中小企業診断士の過去問
平成28年度(2016年)
企業経営理論 問1

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問題

中小企業診断士試験 第1次試験 企業経営理論 平成28年度(2016年) 問1 (訂正依頼・報告はこちら)

ドメインの定義、および企業ドメインと事業ドメインの決定に関する記述として、最も適切なものはどれか。
  • 事業ドメインに関する企業内の関係者間での合意を「ドメイン・コンセンサス」と呼び、その形成には、トップマネジメントが周年記念の場などで、企業のあり方を簡潔に情報発信する必要がある。
  • 多角化している企業では、企業ドメインの決定は、競争戦略として差別化の方針を提供し、日常のオペレーションに直接関連する。
  • 多角化せずに単一の事業を営む企業では、企業ドメインと事業ドメインは同義であり、全社戦略と競争戦略は一体化して策定できる。
  • ドメインの定義における機能的定義は、エーベルの3次元の顧客層に相当する顧客ニーズと、それに対して自社の提供するサービス内容で定義する方法である。
  • ドメインの定義における物理的定義は、エーベルの3次元の技術ではなく、物理的存在である製品によってドメインを定義する。

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この過去問の解説 (1件)

01

正解は「多角化せずに単一の事業を営む企業では、企業ドメインと事業ドメインは同義であり、全社戦略と競争戦略は一体化して策定できる。」です。

【基礎知識】

ドメインとは、企業が戦うべき場所を表します。

これだけではわかりにくいので、エーベルの3次元、物理的定義・機能的定義といった方法で定義します(この2つが代表的です)。

〇エーベルの3次元 → 以下の3つの軸でドメインを定義する。

① 市場・顧客(誰に・顧客)

② 企業が果たすべき機能(何を・機能)

③ 企業が持つ技術・能力(どのように・技術)

〇物理的定義・機能的定義

・物理的定義:具体的な製品やサービス

・機能的定義:解決すべき問題や満たすべき欲求を起点にした定義。

 

 例えば、自動車では、物理的定義:自動車、機能的定義:移動の手段といった整理になります。

いくつもの事業を運営し、多角化してきますと、当然事業ごとの3つの軸は変わります。

この事業ごとのドメインを事業ドメインといい、複数の事業ドメインを包含的に大きな概念としたものを企業ドメインといいます。

企業ドメインが包含的なものであるのに対し、事業ドメインはより競争戦略やオペレーションなどに関係するものになります。また、単一事業の場合、企業ドメイン=事業ドメインとなります。

選択肢1. 事業ドメインに関する企業内の関係者間での合意を「ドメイン・コンセンサス」と呼び、その形成には、トップマネジメントが周年記念の場などで、企業のあり方を簡潔に情報発信する必要がある。

誤り。ドメインコンセンサスとは、内外に事業ドメインを訴えて合意を得ていくことになります。簡潔にではなく、きっちりと伝えていく必要がありますし、周年事業だけではなく、常に訴える必要があります。

選択肢2. 多角化している企業では、企業ドメインの決定は、競争戦略として差別化の方針を提供し、日常のオペレーションに直接関連する。

誤り。企業ドメインではなく、事業ドメインのこと。

選択肢3. 多角化せずに単一の事業を営む企業では、企業ドメインと事業ドメインは同義であり、全社戦略と競争戦略は一体化して策定できる。

正しい。単一事業の場合は企業ドメイン=事業ドメインとなります。

選択肢4. ドメインの定義における機能的定義は、エーベルの3次元の顧客層に相当する顧客ニーズと、それに対して自社の提供するサービス内容で定義する方法である。

誤り。機能的定義はサービス内容ではなく、果たすべき機能で定義する方が適切です。

選択肢5. ドメインの定義における物理的定義は、エーベルの3次元の技術ではなく、物理的存在である製品によってドメインを定義する。

誤り。製品のみではなく、サービスも含まれます。

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