マンション管理士の過去問
平成29年度(2017年)
問13

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問題

マンション管理士試験 平成29年度(2017年) 問13 (訂正依頼・報告はこちら)

Aがその所有する甲マンションの101号室をBに賃貸した場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
  • Bが101号室を、Aの承諾を得ずにCに転貸した場合において、Bの転貸がAに対する背信行為と認めるに足りない特段の事情の存在をBが主張立証したときは、AはBとの賃貸借契約を解除できない。
  • Bが101号室を、Aの承諾を得てDに転貸したとき、Aは、Bに対して賃料の請求をすることができるが、Dに対して直接賃料の請求をすることはできない。
  • Bが101号室を、Aの承諾を得ずにEに転貸したとき、BE間の転貸借契約は無効である。
  • Bが101号室を、Aの承諾を得てFに転貸したときでも、AとBが賃貸借契約を合意解除すれば、Aは合意解除をもってFに対抗することができる。

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この過去問の解説 (3件)

01

1.正しい
記載のとおりです。
賃借人が賃貸人の承諾を得ずに賃借物の転貸をし、第三者に使用収益させた場合は賃貸人は契約の解除が可能です。
ただし、止むを得ず一時的に親戚に転貸する等、背信行為と認めるに足らない特段の事情がある場合は、賃貸借契約は解除できません。

2.誤り
AはBにもDにも直接賃料の請求をすることができます。Bが賃料の支払いを行わない場合は、転借しているDに対して請求することができます。
転借人は賃貸人に対して直接的に義務を負うためです。

3.誤り
この場合はAB間の解除の原因にはなりますが、BがA無断でEに転貸してもBE間の転貸借契約は有効です。

4.誤り
AB間合意解除の場合は、Fに対して対抗することはできません。一方でAB間での債務不履行解除の場合は、Fに対抗することができます。

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02

正解は1です。

1.正しい。
民法第612条第1項では、 
「賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、
又は賃借物を転貸することができない。」
続く第2項では、
「賃借人が前項の規定に違反して第三者に賃借物の使用
又は収益をさせたときは、賃貸人は、契約の解除をすることができる。」
と規定しています。

しかし、判例で、
「賃貸人に対する背信的行為と認めるに足りない特段の事情がある時には、
契約の解除をすることができない」
としています。
(最判昭和28年9月25日)

2.正しくない。
民法第613条第1項では、
「賃借人が適法に賃借物を転貸したときは、転借人は、賃貸人と賃借人との間の賃貸借に基づく賃借人の債務の範囲を限度として、
賃貸人に対して転貸借に基づく債務を直接履行する義務を負う。」
としています。

3.正しくない。
選択肢1で説明したように、
賃貸人の承認はなくても、賃借人は、転貸することはできます。
承認がない転借がされると、賃貸人は賃貸借契約を解除できるのです。

4.正しくない。
判例で、
「賃貸人と賃借人が賃貸借を合意解除しても、
賃貸人は、解除をもって、転借人に対抗することができない」
(大判昭9.3.7)
とされています。

以上より、正解は1です。

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03

 民法の規定及び判例に関する出題です。

選択肢1. Bが101号室を、Aの承諾を得ずにCに転貸した場合において、Bの転貸がAに対する背信行為と認めるに足りない特段の事情の存在をBが主張立証したときは、AはBとの賃貸借契約を解除できない。

 民法612条1項により、「賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、又は賃借物を転貸することができない。」とされ、同条2項により、「賃借人が前項の規定に違反して第三者に賃借物の使用又は収益をさせたときは、賃貸人は、契約の解除をすることができる。」とされ、判例により、賃借人の無断譲渡・転貸が賃貸人に対する背信行為と認めるに足らない特別の事情がある場合には、同条2項の解除権は発生しないとされるので、正しいです。

選択肢2. Bが101号室を、Aの承諾を得てDに転貸したとき、Aは、Bに対して賃料の請求をすることができるが、Dに対して直接賃料の請求をすることはできない。

 民法613条1項により、「賃借人が適法に賃借物を転貸したときは、転借人は、賃貸人と賃借人との間の賃貸借に基づく賃借人の債務の範囲を限度として、賃貸人に対して転貸借に基づく債務を直接履行する義務を負う。この場合においては、賃料の前払をもって賃貸人に対抗することができない。」とされ、同条2項により、「前項の規定は、賃貸人が賃借人に対してその権利を行使することを妨げない。」とされ、同条3項により、「賃借人が適法に賃借物を転貸した場合には、賃貸人は、賃借人との間の賃貸借を合意により解除したことをもって転借人に対抗することができない。ただし、その解除の当時、賃貸人が賃借人の債務不履行による解除権を有していたときは、この限りでない。」とされます。

 つまり、「Dに対して直接賃料の請求をすることはできない」という部分が、誤りです。

選択肢3. Bが101号室を、Aの承諾を得ずにEに転貸したとき、BE間の転貸借契約は無効である。

 民法612条1項により、「賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、又は賃借物を転貸することができない。」とされ、同条2項により、「賃借人が前項の規定に違反して第三者に賃借物の使用又は収益をさせたときは、賃貸人は、契約の解除をすることができる。」とされます。

 つまり、「無効である」という部分が、誤りです。

選択肢4. Bが101号室を、Aの承諾を得てFに転貸したときでも、AとBが賃貸借契約を合意解除すれば、Aは合意解除をもってFに対抗することができる。

 民法613条1項により、「賃借人が適法に賃借物を転貸したときは、転借人は、賃貸人と賃借人との間の賃貸借に基づく賃借人の債務の範囲を限度として、賃貸人に対して転貸借に基づく債務を直接履行する義務を負う。この場合においては、賃料の前払をもって賃貸人に対抗することができない。」とされ、同条2項により、「前項の規定は、賃貸人が賃借人に対してその権利を行使することを妨げない。」とされ、同条3項により、「賃借人が適法に賃借物を転貸した場合には、賃貸人は、賃借人との間の賃貸借を合意により解除したことをもって転借人に対抗することができない。ただし、その解除の当時、賃貸人が賃借人の債務不履行による解除権を有していたときは、この限りでない。」とされます。

 つまり、「AとBが賃貸借契約を合意解除すれば、Aは合意解除をもってFに対抗することができる」という部分が、誤りです。

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