宅地建物取引士の過去問
令和2年度10月実施分(2020年)
宅建業法 問40
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問題
宅建試験 令和2年度10月実施分(2020年) 宅建業法 問40 (訂正依頼・報告はこちら)
宅地建物取引業者Aが、自ら売主として、宅地建物取引業者ではないBとの間で宅地の売買契約を締結した場合における、宅地建物取引業法第37条の2の規定に基づくいわゆるクーリング・オフに関する次の記述のうち、Bがクーリング・オフにより契約の解除を行うことができるものはいくつあるか。
ア Bが喫茶店で当該宅地の買受けの申込みをした場合において、Bが、Aからクーリング・オフについて書面で告げられた日の翌日から起算して8日目にクーリング・オフによる契約の解除の書面を発送し、10日目にAに到達したとき。
イ Bが喫茶店で当該宅地の買受けの申込みをした場合において、クーリング・オフによる契約の解除ができる期間内に、Aが契約の履行に着手したとき。
ウ Bが喫茶店で当該宅地の買受けの申込みをした場合において、AとBとの間でクーリング・オフによる契約の解除をしない旨の合意をしたとき。
エ Aの事務所ではないがAが継続的に業務を行うことができる施設があり宅地建物取引業法第31条の3第1項の現定により専任の宅地建物取引士が置かれている場所で、Bが買受けの申込みをし、2日後に喫茶店で売買契約を締結したとき。
ア Bが喫茶店で当該宅地の買受けの申込みをした場合において、Bが、Aからクーリング・オフについて書面で告げられた日の翌日から起算して8日目にクーリング・オフによる契約の解除の書面を発送し、10日目にAに到達したとき。
イ Bが喫茶店で当該宅地の買受けの申込みをした場合において、クーリング・オフによる契約の解除ができる期間内に、Aが契約の履行に着手したとき。
ウ Bが喫茶店で当該宅地の買受けの申込みをした場合において、AとBとの間でクーリング・オフによる契約の解除をしない旨の合意をしたとき。
エ Aの事務所ではないがAが継続的に業務を行うことができる施設があり宅地建物取引業法第31条の3第1項の現定により専任の宅地建物取引士が置かれている場所で、Bが買受けの申込みをし、2日後に喫茶店で売買契約を締結したとき。
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この過去問の解説 (3件)
01
以下、解説になります。
ア. 解除できない
宅地の買受けの申込みをしたのは喫茶店で、これは「事務所等」以外の場所に該当します。
その場合、クーリング・オフについて書面で告げられた日から起算して8日を経過するまでに、クーリング・オフの意思表示をすれば契約を解除できます。
しかしBが契約解除の書面を発したのは、クーリング・オフについて書面で告げられた日の翌日から起算して8日目です。
クーリングオフができる期間を過ぎてしまっているので、契約の解除はできません。
イ. 解除できる
選択肢1と同様に喫茶店で買受けの申込みをしているので、この契約はクーリング・オフの対象になります。
よってクーリング・オフによる契約の解除ができる期間内であれば、契約の解除ができます。
ウ. 解除できる
クーリング・オフに関する特約は買主に不利なものであれば無効なので、AとBとの間でクーリング・オフによる契約の解除をしない旨の合意をしていても、これは無効になります。
買い受けの申込みは喫茶店でされているので、クーリング・オフによる契約の解除ができます。
エ. 解除できない
「事務所等」で買受けの申込みをして、「事務所等以外の場所」で契約を締結した場合、クーリング・オフの対象になりません。
本選択肢では「Aの事務所ではないがAが継続的に業務を行うことができる施設があり宅地建物取引業法第31条の3第1項の現定により専任の宅地建物取引士が置かれている場所」で買受けの申込みをしていますが、これは「事務所等」に該当するので、クーリング・オフによる契約の解除はできません。
クーリング・オフにより契約の解除を行うことができるものはイとウなので、正解は2になります。
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02
宅建業者とクーリング・オフについての問題です。
正解は2(イ・ウの2つ)です。
