マンション管理士 過去問
令和6年度(2024年)
問9

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問題

マンション管理士試験 令和6年度(2024年) 問9 (訂正依頼・報告はこちら)

マンション内で共同の利益に反する行為を行っている者に対する他の区分所有者全員からの専有部分の使用禁止の請求に関する次の記述のうち、区分所有法、民法及び民事執行法の規定によれば、誤っているものはどれか。
  • 共同の利益に反する行為を行う区分所有者に対する専有部分の使用禁止の請求は、共同の利益に反する行為による区分所有者の共同生活上の障害が著しく、行為の差止めを請求されても区分所有者が任意に従わない場合にはじめて認められる。
  • 共同の利益に反する行為を行う区分所有者に対して専有部分の使用禁止を請求する訴えが提起され、専有部分の使用禁止を命じる判決が確定した場合でも、使用禁止を命じられた専有部分の区分所有者は、専有部分を第三者に賃貸することができる。
  • 専有部分を賃借している占有者が区分所有者の共同の利益に反する行為を行い、その行為のために生じる共同生活上の障害が著しいとしても、当該占有者に対して専有部分の使用禁止を請求することはできない。
  • 確定判決によって専有部分の使用禁止が命じられたにもかかわらず命令に従わない区分所有者に対する強制執行は、命令に従わない期間に応じて一定の額の金銭を他の区分所有者全員に支払わせるという方法によって行うことができる。

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この過去問の解説 (1件)

01

使用禁止請求にスポットを当てた問題ですが、民事執行法からも出題されている点が特徴的です。

選択肢1. 共同の利益に反する行為を行う区分所有者に対する専有部分の使用禁止の請求は、共同の利益に反する行為による区分所有者の共同生活上の障害が著しく、行為の差止めを請求されても区分所有者が任意に従わない場合にはじめて認められる。

誤。行為の差止め請求によってはその障害を除去して共用部分の利用の確保その他の区分所有者の共同生活の維持を図ることが"困難であるとき"は、区分所有者による専有部分の使用の禁止を請求することができます(区分所有法58条)。

よって、必ずしも「軽い請求をした後でないと重い請求ができない」というわけではありません。

選択肢2. 共同の利益に反する行為を行う区分所有者に対して専有部分の使用禁止を請求する訴えが提起され、専有部分の使用禁止を命じる判決が確定した場合でも、使用禁止を命じられた専有部分の区分所有者は、専有部分を第三者に賃貸することができる。

正。行為の差止め請求によってはその障害を除去して共用部分の利用の確保その他の区分所有者の共同生活の維持を図ることが困難であるときは、"区分所有者による専有部分の使用の禁止"を請求することができます(区分所有法58条)。

 

上記の通り、禁止されるのはあくまで「区分所有者による専有部分の使用」です。

よって、第三者に賃貸することは問題なくできます

選択肢3. 専有部分を賃借している占有者が区分所有者の共同の利益に反する行為を行い、その行為のために生じる共同生活上の障害が著しいとしても、当該占有者に対して専有部分の使用禁止を請求することはできない。

正。行為の差止め請求によってはその障害を除去して共用部分の利用の確保その他の区分所有者の共同生活の維持を図ることが困難であるときは、"区分所有者"による専有部分の使用の禁止を請求することができます(区分所有法58条)。

 

したがって、使用禁止を請求できるのは「区分所有者」に対してのみです。

なお、占有者に対して請求できるのは「行為の停止等の請求」「引渡請求」の二つです(区分所有法57,60条)。

選択肢4. 確定判決によって専有部分の使用禁止が命じられたにもかかわらず命令に従わない区分所有者に対する強制執行は、命令に従わない期間に応じて一定の額の金銭を他の区分所有者全員に支払わせるという方法によって行うことができる。

正。作為又は不作為を目的とする債務で強制執行ができないものについての強制執行は、執行裁判所が、債務者に対し、遅延の期間に応じ、又は相当と認める一定の期間内に履行しないときは直ちに、債務の履行を確保するために相当と認める一定の額の金銭を債権者に支払うべき旨を命ずる方法により行います(民事執行法172条)。

まとめ

出題頻度の低い民事執行法からの出題もありますが、常識の範囲内で想像して回答すべき内容です。

また、他の選択肢も基本的な論点なので、試験本番ではいちいち驚かずに正誤判定することが大切です。

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