択肢のとおりで、平面上、立面上でつり合いよく配置しないと、相対的に弱い壁にねじれが生じやすくなります。したがって、選択肢は正しいです。
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02
1 〇適切である。
鉄筋に対するコンクリートのかぶり厚さは、コ
ンクリート構造物の耐久性と耐火性の確保に必要
です。また、コンクリートの中性化や飛来塩分に
よる鉄筋腐食などの劣化に関係します。
そこで、建築基準法施行令第79条1項によれ
ば、 鉄筋に対するコンクリートのかぶり厚さは、
直接土に接しない耐力壁、柱、梁は3cm以上で
すから、適切です。
2 〇適切である。
柱には、屋根や梁からの荷重によって、圧縮
力、曲げモーメント、せん断力(挟みきる力)が
働きます。そこで、地震対応のひび割れを防ぐた
めに、帯筋をまきます。
また、たれ壁(垂れ壁)とは、天井から垂れ下
がった形状の壁で、床までの長さはなく、途中ま
での「垂れた」状態のものです。また、腰壁と
は、壁の仕上げが上下で違う場合の下部の壁のこ
とです。
これら、垂れ壁や腰壁が取り付いた柱は、柱の
内法長さが短いため柱の主筋が曲げ降伏しないう
ちに柱がせん断破壊しやすく、柱の耐震性能に悪
影響を及ぼす恐れがあるので、適切です。
3 ×適切でない。
中層の壁式構造の建物は、一般に耐震性は高か
った。
壁式構造とは、鉄筋コンクリート造りの壁と床
板によって、箱状の構造を作り、荷重や外力に対
応します。柱や梁がないのが特徴です。
柱と梁で支えるラーメン構造に比べて開口部
(窓、扉など)のとり方が限定されますが、柱や梁
が室内に出ないため、室内を広く使えるメリット
があります。通常、5階建てまでのマンションで
も採用され、昭和56年以前でも利用されていま
す。
そこで、壁式構造の建物の耐震性ですが、国土
交通省が作成しています、「マンション耐震化マ
ニアル」(平成19年6月、平成26年7月再改
訂)のページ6
「RC造:壁式構造の住棟(4階建て)築後30年
程度以上は経過していると思われるが、被害は全
く見られない。一方で、隣の鉄道の高架は圧壊し
ている。」
とありますように、昭和56年5月以前の耐震基
準(旧耐震基準)に基づいて建てられた中層の壁
式構造の建物でも、あまり被害が出ていないの
で、適切ではありません。
4 〇適切である。
耐力壁(耐震壁)は、柱・梁と一体となった壁
で、地震時の水平荷重による骨組みの変形を防
ぎ、建築物の剛性を高めるため、平面上、立面上
でつり合いよく配置しないと、ねじれが生じやす
くなり、適切です。
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03
1.鉄筋のかぶり厚さとは、鉄筋表面からこれを覆うコンクリートの表面までの最短距離をいいます。建築基準法では、鉄筋に対するコンクリートのかぶり厚さの最小値が規定されており、耐力壁、直接土に接しない壁、柱、はりに対する必要なかぶり厚さは「3㎝以上」とされています。
2.建築基準法施行令により、鉄筋コンクリート造の建築物について、構造耐力上主要な部分である柱には帯筋を配置する事とされています。また、柱と一体化した垂れ壁や腰壁は、柱の上下の部分を拘束し、柱を短くしてしまいます。短い状態で地震が発生すると、柱にせん断力がはたらき、せん断破壊が生じることがあります。
3.昭和56年5月以前の耐震基準に基づいて建てられた建築物のうち、中層の壁式構造の建築物は、壁量が多く、一般的に耐震性は「高く」、過去の大地震でも「大きな被害を受けたものが少なかった」というデータがあります。
よって、この設問は不適切です。
4.耐力壁は、建築物において、地震や風などの水平荷重(横からの力)に抵抗する能力を持つ壁のことです。耐力壁がバランスよく配置されていない建築物等は重心(建築物の重量の中心)と剛心(柱、梁、耐力壁等の耐震要素の中心)の位置が異なるため、剛心を中心にねじれが生じます。
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