中小企業診断士の過去問
令和3年度(2021年)
財務・会計 問19

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問題

中小企業診断士試験 第1次試験 財務・会計 令和3年度(2021年) 問19 (訂正依頼・報告はこちら)

当社は設備A~Cの導入を比較検討している。各設備の初期投資額ならびに将来の現金収支の現在価値合計は、以下のとおりである。
正味現在価値法を用いた場合と、収益性指数法を用いた場合で、それぞれどの設備への投資案が採択されるか。最も適切な組み合わせを下記の解答群から選べ。なお、設備A~Cへの投資案は相互排他的である。
問題文の画像
  • 正味現在価値法:設備A ――― 収益性指数法:設備B
  • 正味現在価値法:設備A ――― 収益性指数法:設備C
  • 正味現在価値法:設備B ――― 収益性指数法:設備B
  • 正味現在価値法:設備B ――― 収益性指数法:設備C
  • 正味現在価値法:設備C ――― 収益性指数法:設備B

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この過去問の解説 (3件)

01

設備投資の意思決定にあたって、正味現在価値法と収益性指数法の比較する問題です。

正味現在価値については、現金収支の現在価値から初期投資額を差し引きます。

設備A:5,500万円ー4,400万円=1,100万円

設備B:6,500万円ー5,000万円=1,500万円

設備C:5,400万円ー4,000万円=1,400万円

よって、一番大きな設備Bが採択されます。

収益性指数法は、現金収支の現在価値を初期投資額で除した数値を比較します。

設備A:5,500万円÷4,400万円=1.25

設備B:6,500万円÷5,000万円=1.3

設備C:5,400万円÷4,000万円=1.35

よって、一番大きな値の設備Cが採択されます。

上記から 4が正解となります。

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02

【基礎知識】

投資採算性の計算問題になります。

投資評価の方法は大きく4つあり、特に代表的、かつ試験対策上必要なのは①のNPV法になります。また、多くの考え方の基礎になっているのが、割引価値の考え方になります。

・ 割引価値

今1000円をもらうことと、1年後に1000円をもらうことは同義かどうかという内容です。仮に銀行金利が10%であれば、預金をするだけで1年後は1100円になりますので、今の1000円は1年後の1100円と同等価値ということになります。

式に表すと  1000 × (1+0.1) =1100 となります。

投資に置き換えた場合、1000円の投資で1年後に1100を生み出す投資があるとします。

この場合、投資をするべきでしょうか?利回りは10%になりますが、何と比較すればいいでしょうか?

企業がお金を調達するために払うコスト(資本コスト)よりも高ければ金額的には投資の価値があることになります。仮に資本コストが8%の場合は、8%でお金を借りて、1年後に10%で回りますので2%の差益を生むことができます。この10%や8%といった将来の金額を現在の価値に割り引くための率を割引率と言います。

①NPV(正味現在価値)法

NPV(Net Present Value)=投資が生み出すキャッシュフローの現在価値 - 初期投資額

で表されます。

仮に、100万円を投資して、5年にわたって年間25万円ずつキャッシュフローを生み出す投資があるとします。

資本コストを8%とすると、

NPV = 25/(1+0.08)+25/(1+0.08)+・・・+25/(1+0.08) - 100万円

   = - 0.182万円

となり、マイナスとなります。よってこの投資はできないという判断になります。

②IRR法

NPVと同じ考え方で資本コストの部分を変数(IRR:内部収益率)としてNPVが0になるIRRを求めます。この数値がハードルレート(投資をするために必要な利回り)を超えるかどうかで判断します。

ほぼ①のNPV法と同じですが、キャッシュフローが+、-となる場合などで①、②で判断が変わることがあるので注意が必要です。

③ペイバック(回収期間)法

純粋に投資額をキャッシュフロー額で割って、回収まで何年かかるかを感覚的に確認する方法です。

1000万円の投資で100万円のキャッシュを生み出す場合は

1000万円 ÷ 100万円 = 10年

となります。この期間をもとに投資判断を行う方法です。

④PI(収益性指数)法

将来得られるキャッシュフローの現在価値が初期投資額の何倍になるかで投資判断を行います。

当然1以上が必須となります。

PI = 将来得られるキャッシュフロー ÷ 初期投資額

【選択肢評価】

正味現在価値法

既に将来キャッシュフローの現在価値は算定されています。よって、一番大きなキャッシュを生み出す投資を考えます。

設備A 5500-4400=1100

設備B 6500-5000=1500

設備C 5400-4000=1400

よって設備Bの投資が一番現在価値が高いことになり、採択されます。

収益性指数法

同様に何倍かを見ます。

設備A 5500÷4400=1.25

設備B 6500÷5000=1.3

設備C 5400÷4000=1.35

となり、設備Cの投資が収益性指数が一番高いため、採択されます。

選択肢1. 正味現在価値法:設備A ――― 収益性指数法:設備B

上記説明より、不適切です。

選択肢2. 正味現在価値法:設備A ――― 収益性指数法:設備C

上記説明より、不適切です。

選択肢3. 正味現在価値法:設備B ――― 収益性指数法:設備B

上記説明より、不適切です。

選択肢4. 正味現在価値法:設備B ――― 収益性指数法:設備C

正解です。

選択肢5. 正味現在価値法:設備C ――― 収益性指数法:設備B

上記説明より、不適切です。

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03

設備投資案の組み合わせを問う問題です。

 

正味現在価値とは、「現金収支の現在価値ー初期投資額」で求めることができ、正味現在価値が最も大きい案が採択されます。

収益性指数法とは、「現金収支の現在価値/初期投資額」で求めることができ、収益性指数が最も大きい案が採択されます。

 

なお、「相互排他的」とは、たとえばA案を採択した場合は、A以外の案を採択することができないという意味です。

選択肢1. 正味現在価値法:設備A ――― 収益性指数法:設備B

不適切な選択肢です。

選択肢2. 正味現在価値法:設備A ――― 収益性指数法:設備C

不適切な選択肢です。

選択肢3. 正味現在価値法:設備B ――― 収益性指数法:設備B

不適切な選択肢です。

選択肢4. 正味現在価値法:設備B ――― 収益性指数法:設備C

正解の選択肢となります。

選択肢5. 正味現在価値法:設備C ――― 収益性指数法:設備B

不適切な選択肢です。

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