マンション管理士の過去問
平成29年度(2017年)
問16

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問題

マンション管理士試験 平成29年度(2017年) 問16 (訂正依頼・報告はこちら)

Aは、甲マンション206号室を購入する際にB銀行から購入資金を借り受け、これを担保する目的で同室にBのための抵当権を設定し、その旨の登記がなされた。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。
  • 抵当権設定登記後に、206号室が全焼し、保険会社からAに火災保険金が支払われた。この場合には、Bは、Aに支払われた火災保険金に対して、抵当権に基づく物上代位権を行使することができない。
  • 抵当権設定登記後に、AがC銀行から金銭を借り受けるに当たり、206号室にCのための抵当権を設定する場合には、Bの承諾を得なければならない。
  • 抵当権設定登記後に、Dが、206号室にBの抵当権が設定されていることを知らずに、Aから同室を購入しその旨の登記がなされた。この場合には、Dは、同室にBの抵当権が設定されていることにつき善意であったことを理由として、Bに対し、抵当権設定登記の抹消を請求することができる。
  • 抵当権設定登記後に、Aが206号室をEに賃貸し、Eが同室に居住し始めた。その後、Bの抵当権の実行による競売において同室をFが買い受けた場合には、Eは、Fの買受けの時に直ちに同室をFに引き渡さなければならない。

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この過去問の解説 (3件)

01

1.正しい
記載のとおりです。
火災保険金が支払われた後に物上代位行使はできず、支払われる前に差押えをしなければなりません。

2.誤り
抵当権は同一不動産に重ねて設定でき、その順位は登記の前後になります。
従って、他の銀行から金銭を借り受けるにあたり後から抵当権を設定する場合、先に抵当権を設定したBからの承諾は必要ありません。

3.誤り
たとえ善意であっても抵当権設定の抹消を請求することはできませんが、売主Aに対して契約解除や損害賠償請求はすることができます。

4.誤り
抵当権設定後の賃貸借は買受人には対抗することができませんが、買受後直ちに引き渡す必要はなく、半年を経過するまでは引き渡す必要がありません。

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02

正解は1です。

1.正しい。
抵当権は、民法第304条第1項の規定を準用しています。(民法372条)
民法第304条第1項では、
「先取特権は、その目的物の売却、賃貸、滅失
又は損傷によって債務者が受けるべき金銭その他の物に対しても、
行使することができる。
ただし、先取特権者は、その払渡し又は引渡しの前に
差押えをしなければならない。」
と規定しています。

Bは、Aに支払われる前に、抵当権に基づく物上代位権を
行使できますが、すでに支払われてしまった後では、できません。

2.正しくない。
抵当権の内容は、民法第369条第1項で、
「抵当権者は、債務者又は第三者が占有を移転しないで
債務の担保に供した不動産について、他の債権者に先立って
自己の債権の弁済を受ける権利を有する。」

抵当権設定者のAは、目的物を自由に使用、収益、処分ができるので、
Bの承諾なしに、Cのために抵当権を設定ができます。

3.正しくない。
不動産に関する物権の変動の対抗要件は、
民法第177条で、
「不動産に関する物権の得喪及び変更は、
不動産登記法・・・
その他の登記に関する法律の定めるところに従い
その登記をしなければ、第三者に対抗することができない。」
と定めています。

Bの抵当権は登記されているので、
Bの抵当権は、Dに対して、Dの善悪に関わらず、対抗できます。

4.正しくない。
抵当建物使用者の引渡しの猶予については、
民法第395条1項で、
「抵当権者に対抗することができない賃貸借により
抵当権の目的である建物の使用
又は収益をする者であって次に掲げるもの・・・は、
その建物の競売における買受人の買受けの時から6箇月を経過するまでは、
その建物を買受人に引き渡すことを要しない。」
と定めています。

そこで、Eは、Fの買受け時に直ちに206号室を引き渡す必要はありません。

以上より、正解は1です。

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03

 民法の規定に関する出題です。

選択肢1. 抵当権設定登記後に、206号室が全焼し、保険会社からAに火災保険金が支払われた。この場合には、Bは、Aに支払われた火災保険金に対して、抵当権に基づく物上代位権を行使することができない。

 民法372条により、「304条の規定は、抵当権について準用する。」とされ、同法304条1項により、「先取特権は、その目的物の売却、賃貸、滅失又は損傷によって債務者が受けるべき金銭その他の物に対しても、行使することができる。ただし、先取特権者は、その払渡し又は引渡しの前に差押えをしなければならない。」とされるので、正しいです。

選択肢2. 抵当権設定登記後に、AがC銀行から金銭を借り受けるに当たり、206号室にCのための抵当権を設定する場合には、Bの承諾を得なければならない。

 抵当権は、一つの不動産に対して何重にも設定することができます。

 つまり、「Bの承諾を得なければならない」という部分が、誤りです。

選択肢3. 抵当権設定登記後に、Dが、206号室にBの抵当権が設定されていることを知らずに、Aから同室を購入しその旨の登記がなされた。この場合には、Dは、同室にBの抵当権が設定されていることにつき善意であったことを理由として、Bに対し、抵当権設定登記の抹消を請求することができる。

 民法177条により、「不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者対抗することができない。」とされます。

 つまり、「Dは、同室にBの抵当権が設定されていることにつき善意であったことを理由として、Bに対し、抵当権設定登記の抹消を請求することができる」という部分が、誤りです。

選択肢4. 抵当権設定登記後に、Aが206号室をEに賃貸し、Eが同室に居住し始めた。その後、Bの抵当権の実行による競売において同室をFが買い受けた場合には、Eは、Fの買受けの時に直ちに同室をFに引き渡さなければならない。

 民法395条1項により、「抵当権者に対抗することができない賃貸借により抵当権の目的である建物の使用又は収益をする者であって①競売手続の開始前から使用又は収益をする者、➁強制管理又は担保不動産収益執行の管理人が競売手続の開始後にした賃貸借により使用又は収益をする者は、その建物の競売における買受人の買受けの時から6箇月を経過するまでは、その建物を買受人に引き渡すことを要しない。」とされます。

 つまり、「買受けの時に直ちに」という部分が、誤りです。

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