第三種電気主任技術者の過去問
平成30年度(2018年)
電力 問36

このページは閲覧用ページです。
履歴を残すには、 「新しく出題する(ここをクリック)」 をご利用ください。

問題

第三種 電気主任技術者試験 平成30年度(2018年) 電力 問36 (訂正依頼・報告はこちら)

変圧器に使用される鉄心材料に関する記述として、誤っているものを次の( 1 )~( 5 )のうちから一つ選べ。
  • 鉄は、炭素の含有量を低減させることにより飽和磁束密度及び透磁率が増加し、保磁力が減少する傾向があるが、純鉄や低炭素鋼は電気抵抗が小さいため、一般に交流用途の鉄心材料には適さない。
  • 鉄は、けい素含有量の増加に伴って飽和磁束密度及び保磁力が減少し、透磁率及び電気抵抗が増加する傾向がある。そのため、けい素鋼板は交流用途の鉄心材料に広く使用されているが、けい素含有量の増加に伴って加工性や機械的強度が低下するという性質もある。
  • 鉄心材料のヒステリシス損は、ヒステリシス曲線が囲む面積と交番磁界の周波数に比例する。
  • 厚さの薄い鉄心材料を積層した積層鉄心は、積層した鉄心材料間で電流が流れないように鉄心材料の表面に絶縁被膜が施されており、鉄心材料の積層方向(厚さ方向)と磁束方向とが同一方向となるときに顕著な渦電流損の低減効果が得られる。
  • 鉄心材料に用いられるアモルファス磁性材料は、原子配列に規則性がない非結晶構造を有し、結晶構造を有するけい素鋼材と比較して鉄損が少ない。薄帯形状であることから巻鉄心形の鉄心に適しており、柱上変圧器などに使用されている。

次の問題へ

正解!素晴らしいです

残念...

この過去問の解説 (2件)

01

解答
(1)正しいです。
問題文の通りです。

(2)正しいです。
問題文の通りです。

(3)正しいです。
問題文の通りです。

(4)間違いです。
積層鉄心を使用することで渦電流損を減らすことができますが、渦電流は磁束と直角方向に発生しますので、積層方向と磁束方向とが直角方向となるときに渦電流損の低減効果が得られます。

(5)正しいです。
問題文の通りです。

よって答えは4番となります。

解説
変圧器の鉄心には電磁鋼帯が用いられます。電磁鋼帯の多くはけい素を含む鋼であり、けい素鋼帯とも呼ばれています。
変圧器の鉄心に使用されているけい素鋼帯は薄鉄板に加工し、これらを積み重ねて使用されています。
これは交番磁界中で渦電流通路の電気抵抗を大きくし、鉄心内の損失を少なくするためです。
したがって、薄鉄板材料そのものとしても、比透磁率、飽和磁束密度は大きく、残留磁束密度、保磁力は小さく、抵抗率を大きくするような組み合わせを選びます。

参考になった数5

02

正解は4です。

1 .鉄は、炭素の含有量を低減させることにより飽和磁束密度及び透磁率が増加し、保磁力が減少する傾向があるが、純鉄や低炭素鋼は電気抵抗が小さいため、一般に交流用途の鉄心材料には適さない。 →正しいです。
鉄の炭素含有量を低減させた場合、飽和磁束密度、透磁率は増加し、保磁力、電気抵抗は減少します。

2 .鉄は、けい素含有量の増加に伴って飽和磁束密度及び保磁力が減少し、透磁率及び電気抵抗が増加する傾向がある。そのため、けい素鋼板は交流用途の鉄心材料に広く使用されているが、けい素含有量の増加に伴って加工性や機械的強度が低下するという性質もある。 →正しいです。
鉄のけい素含有量を増加させた場合、飽和磁束密度、保磁力は減少し、透磁率、電気抵抗は増加します。また、加工性、機械的強度は低下します。

3 .鉄心材料のヒステリシス損は、ヒステリシス曲線が囲む面積と交番磁界の周波数に比例する。 →正しいです。
ヒステリシス損は、鉄心の磁区が交番磁界により磁界の向きを変えるときの損失です。ヒステリシス損は、ヒステリシス曲線が囲む面積と交番磁界の周波数に比例します。

4 .厚さの薄い鉄心材料を積層した積層鉄心は、積層した鉄心材料間で電流が流れないように鉄心材料の表面に絶縁被膜が施されており、鉄心材料の積層方向(厚さ方向)と磁束方向とが同一方向となるときに顕著な渦電流損の低減効果が得られる。→誤りです。
鉄心材料の積層方向に対して、磁束方向が直交方向となるとき、絶縁被覆により渦電流損が低減されます。よって誤りです。

5 .鉄心材料に用いられるアモルファス磁性材料は、原子配列に規則性がない非結晶構造を有し、結晶構造を有するけい素鋼材と比較して鉄損が少ない。薄帯形状であることから巻鉄心形の鉄心に適しており、柱上変圧器などに使用されている。 →正しいです。
アモルファス磁性材料は、合金溶湯を超急冷してつくる非結晶構造です。
またアモルファス金属材料は、柱上変圧器、産業用変圧器用に使用されていて、ケイ素鋼板などの結晶構造に比べて鉄損が小さく、省エネルギーに適しています。

参考になった数3