マンション管理士の過去問
平成29年度(2017年)
問3

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問題

マンション管理士試験 平成29年度(2017年) 問3 (訂正依頼・報告はこちら)

Aは、その所有する甲マンションの2階202号室について、上階の排水管から発生した水漏れによって被害を受けたことを理由に、損害賠償を請求することにした。この場合に関する次の記述のうち、区分所有法及び民法(明治29年法律第89号)の規定によれば、誤っているものはどれか。
  • 漏水の原因が甲マンションの3階部分にある排水管の設置又は保存の瑕疵によるものであることが立証された場合には、Aは、排水管が共用部分に属するものであることを立証しなくても、管理組合に対して損害賠償を請求することができる。
  • 漏水による損害賠償の責任を管理組合が負う場合には、管理組合は、敷地及び共用部分等の管理に要する経費に充てるために納入された管理費等を、賠償金に充当することを集会で決議することができる。
  • Aが受けた水漏れの損害については、3階部分の排水管の設置又は保存に瑕疵があることによって生じたものであることが区分所有法上推定される。
  • 漏水の原因が202号室の直上階にある3階302号室の専有部分内に存する排水管の設置又は保存の瑕疵による場合において、302号室を賃借し居住しているCが損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、同室の所有者Bが損害賠償の義務を負う。

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この過去問の解説 (3件)

01

1.正しい
区分所有法第9条には、「建物の設置又は保存に瑕疵があることにより他人に損害を生じたときは、その瑕疵は、共用部分の設置又は保存にあるものと推定する」とあります。従って、共有部分に属するものであることを証明せずして、管理組合に対して請求することができます。

2.正しい
記載のとおりです。
敷地及び共有部分等の管理に関する事項は、集会の決議事項や規約で定めることができます。
したがって、損害賠償責任を組合が負う場合には、管理費等を賠償金に充当することを集会で決議することができます。

3.誤り
1.のとおり、水漏れの損害は、3階部分の排水管の設置または保存に瑕疵がある事により生じたことが区分所有法上推定されるのではなく、その瑕疵は共有部分の設置又は保存にあるものと推定されるのが正しいです。したがって、区分所有法上での推定ではありません。

4.正しい
記載のとおりです。
賃貸している居住者C(占有者)が損害防止のために必要な注意をしていた場合、所有者Bが損害賠償の義務を負います(所有者の無過失責任)。

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02

正解は3です。

1.正しい。
3階部分にある排水管の設置または
保存の瑕疵によるものであると立証
されています。

また、区分所有法第9条で、
「建物の設置又は保存に瑕疵があることにより他人に損害を生じたときは、
その瑕疵は、共用部分の設置又は保存にあるものと推定する。」
と定めていますので、
Aは、排水管が共用部分に属することを
立証しなくても、共用部分を共有する
区分所有者全員(管理組合)に損害賠償を
請求できます。

2.正しい。
区分所有法第18条では、
「共用部分の管理に関する事項は、
・・・集会の決議で決する。」
と定めています。

3.誤っている。
選択肢1で触れた、区分所有法第9条によると、
「その瑕疵は、共用部分の設置又は保存にあるものと推定する。」
です。

4.正しい。
民法第717条第1項では、
「土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって
他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、
被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。
ただし、占有者が
損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、
所有者がその損害を賠償しなければならない。」
と定めています。

そこで、302号室を賃貸し居住しているCは占有者に当たるので、
Cが損害の発生を防止するのに必要な注意をした時は、
所有者であるBが損害賠償責任を
負います。

以上より、誤っているのは3なので、正解は3です。

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03

 区分所有法及び民法の規定に関する出題です。

選択肢1. 漏水の原因が甲マンションの3階部分にある排水管の設置又は保存の瑕疵によるものであることが立証された場合には、Aは、排水管が共用部分に属するものであることを立証しなくても、管理組合に対して損害賠償を請求することができる。

 区分所有法9条により、「建物の設置又は保存に瑕疵があることにより他人に損害を生じたときは、その瑕疵は、共用部分の設置又は保存にあるものと推定する。」とされるので、正しいです。

選択肢2. 漏水による損害賠償の責任を管理組合が負う場合には、管理組合は、敷地及び共用部分等の管理に要する経費に充てるために納入された管理費等を、賠償金に充当することを集会で決議することができる。

 区分所有法18条1項により、「共用部分の管理に関する事項は、共用部分の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。)の場合を除いて、集会の決議で決する」とされます。

 つまり、「漏水による損害賠償の責任を管理組合が負う場合には、管理組合は、敷地及び共用部分等の管理に要する経費に充てるために納入された管理費等を、賠償金に充当することを集会で決議することができる。」ということは、正しいです。

選択肢3. Aが受けた水漏れの損害については、3階部分の排水管の設置又は保存に瑕疵があることによって生じたものであることが区分所有法上推定される。

 区分所有法9条により、「建物の設置又は保存に瑕疵があることにより他人に損害を生じたときは、その瑕疵は、共用部分の設置又は保存にあるものと推定する。」とされます。

 つまり、「3階部分の排水管の設置又は保存に瑕疵があることによって生じたものであることが区分所有法上推定される」という部分が、誤りです。

選択肢4. 漏水の原因が202号室の直上階にある3階302号室の専有部分内に存する排水管の設置又は保存の瑕疵による場合において、302号室を賃借し居住しているCが損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、同室の所有者Bが損害賠償の義務を負う。

 民法717条1項により、「土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない」とされるので、正しいです。

参考になった数5