中小企業診断士の過去問
平成28年度(2016年)
経営法務 問15

このページは閲覧用ページです。
履歴を残すには、 「新しく出題する(ここをクリック)」 をご利用ください。

問題

中小企業診断士試験 第1次試験 経営法務 平成28年度(2016年) 問15 (訂正依頼・報告はこちら)

債務者による詐害的な行為に対する債権者からの権利行使に関する記述として、最も適切なものはどれか。
  • 債務者が債権者を害することを知ってした5年前の法律行為を債権者が知ってから2年が経過するまでは、債権者は詐害行為取消請求に係る訴えを提起することができる。
  • 債務者が第三者に対して有する債権をもって債権者の一部の者に代物弁済した場合、代物弁済に供した債権額が消滅した債務額を超過していなければ、他の債権者に対して詐害行為とはならない。
  • 詐害行為によって譲渡された不動産が受益者から転得者へ譲渡され、詐害行為について受益者は悪意であるが転得者は善意である場合、債権者は詐害行為取消権を行使することができない。
  • 新設分割会社が新設分割設立株式会社に承継されない債務の債権者を害することを知って新設分割をした場合、当該債権者は、その新設分割設立株式会社に対し、承継しなかった財産の価額を限度として、当該債務の履行を請求できる。

次の問題へ

正解!素晴らしいです

残念...

この過去問の解説 (2件)

01

【正解1】

[1]適切

債務者が債権者を害することを知ってした5年前の法律行為について、債権者が知ってから2年が経過するまでは、債権者は詐害行為取消請求に係る訴えを提起することができます。

[2]不適切

債務者が第三者に対して有する債権をもって債権者の一部の者に代物弁済した場合、財産減少行為となるため、他の債権者に対して詐害行為となります。

[3]不適切

詐害行為によって譲渡された不動産が受益者から転得者へ譲渡され、詐害行為について受益者は悪意であるが転得者は善意である場合、転得者が詐害の事実を知っていれば債権者は詐害行為取消権を行使することができます。

[4]不適切

新設分割会社が新設分割設立株式会社に承継されない債務の債権者を害することを知って新設分割をした場合、当該債権者は、その新設分割設立株式会社に対し、「承継した」財産の価額を限度として、当該債務の履行を請求することができます。

参考になった数9

02

詐害行為に関する問題です。

選択肢1. 債務者が債権者を害することを知ってした5年前の法律行為を債権者が知ってから2年が経過するまでは、債権者は詐害行為取消請求に係る訴えを提起することができる。

正解の選択肢となります。

選択肢2. 債務者が第三者に対して有する債権をもって債権者の一部の者に代物弁済した場合、代物弁済に供した債権額が消滅した債務額を超過していなければ、他の債権者に対して詐害行為とはならない。

他の債権者に対して詐害行為となるかどうかについては、他の債権者に害を与える意思があったかどうかによります。

選択肢3. 詐害行為によって譲渡された不動産が受益者から転得者へ譲渡され、詐害行為について受益者は悪意であるが転得者は善意である場合、債権者は詐害行為取消権を行使することができない。

転得者が受益者から直接転得した者である場合、転得した時点で転得者が「債務者がした行為が債権者を害することを知っていた」時は、転得者へ詐害行為取消請求をすることができます

【補足】

※平成29年民法改正により民法第424条の5が新たに設けられ、善意の者を経由していれば、その後の転得者に悪意があったとしても詐害行為取消請求権を行使することはできないことになりました。

選択肢4. 新設分割会社が新設分割設立株式会社に承継されない債務の債権者を害することを知って新設分割をした場合、当該債権者は、その新設分割設立株式会社に対し、承継しなかった財産の価額を限度として、当該債務の履行を請求できる。

「承継しなかった財産」ではなく、「承継した財産」の価額を限度として当該債務の履行を請求することができます。

新設分割設立株式会社は「承継しなかった財産」については影響を受けないので、債権者が承継しなかった財産について当該債務の履行を請求できないことは、文意だけでも判断できると思います。

参考になった数1