中小企業診断士 過去問
令和6年度(2024年)
問130 (運営管理 問38)
問題文
物流センターの運営に関する記述として、最も適切なものはどれか。
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問題
中小企業診断士試験 令和6年度(2024年) 問130(運営管理 問38) (訂正依頼・報告はこちら)
物流センターの運営に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- ASNは、荷受側が納品を受けた後に荷送側に対して送信する受領明細である。
- 固定ロケーション管理では、入庫の都度、空いている場所に商品を格納するため、同じ商品が異なる場所に所在する。
- 摘み取り方式ピッキングは、商品ごとのオーダー総数をまとめてピッキングすることである。
- 物流センターにおけるトラック予約受付システムの導入の目的の1つは、運送事業者の積み込みや取り卸しの前にかかる手待ち時間を短縮することである。
- マテハン機器のうち、ソーターは保管用の機器であり、AGVは仕分用の機器である。
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この過去問の解説 (3件)
01
物流センターの運営に関する問題です。
ASNは、荷送側が納品する前に荷受側に対して送信する受領明細です。
「荷受側が納品を受けた後に荷送側に対して送信する」のは検収完了通知であり、不適切な選択肢です。
(店舗に商品が到着後、店舗側で納品明細と納品内容が一致しているかどうかのチェックを行ないます。これを検収といいます)
※ASNはAdvanced(~の前に) Shipping Noticeの略です。
フリーロケーション管理では、入庫の都度、空いている場所に商品を格納するため、同じ商品が異なる場所に所在します。
固定ロケーション管理は、文字通り、入庫の度に固定された場所に商品を格納するため、不適切な選択肢です。
種まき方式ピッキングは、商品ごとのオーダー総数をまとめてピッキングすることです。
摘み取り方式ピッキングではオーダーごとにピッキングするため、不適切な選択肢です。
物流センターにおけるトラック予約受付システムの導入の目的の1つは、運送事業者の積み込みや取り卸しの前にかかる手待ち時間を短縮することであることは、トラック予約受付システムの説明として適切です。
トラック予約受付システムを導入することで、運送事業者側は予約した時間に物流センターに到着すれば良いため、長時間待たされることがなく長時間労働の是正につながります。また、物流センター側にとっても予約状況に応じて柔軟に人員を配置することができるというメリットがあります。
以上から、正解の選択肢となります。
マテハン機器のうち、ソーターは仕分用の機器であり、AGVは運搬用の機器です。
AGV(Automatic Guided Vehicle)とは、プログラミングされた通りに構内を往来して搬送作業を行なうロボットのことであるため、不適切な選択肢です。
【補足】
・固定ロケーション管理とフリーロケーション管理について
物流センターの保管容量には限りがあり、物流量に応じて柔軟にロケーション管理する必要があるため、物流量が落ち着いている時期には固定ロケーション管理で運用して、物流量が増加する時期にはフリーロケーション管理で運用するなど、実務上併用されていることが多いです。
・ピッキング方式(種まき、摘み取り)について
シングルピッキング(摘み取り方式)は、オーダーごとに商品を集めて回る(オーダーごとに摘み取っていく)方式です。
トータルピッキング(種まき方式)は、複数のオーダーの商品をまとめてピッキングして、後で(種をまくように)オーダーごとに仕分ける方法です。
どちらも運営管理では頻繁に出題されるため、確実に正誤判断できる論点を積み上げていくことが科目合格につながります。
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02
消去法で正解できる問題です。必ず正解したい問題です。
ASN(Advance Shipping Notice/事前出荷明細)とは、荷送側(出荷元)が、荷受側(納品先)に対して、事前に送信する納品予定の明細情報を指します。
よって、本選択肢は誤りです。
固定ロケーション管理とは、商品ごとに決められた「格納場所」を固定して管理する方式です。
商品Aは、ロケーションaというように、いつも同じ場所に格納します。
よって、本選択肢は誤りです。
摘み取り方式ピッキングとは、注文単位で商品を1つずつ集めるピッキング方式です。
作業者は注文ごとに倉庫内を回って、必要な商品を「摘み取る」ようにして集めていきます。
