中小企業診断士の過去問
令和3年度(2021年)
経営法務 問1

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問題

中小企業診断士試験 第1次試験 経営法務 令和3年度(2021年) 問1 (訂正依頼・報告はこちら)

会社法が定める株式会社の社債に関する記述として、最も適切なものはどれか。なお、本問における会社は取締役会設置会社である。
  • 公開会社ではない会社においては、社債の募集事項の決定は、株主総会の決議によらなければならない。
  • 公開会社においては、社債の募集事項の決定は、すべて取締役会の決議によらなければならず、代表取締役に委任できる事項はない。
  • 社債権者は、社債の種類ごとに社債権者集会を組織する。
  • 社債を発行する場合、発行する社債の総額が1億円以上である場合には、必ず、社債管理者を設置しなければならない。

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この過去問の解説 (3件)

01

選択肢1は不適切です。公開会社に限らず、株式会社における社債の発行は取締役会において決議されます。

選択肢2は不適切です。社債発行について重要でない事項については、取締役に決定を委任することが可能です。

選択肢3は適切です。社債権者集会とは、利害の共通する同一種類の社債権者によって構成され、その社債権者の総意を決定する合議体です。社債の種類ごとに組織され、法定事項及び社債権者の利害に関する事項を決議します。

選択肢4は不適切です。社債管理者は、社債の総額を当該種類の各社債の金額の最低額で除して得た数が50を下回る場合は設置する必要はありません。

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02

社債に関する問題です。選択肢1,2は社債の募集事項の決定について、3は社債権者集会について、4は社債管理者についての正誤問題となっています。

社債の発行権限ですが、原則は取締役会がこの権限を持っています。なぜなら資金を調達するという業務執行に関する決定事項であるからです。しかし、取締役会で決定しなければいけない事項は総額、利率など重要な事項に限られ、詳細等、細かな点については代表取締役等に委任することができます

取締役会が非設置の場合は、取締役の過半数の決議もしくは1名の取締役が決めることができます。よって、1は誤りです。

2の公開会社は取締役会を設置することが必須となりますので、取締役会の決議が必要ですが、取締役会で決議する必要があるのは、重要な事項に限られており、細かな点は代表取締役でも決議することができますので誤りです。

3の社債権者集会とは、社債権者が多岐にわたる場合、意思決定を統一させるために臨時的に設置される機関です。社債の種類ごとで対応や権限が異なるためにそれぞれの社債の種類ごとに設置されますので、3は正しい記述です。

4の社債管理者は社債権者の権利を守るために債権を管理をする機関(銀行など)になります。原則設置するものですが、以下の場合は設置不要とされます。

  • ・各社債の金額が1億円以上の場合
  • 社債の総額を当該種類の各社債の金額の最低額で除して得た数が50を下回る場合
  • これらの場合は、債権者の規模が大きかったり、債権者が少数であるため、保護したり取りまとめる必要性が乏しいため、設置する必要はなくなります。よって誤りです。

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03

社債に関する問題です。

 

 

選択肢1. 公開会社ではない会社においては、社債の募集事項の決定は、株主総会の決議によらなければならない。

社債の募集事項の決定は、取締役会決議によらなければなりません。

 

なお、この規定は公開会社であっても同じです。

選択肢2. 公開会社においては、社債の募集事項の決定は、すべて取締役会の決議によらなければならず、代表取締役に委任できる事項はない。

社債の募集事項の決定は、代表取締役に委任できる事項です

 

社債発行総額、社債を引き受ける者の募集に関する重要事項として法務省令で定める事項については、取締役会決議が必要となります。

 

なお、上記の規定を知らなかったとしても、本選択肢では「代表取締役に委任できる事項はない」という100%否定表現が用いられており、この表現に違和感を感じて選択肢から排除することができれば十分です。

選択肢3. 社債権者は、社債の種類ごとに社債権者集会を組織する。

正解の選択肢となります。

選択肢4. 社債を発行する場合、発行する社債の総額が1億円以上である場合には、必ず、社債管理者を設置しなければならない。

会社法第702条には、社債管理者の設置として以下のように定められています。

 

会社は、社債を発行する場合には、社債管理者を定め、社債権者のために、弁済の受領、債権の保全その他の社債の管理を行うことを委託しなければならない。ただし、各社債の金額が1億円以上である場合その他社債権者の保護に欠けるおそれがないものとして法務省令で定める場合は、この限りでない

 

本選択肢では「必ず、社債管理者を設置しなければならない」としていますので、この部分が不適切となります。

 

なお、上記の規定を知らなかったとしても、本選択肢では「必ず」という100%断定表現が用いられており、この表現に違和感を感じて選択肢から排除することができれば十分です。

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