マンション管理士の過去問
平成29年度(2017年)
問14
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問題
マンション管理士試験 平成29年度(2017年) 問14 (訂正依頼・報告はこちら)
AとBとの間で、甲マンション707号室を代金2,000万円でAがBに売却する旨の契約(以下「本件売買契約」という。)が結ばれた。その後、Bは代金全額をAに支払ったが、Aは履行期を過ぎても同室をBに引き渡していない。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
- BがAに対して707号室の引渡債務の強制履行を裁判所に請求するには、Aの責めに帰すべき事由によって同室の引渡しが遅滞している必要がある。
- Aの責めに帰すべき事由によって707号室の引渡しが遅滞している場合において、BがAに対して履行遅滞による損害賠償を請求するには、相当の期間を定めて同室の引渡しを催告しなければならない。
- Aの責めに帰すべき事由によって707号室の引渡しが遅滞している場合において、Bが履行遅滞を理由として本件売買契約を解除したときには、Bは、Aに対し、707号室の引渡しが遅滞したことによって生じた損害の賠償を請求することができない。
- Aの責めに帰すべき事由によって707号室の引渡しが遅滞している場合において、Aが707号室をCに売却し、AからCへの同室の所有権移転登記がなされたときには、Bは、Aに対し、履行不能によって生じた損害の賠償を請求することができる。
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この過去問の解説 (3件)
01
Aの責めに帰すべき事由でなくても、履行期が過ぎていて同室の引き渡しが遅延している場合は、引渡債務の強制履行を裁判所に請求することができます。
履行期が過ぎている時点で債権の回収が可能なためです。
2.誤り
履行期を過ぎていて履行遅滞に陥っているため、相当の期間を定める必要はなく、すぐに損害賠償請求が可能です。
履行遅滞で催告が必要なのは契約解除の場合になります。
3.誤り
Aの責めに帰すべき事由で引渡しが遅延して損害が発生した場合は、その賠償を請求することができます。契約解除に加えて損害賠償請求も可能となります。
4.正しい
記載のとおりです。
Cの所有権移転登記がなされた場合は、Bは707号室の引渡しをCに対抗できないため、Aの履行不能状態となります。
したがって、BはAに対して履行不能によって生じた損害賠償の請求ができます。
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02
1.正しくない。
民法第414条第1項本文では、
「債務者が任意に債務の履行をしないときは、
債権者は、民事執行法その他強制執行の手続に関する法令の規定に従い、
直接強制、代替執行、間接強制その他の方法による
履行の強制を裁判所に請求することができる。」
と定めています。
2.正しくない。
民法第415条第1項本文では
「債務者がその債務の本旨に従った履行を
しないとき又は債務の履行が不能であるときは、
債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる」
と定めています。
催告は不要です。
3.正しくない。
民法第545条第4項では、
「解除権の行使は、損害賠償の請求を妨げない。」
と、定めています。
4.正しい。
民法第415条第2項第1号では、
債務の履行が不能であるときは、
債務の履行に代わる損害賠償の請求をすることができる。
ことを定めています。
不動産の二重売買において、履行が不能とは、他の買主に
目的物である不動産の所有権移転登記が完了した時とされています。
(最判例昭和35年4月21日)
以上より、正解は4です。
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03
民法の規定及び判例に関する出題です。
民法414条1項により、「債務者が任意に債務の履行をしないときは、債権者は、民事執行法その他強制執行の手続に関する法令の規定に従い、直接強制、代替執行、間接強制その他の方法による履行の強制を裁判所に請求することができる。」とされます。
つまり、「Aの責めに帰すべき事由によって同室の引渡しが遅滞している必要がある」という部分が、誤りです。
民法415条1項により、「債務者がその債務の本旨に従った履行をしないとき又は債務の履行が不能であるときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。ただし、その債務の不履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。」とされます。
つまり、「相当の期間を定めて同室の引渡しを催告しなければならない」という部分が、誤りです。
民法545条4項により、「解除権の行使は、損害賠償の請求を妨げない。」とされます。
つまり、「Bは、Aに対し、707号室の引渡しが遅滞したことによって生じた損害の賠償を請求することができない」という部分が、誤りです。
民法415条1項により、「債務者がその債務の本旨に従った履行をしないとき又は債務の履行が不能であるときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。ただし、その債務の不履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。」とされるので、正しいです。
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