マンション管理士の過去問
平成29年度(2017年)
問15

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問題

マンション管理士試験 平成29年度(2017年) 問15 (訂正依頼・報告はこちら)

Aが所有する甲マンションの301号室に隠れた瑕疵(排水管の腐食)があった場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。
  • AB間の賃貸借契約に基づき、Bが賃借人となった301号室に隠れた瑕疵があったときは、特約のない限り、Bは、Aに対し、隠れた瑕疵について損害賠償の請求をすることができ、又は賃貸借契約の解除をすることができるが、当該排水管の修繕を請求することはできない。
  • AC間の負担付でない使用貸借契約に基づき、Cが借主となった301号室に隠れた瑕疵があったときは、Aが隠れた瑕疵の存在を知らない場合は、特約のない限り、Cは、Aに対し、担保責任を追及することができない。
  • Aが死亡し、相続人D及びEの遺産分割協議に基づき、Dが単独で取得した301号室に隠れた瑕疵があったときは、共同相続人であるEは、Dに対し、売主と同じく、その相続分に応じて担保の責任を負う。
  • Fが強制競売によって取得した301号室に隠れた瑕疵があったときは、Fは、Aに対し、隠れた瑕疵について損害賠償の請求をすることはできない。

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この過去問の解説 (3件)

01

正解は1です。

1.誤っている。
賃借人は、賃貸人に対して、賃貸借契約に適合する目的物を
賃借することを請求できます。

民法第562条第1項では、
以下のように買主の追完請求権を規定しています。
「引き渡された目的物が種類、品質又は数量に関して
契約の内容に適合しないものであるときは、
買主は、売主に対し、目的物の修補、代替物の引渡し又は
不足分の引渡しによる履行の追完を請求することができる」

賃貸借契約は、有償契約なので
第562条第1項は、賃貸借契約に準用されます。(民法559条参照)

また、第562条第1項の請求とともに、
損害賠償請求や解除ができます。(民法564条参照)

さらに、第606条1項本文で、
「賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う」
と規定しているので、
Bは、Aに排水管の修繕を求めることができます。


2.正しい。
使用貸借は、以下の贈与者の引渡義務等を定めた民法第551条第1項
「贈与者は、贈与の目的である物又は権利を、
贈与の目的として特定した時の状態で引き渡し、
又は移転することを約したものと推定する。」
を準用しています。(民法第596条参照)

そこで、Aは隠れた瑕疵については、担保責任を負いません。

3.正しい。
民法第911条では、
「各共同相続人は、他の共同相続人に対して、
売主と同じく、その相続分に応じて担保の責任を負う。」
と定めています。

4.正しい。
強制競売の買受人は、目的物数量が不足する場合、
目的物が存在しない場合に、代金の減額や返還を債務者に請求できます。
しかし、債務者は、目的物の種類や品質の不適合については、
担保責任を負いません。
(民法568条各項参照)

以上より、誤っているのは1なので、正解は1です。

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02

1.誤り
BはAに対して、隠れた瑕疵(契約不適合)について、損害賠償の請求も、賃貸借契約の解除も出来ます。
また賃借人Aに修繕義務があるため、当該排水管の修繕の請求もできます。

2.正しい
記載のとおりです。
使用貸借契約の場合、Aが隠れた瑕疵(契約不適合)について善意である場合は、CはAに対して担保責任(契約不適合責任)を追及することができません。
逆にAが知っていてCに告げなかった場合は責任を負わなければなりません。

3.正しい
記載のとおりです。
Dに対し、売主と同じく、その相続分に応じて担保の責任(契約不適合責任)を負うことになります。

4.正しい
記載のとおりです。
強制競売により取得したFは、目的物に隠れた瑕疵(契約不適合)があったとしても、損害賠償の請求をすることができません。

※改正民法では、隠れた瑕疵の「瑕疵」は「契約不適合」へ、また、「隠れた」という概念が廃止されています

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03

 民法の規定に関する出題です。

選択肢1. AB間の賃貸借契約に基づき、Bが賃借人となった301号室に隠れた瑕疵があったときは、特約のない限り、Bは、Aに対し、隠れた瑕疵について損害賠償の請求をすることができ、又は賃貸借契約の解除をすることができるが、当該排水管の修繕を請求することはできない。

 民法559条により、「売買の節の規定は、売買以外の有償契約について準用する。」とされ、同法562条1項により、「引き渡された目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないものであるときは、買主は、売主に対し、目的物の修補、代替物の引渡し又は不足分の引渡しによる履行の追完を請求することができる。」とされ、同条2項により、「前項の不適合が買主の責めに帰すべき事由によるものであるときは、買主は、同項の規定による履行の追完の請求をすることができない。」とされます。

 つまり、「当該排水管の修繕を請求することはできない」という部分が、誤りです。

選択肢2. AC間の負担付でない使用貸借契約に基づき、Cが借主となった301号室に隠れた瑕疵があったときは、Aが隠れた瑕疵の存在を知らない場合は、特約のない限り、Cは、Aに対し、担保責任を追及することができない。

 民法596条により、「551条の規定は、使用貸借について準用する。」とされ、同法551条1項により、「贈与者は、贈与の目的である物又は権利を、贈与の目的として特定した時の状態で引き渡し、又は移転することを約したものと推定する」とされ、同条2項により、「負担付贈与については、贈与者は、その負担の限度において、売主と同じく担保の責任を負う。」とされるので、正しいです。

選択肢3. Aが死亡し、相続人D及びEの遺産分割協議に基づき、Dが単独で取得した301号室に隠れた瑕疵があったときは、共同相続人であるEは、Dに対し、売主と同じく、その相続分に応じて担保の責任を負う。

 民法911条により、「各共同相続人は、他の共同相続人に対して、売主と同じく、その相続分に応じて担保の責任を負う。」とされるので、正しいです。

選択肢4. Fが強制競売によって取得した301号室に隠れた瑕疵があったときは、Fは、Aに対し、隠れた瑕疵について損害賠償の請求をすることはできない。

 民法568条1項により、「民事執行法その他の法律の規定に基づく競売(以下この条において単に競売という。)における買受人は、債務不履行を理由として、債務者に対し、契約の解除をし、又は代金の減額を請求することができる。」とされ、同条2項により、「前項の場合において、債務者が無資力であるときは、買受人は、代金の配当を受けた債権者に対し、その代金の全部又は一部の返還を請求することができる。」とされ、同条3項により、「前2項の場合において、債務者が物若しくは権利の不存在を知りながら申し出なかったとき、又は債権者がこれを知りながら競売を請求したときは、買受人は、これらの者に対し、損害賠償の請求をすることができる」とされ、同条4項により、「前3項の規定は、競売の目的物の種類又は品質に関する不適合については、適用しない。」とされるので、正しいです。

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