中小企業診断士の過去問
令和元年度(2019年)
経営法務 問12

このページは閲覧用ページです。
履歴を残すには、 「新しく出題する(ここをクリック)」 をご利用ください。

問題

中小企業診断士試験 第1次試験 経営法務 令和元年度(2019年) 問12 (訂正依頼・報告はこちら)

物の形状を保護する意匠法、商標法、不正競争防止法に関する記述として、最も適切なものはどれか。
  • 自動二輪車の形状が意匠登録された場合、その意匠権は同じ形状のチョコレートにも及ぶ。
  • 自動二輪車の形状が不正競争防止法第 2 条第 1 項第 1 号の商品等表示混同惹起行為として保護されるには、それが当該メーカーの商品等表示として需要者の間に広く認識されている必要がある。
  • 自動二輪車の形状について意匠登録出願をした場合、所定期間内であれば立体商標の商標登録出願に出願変更することができる。
  • 自動二輪車の形状は商品そのものの形状なので、立体商標として登録されることはない。

次の問題へ

正解!素晴らしいです

残念...

この過去問の解説 (2件)

01

正解は2です。

各選択肢については、以下のとおりです。

1→意匠権の範囲は、「同一」と「類似」に及び、判断の基準は「物品」と「形態」の2軸です。「同一」とは、「物品」・「形態」共に同一であることです。「類似」とは、①「物品」が同一・「形態」が類似、②「物品」が類似・「形態」が同一、③「物品」・「形態」共に類似であることです。本選択肢では、「形状」は同一ですが、「物品」は異なるため、非類似となり権利は及びません。

2→適切です。商品等表示混同惹起行為としての保護要件には、「周知性」が含まれます。周知とは、需要者の間で広く認識されていることを指し、本選択肢の通りです。

3→意匠登録出願は、特許出願や実用新案登録出願へ変更が可能ですが、立体商標の商標登録出願への変更については規定がありません。

4→立体商標の登録は、その商品が当然に備える立体形状のみからなる商標ではないことが要件となります。ただし、自動二輪車が自他商品識別力を有する特徴を持ち、立体商標登録が認められた判例もあり、本選択肢のように登録されないといいきることはできません。

参考になった数15

02

【基礎知識】

近年デザインや物の形状は企業の競争力にも大きな影響を及ぼすようになってきました。

形状やデザインが商品の魅力である場合、簡単に模倣されてしまうと社会的な発展を阻害していきますので、各法律で保護されています。

〇商品の形態を保護する法律

・意匠法:意匠登録することで独占利用が可。

・商品形態模倣(不正競争防止法2条1項3号):意匠登録がなくても、そっくりの模倣であれば差止めおよび損害賠償請求できる。

・商品等表示の使用(不正競争防止法2条1項1号・2号):意匠登録がなくても、商品形態そのものに周知性または著名性がある場合、商品等表示を他社が使用すると不正競争行為に該当し、差止めおよび損害賠償請求できる。認定にはややハードル高。有名である必要あり。

・立体商標(商標法):商品形態に識別できる機能があれば商標登録できる。ヤクルトの容器、スーパーカブなど。

・著作権(応用美術、著作権法):美術的、芸術的な形態であれば著作権での保護も可。

選択肢1. 自動二輪車の形状が意匠登録された場合、その意匠権は同じ形状のチョコレートにも及ぶ。

意匠権の効力は類似商品には及びますが、自動二輪とチョコレートでは明らかに非類似製品ですので効果は及びません。誤り。

選択肢2. 自動二輪車の形状が不正競争防止法第 2 条第 1 項第 1 号の商品等表示混同惹起行為として保護されるには、それが当該メーカーの商品等表示として需要者の間に広く認識されている必要がある。

基礎知識ご参照。正しい。

選択肢3. 自動二輪車の形状について意匠登録出願をした場合、所定期間内であれば立体商標の商標登録出願に出願変更することができる。

こういった制度はありません。出願時に混同して誤った出願をする可能性があるため、実用新案登録、意匠登録、特許出願の間では出願変更できる制度があります。誤り。

選択肢4. 自動二輪車の形状は商品そのものの形状なので、立体商標として登録されることはない。

基本は意匠の保護になりますので意匠権になりますが、HONDAのスーパーカブで立体商標が認められたケースがあります。誤り。

参考になった数4