正解は1です。
「事業承継ガイドライン」には、円滑な事業承継の実現のためには、5つのステップを経ることが重要である旨が明記されています。設問中にある「親族内・従業員承継」のケースにおける5つのステップは次のとおりです。
ステップ1:事業承継に向けた準備の必要性の認識
親族内や従業員承継の場合は特に外部に相談しづらいという経営者もおり、いざ承継のタイミングになった際に準備が間に合わない場合があります。そのため、事前に準備することがいかに重要かをまずは認識する必要があります。
ステップ2:経営状況・経営課題等の把握
スムーズに承継するためにも、経営の現状把握をする必要があります。再度自社を見直すことにより、自社の強みや弱みを把握し、その活かし方、改善方法の方向性を見出します。
ステップ3:事業承継に向けた経営改善
親族内の承継の場合は特に、相続税対策を意識してしまい、節税を目的とした株価の低下を意図的に行い、事業の継続や発展からかけ離れてしまう場合があります。ステップ2で把握した現状を踏まえて、承継までの期間、できる限り経営をより良い状態に改善し、発展につながるような承継を目指します。承継後、事業を継続発展させていくには、後継者にとっても魅力的な会社である必要があります。
ステップ4:事業承継計画策定
いつ、どのように、何を、誰に承継するのかについて、具体的な計画を立案します。
そして、自社の現状を踏まえた中長期的な目標設定と課題の整理をします。
ステップ5:事業承継の実行
経営改善を行いながら、事業承継計画に沿って資産の移転や経営権の移譲を進めていきます。
よって、空欄A:経営状況・経営課題等の把握、空欄B:事業承継に向けた経営改善が正解となります。
各選択肢の解説は次の通りです。
2→B:マッチング実施が誤りです。マッチング実施は社外へ承継する場合のステップであり、社外への承継の場合は、ステップ4に「マッチング実施」が行われます。
3→A:後継者と事業承継に関する対話が誤りです。ステップには含まれていませんが、平成29年中小企業白書によると、「後継者候補が経営を引き継ぐ意思を形成する上でも日頃から後継者候補との対話を重ねていくことが必要である」としています。
4→A:後継者と事業承継に関する対話 B:マッチング実施が誤りです。解説は上記のとおりです。