中小企業診断士の過去問
令和3年度(2021年)
財務・会計 問17

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問題

中小企業診断士試験 第1次試験 財務・会計 令和3年度(2021年) 問17 (訂正依頼・報告はこちら)

モジリアーニとミラーの理論( MM理論 )に基づく資本構成に関する記述として、最も適切なものはどれか。
  • 自己資本による資金調達はコストが生じないので、負債比率が低下するほど企業価値は増加する。
  • 倒産リスクの高低は、最適資本構成に影響する。
  • 負債比率が非常に高くなると、自己資本コストは上昇するが、負債コストは影響を受けない。
  • 法人税が存在する場合、負債比率の水準は企業価値に影響しない。

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この過去問の解説 (3件)

01

MM理論についての出題です。

1 間違い

負債比率が上昇すると企業価値は上昇します。逆に、負債比率が低下すると企業価値は減少します。

2 正しい

倒産リスクについては、負債比率が上昇すると高まることになります。

負債が多いと返済リスクが高まるからです。

3 間違い

負債比率が高くなるということは、債権者のリスクプレミアムによって負債コストが大きくなります。

4 間違い

法人税がある場合、負債利用分が、財務レバレッジと節税効果によって企業価値が上がります。

よって、正解は2

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02

【基礎知識】

MM理論についてです。頻出事項ですので、理解を深めておく必要があります。

大きく以下の3つの考えがベースになります。

①完全資本市場(情報に偏在がなく、法人税も存在しない)では、資本構成は企業価値に影響がない。

②負債比率が高くなると、財務リスクも高まる。よって負債比率が高まれば自己資本コストも高くなる。

③相対的に負債は資本コストが低くく、負債の増加は加重平均資本コストを下げる効果はあるが、一方で上記②により、自己資本コストの上昇を引き起こし、増減が相殺され、加重平均資本コストは一定となる。つまり、最適な資本構成はないと考えられる。

しかし、法人税がやはり存在することから、MM理論には以下の修正が加わっています。

・法人税が存在すれば、負債を増加させる方がよい(一定程度)。

・ただし、負債の増加は倒産リスクも増加させる。

選択肢1. 自己資本による資金調達はコストが生じないので、負債比率が低下するほど企業価値は増加する。

自己資本でも資本コストがかかっており、節税効果を考えると負債比率は一定程度まで増加させる方が企業価値は増加するため、誤り。

選択肢2. 倒産リスクの高低は、最適資本構成に影響する。

実際の経済では負債比率が高すぎると倒産リスクも高まり、最適資本構成、つまり自己資本と負債のバランスは変化するため、正しい。

選択肢3. 負債比率が非常に高くなると、自己資本コストは上昇するが、負債コストは影響を受けない。

負債比率が高くなりすぎると、倒産リスクも高まるため、負債コストも変化します。よって誤り。

選択肢4. 法人税が存在する場合、負債比率の水準は企業価値に影響しない。

法人税が存在すれば、節税効果により、一定程度の負債比率の上昇は企業価値を上昇させるため、誤り。

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03

MM理論に基づく資本構成に関する問題です。

 

MM理論の内容を理解できていなかったとしても、各選択肢の日本語の記述から2択に絞り込むことは可能です。

選択肢1. 自己資本による資金調達はコストが生じないので、負債比率が低下するほど企業価値は増加する。

自己資本による資金調達も、コストが生じます

選択肢2. 倒産リスクの高低は、最適資本構成に影響する。

正解の選択肢となります。

選択肢3. 負債比率が非常に高くなると、自己資本コストは上昇するが、負債コストは影響を受けない。

負債比率が非常に高くなると、自己資本コストは上昇するが、負債コストも影響を受けます

選択肢4. 法人税が存在する場合、負債比率の水準は企業価値に影響しない。

法人税が存在する場合、負債比率の水準は企業価値に影響します

まとめ

【補足】

 

MM理論については、ほぼ毎年のように出題される頻出論点です。

 

今回は文章問題でしたが、過去には計算を要する問題が出題されたこともありますので、過去問題を必ず復習しておきましょう。

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