「クーリング・オフ」とは訪問販売や電話勧誘販売などで商品等の購入契約をした後でも解約できる制度のことです。
不動産の場合でも、このクーリング・オフ制度を使うことができます。
しかし、いつでもどんな時でも使えるわけではありません。
場所や契約から何日たっているかによって異なります。
今回の前提条件は以下の点とです。
売主A:宅地建物取引業者・自ら売主として売買契約を締結
買主B:宅地建物取引業者ではない
また以下のポイントをチェックしてください。
クーリング・オフできる場合
・事務所以外の場所で買受の申し込みをした
クーリング・オフできない場合
・事務所で買受の申し込みをした
・書面による告知日から起算して8日経過したとき
・物件の引き渡しを受けたかつ、代金全部を支払ったとき
ア できない
買受の申し込み場所:喫茶店(事務所以外)
解約のタイミング:
売り主からクーリング・オフについて書面で告げられた日の翌日から起算して8日目にクーリング・オフによる契約の解除の書面を発送・10日目に売り主の元に到達
可否の理由:
今回、買受の申し込みをしたのは喫茶店です。これは事務所以外の場所になります。
事務所以外の場所で買受の申し込みをした場合、買主がクーリング・オフについて書面で告げられた日から起算して8日を経過するまでに意思表示すれば解約できます。
今回、買主のBは書面でクーリング・オフの契約解除を行っています。
郵送の場合は買主が送った時点がポイントであり、到着日は関係ありません。
そのため、到着が10日目だからクーリング・オフができないとはなりません。
しかし、契約解除の書面を送ったのは「書面で告げられた日の翌日から起算して8日目」です。
クーリング・オフできる期間は書面による告知日から起算して8日目まででであり、クーリングオフができる期間を過ぎています。
そのるため、解除できません。
イ できる
買受の申し込み場所:喫茶店(事務所以外)
解約のタイミング:クーリング・オフによる契約の解除ができる期間内
可否の理由:売主が契約の履行に着手しているかどうかは関係ありません
ウ できる
買受の申し込み場所:喫茶店(事務所以外)
特約: 売り手と買い手の間でクーリング・オフによる契約の解除をしない旨の合意
可否の理由:
クーリング・オフは買主な不利な特約をすることができません。
そのためこの特約は無効です。
そのため、クーリング・オフ可能なタイミングであれば契約解除することができます。
エ できない
買受の申し込み場所:
事務所以外で継続的に業務を行うことができる施設・専任宅建士を置くべきもの
売買契約の締結場所:
喫茶店(事務所以外)
可否の理由:
クーリング・オフのポイントは「買受の申し込み場所」です。
買受の申し込みが事務所ならクーリング・オフはできませんが、それ以外の場所ならクーリング・オフすることができます。
今回の買受の申し込み場所は売主Aの事務所ではありませんが、Aが継続的に業務を行うことができる施設で専任宅建士がいます。
この場合、事務所とみなされ、クーリングオフすることができません。
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03
正解は2です。
ア:クーリングオフができるのは、クーリングオフについて告げられた日を含めて8日です。
この選択肢では、告げられた日の翌日から数えているので、告げられた日を含めると9日目になってしまい、クーリングオフのできる期間を過ぎてしまっていますから誤りです(宅建業法37条の2第1項一号)。
イ:解除できます。
クーリングオフができなくなるのは、目的物の引渡しも代金支払いも完了した後の話で、本件のように履行に着手しただけならばクーリングオフはできます(宅建業法37条の2第1項二号)。
ウ:解除できます。
法律の定めよりも買主に不利となるクーリングオフの定めはできません(宅建業法37条の2第4項)。
エ:クーリングオフは、事務所等以外で買い受けの申込をした場合にのみ問題となります(事務所等での買い受け申込は、買主が自ら主体的に行動しないとできないため、ある程度考えたうえで申し込んでいるから)。
選択肢エに書かれているような場所は、事務所等に該当し、クーリングオフの適用対象外ですから、誤りです(宅建業法37条の2第1項柱書)。
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