よって、本選択肢は誤りです。
正しいです。
トラック予約受付システムを導入することで、荷受け・荷出しの時間帯を分散したり、待機時間の短縮が実現できます。
ソーターとは、仕分け用のマテハン機器です。商品や荷物を宛先や品目ごとに自動で仕分ける装置です。
よって、本選択肢は誤りです。
必ず正解したい問題です。
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03
物流センターの運営に関する問題です。物流センターは商品の保管や仕分け、配送の拠点となる施設で、その効率的な運営は現代のサプライチェーンマネジメントにおいて不可欠です。この問題では、ASN(事前出荷通知)、ロケーション管理、ピッキング方式、トラック予約システム、マテハン機器(マテリアルハンドリング機器)など、物流センター運営に関わる様々な概念や技術について問われています。
この選択肢は誤りです。ASN(Advanced Shipping Notice)は、荷送側が納品する前に荷受側に対して送信する事前出荷通知のことです。「Advanced」という名称が示すように、商品が到着する前に送られる事前通知であり、どのような商品がいつ、どれだけ届くかを荷受側に知らせるためのものです。選択肢で説明されているのは「検収完了通知」に該当するもので、これは荷受側が納品を受けた後に検品を行い、その結果を荷送側に通知するものです。ASNを活用することで、荷受側は入荷予定を把握し、作業計画を立てやすくなるというメリットがあります。
この選択肢は誤りです。固定ロケーション管理では、特定の商品に対して固定された保管場所(ロケーション)が割り当てられるため、同じ商品は常に同じ場所に保管されます。選択肢で説明されているのは「フリーロケーション管理」の特徴であり、この方式では入庫の都度、空いている場所に商品を格納するため、同じ商品が倉庫内の異なる場所に存在することになります。固定ロケーション管理はピッキング効率が良い半面、スペース効率が悪いというデメリットがあります。実務では、季節的な需要変動などに応じて両方の方式を使い分けることも多いです。
この選択肢は誤りです。摘み取り方式ピッキング(シングルピッキング)は、1つの注文(オーダー)ごとに必要な商品を倉庫内から取り出していく方式です。注文ごとに1人の作業者が「摘み取る」ように商品を集めていくことから、この名前がついています。選択肢で説明されているのは「種まき方式ピッキング」(トータルピッキング)であり、これは複数の注文に必要な商品の総数をまとめてピッキングし、後で注文ごとに仕分ける方式です。摘み取り方式は小規模な配送に適している一方、種まき方式は大量注文の処理に向いています。
この選択肢は正しいです。物流センターにおけるトラック予約受付システムの導入目的の1つは、運送事業者のトラックが積み込みや取り卸しの前に待機する「手待ち時間」を短縮することです。予約システムがなければ、多くのトラックが同じ時間帯に物流センターに到着し、長時間待たされることになりますが、予約制にすることで到着時間が分散され、待機時間が大幅に短縮されます。これはドライバーの労働時間短縮につながるだけでなく、物流センター側も人員配置を最適化できるというメリットがあります。物流2024年問題(ドライバー不足)の対策としても、こうしたシステムの導入は重要視されています。
この選択肢は誤りです。マテハン機器(マテリアルハンドリング機器)のうち、ソーターは仕分け用の機器であり、AGV(Automatic Guided Vehicle:無人搬送車)は運搬用の機器です。ソーターは、コンベアで流れてくる荷物を行先別に自動的に振り分ける機器で、大規模な物流センターでは欠かせない設備となっています。一方、AGVはプログラムされた経路に沿って自律的に動き、倉庫内の物品を運搬するロボットのような機器です。保管用の機器としては、自動倉庫やラック、保管棚などがあります。
本問の正解は選択肢4です。トラック予約受付システムの目的として、運送事業者の手待ち時間短縮が適切に説明されています。物流センターの効率的な運営は、物流コスト削減や納品リードタイム短縮のために重要であり、そのためには適切な在庫管理システムやピッキング方式、マテハン機器の選定が必要です。近年はドライバー不足や働き方改革に対応するため、予約システムの導入やデジタル化が進んでいます。運営管理として物流に関する問題は頻出であるため、各概念の正確な理解と区別が求められます。特に固定・フリーロケーション管理や摘み取り・種まき方式ピッキングといった対比的な概念は、正誤判断の際に混同しやすいので注意が必要です。
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