中小企業診断士 過去問
令和3年度(2021年)
問137 (経営法務 問2)
問題文
民法が定める消費貸借に関する記述として、最も適切なものはどれか。
なお、「民法の一部を改正する法律」( 平成29年法律第44号 )により改正された民法が適用されるものとし、附則に定める経過措置及び特約は考慮しないものとする。
なお、「民法の一部を改正する法律」( 平成29年法律第44号 )により改正された民法が適用されるものとし、附則に定める経過措置及び特約は考慮しないものとする。
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問題
中小企業診断士試験 第1次試験 経営法務 令和3年度(2021年) 問137(経営法務 問2) (訂正依頼・報告はこちら)
民法が定める消費貸借に関する記述として、最も適切なものはどれか。
なお、「民法の一部を改正する法律」( 平成29年法律第44号 )により改正された民法が適用されるものとし、附則に定める経過措置及び特約は考慮しないものとする。
なお、「民法の一部を改正する法律」( 平成29年法律第44号 )により改正された民法が適用されるものとし、附則に定める経過措置及び特約は考慮しないものとする。
- 金銭の消費貸借契約がその内容を記録した電磁的記録によってなされたとしても、その消費貸借は、諾成的消費貸借契約としての効力を有することはない。
- 書面により金銭の消費貸借契約を締結した場合、貸主から金銭を受け取る前に借主が破産手続開始の決定を受けたときは、当該消費貸借は、その効力を失う。
- 書面により金銭の消費貸借契約を締結した場合、借主は、貸主から金銭を受け取る前であっても、当該契約を解除することはできない。
- 書面により金銭の消費貸借契約を締結した場合、当該契約書に返還時期を定めたときは、借主は、当該返還時期まで、金銭を返還することはできない。
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この過去問の解説 (3件)
01
債権法に関連する民法改正が2017年に成立しました。120年ぶりの改正で民法は近な事象に適用されることも多く、診断士としても押さえておきたい内容です。
この問題はその改正内容がそのまま問われています。当設問で扱われている金銭消費貸借契約の改正内容についてポイントを抜粋します。
①当事者の合意で契約が成立する
以前の民法では、例えばお金を貸す契約の場合には実際にお金を貸さないと契約が成立しないこととなっていました。実際の裁判では当然契約が成立していると判断されるケースもあり、この改正で文書によって合意したものについては契約が成立するということが定められました。この文書には電磁的記録も含まれます(よって1は誤り)。
②利息ルールの明文化
利息は当然と思われるかもしれません。しかし、以前の民法は基本は無利息で、利息を取る場合は別途特約を結ぶ必要がありましたが、特約なしでも利息を認めたものです。
③金銭を受け取る前に借主は一方的に解除できる。
①において、書面で契約が成立すると申し上げましたが、契約を交わしたものの、借主がお金の必要がなくなることもあるため、一方的な解除権を付与したものとなります。当然、貸せなくなる場合に貸主の不利益が生じる場合がありますので、賠償請求の権利が認められています(よって3は誤り)。
④当事者の一方が破産すれば契約終了
借主が破産しても①の通り契約が成立すると貸主には貸す義務が生じることになります。よって、当ルールが定められました(よって2は正しい)。
⑤借主はいつでも返済できる
借主は利息削減のために返済を行う場合があります。これを権利として認めたものです(よって4は誤り)。
以上より、正解は2となります。
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02
選択肢1は不適切です。金銭の消費貸借契約が電磁的記録(電子メール等)によってなされた場合においても、効力を有します。
選択肢2は適切です。借主及び貸主のいずれか一方が破産手続き開始の決定を受けたときは、消費貸借契約は効力を失います。
選択肢3は不適切です。金銭の消費貸借契約を締結した場合においても、当該契約を解除することは可能です。
選択肢4は不適切です。金銭の消費貸借契約上に返済期限を定めた場合であっても、原則的に借主はいつでも返済を行うことは可能です。但し、契約上で別段の定めがある場合や、返済日までに返済することで貸主に損害が生じる場合等は例外があります。
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03
民法が定める消費貸借に関する問題です。
各選択肢の日本語表現のみでも、違和感のある選択肢を排除することは可能です。
金銭の消費貸借契約がその内容を記録した電磁的記録によってなされたとしても、その消費貸借は、諾成的消費貸借契約としての効力を有します。
本選択肢では、「効力を有することはない」という100%断定の記述がされていますが、このような記述は一般的に誤りの選択肢である可能性が高いです。
あくまでも可能性が高いというだけなので、他の選択肢と比較検討した上で正誤判断をして頂くことを推奨します。
正解の選択肢となります。
破産手続開始の決定を受けた借主に金銭を貸し付ければ、その金銭は返済されない(返済できない)可能性があるためです。
書面により金銭の消費貸借契約を締結した場合、借主は、貸主から金銭を受け取る前であっても、当該契約を解除することはできます。
消費貸借契約を締結した後であっても、貸主がまだ金銭を貸し付けていなければ契約を解除しても何ら不都合はないためです。(実際に貸し付けるまでは、利子も発生しません)
書面により金銭の消費貸借契約を締結した場合、当該契約書に返還時期を定めたときは、借主は、当該返還時期に到達していなくても金銭を返還することはできます。
借主には、返還時期まで債務の返済を履行しなくてよい、いわゆる「期限の利益」があります。例えば、6月1日に消費貸借契約を締結して、その返還時期を半年後の11月30日と定めた場合、11月30日までの半年間は返済義務を猶予されている(期限の利益を享受することができる)期間になります。
11月30日を過ぎるのは絶対にダメですが、11月30日当日に返済しても構わないのです。
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