第三種電気主任技術者(電験三種) 過去問
令和5年度(2023年)下期
問33 (電力 問11)

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問題

第三種 電気主任技術者試験 令和5年度(2023年)下期 問33(電力 問11) (訂正依頼・報告はこちら)

直流送電に関する記述として、誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
  • 系統連系のための直流送電では、交直変換所の設置が必要となる。
  • 交流送電のような同期安定度の問題がないので、長距離送電に適している。
  • 直流の高電圧大電流の遮断は、交流の場合より容易である。
  • 直流は、変圧器で簡単に昇圧や降圧ができない。
  • 交直変換器からは高調波が発生するので、フィルタ設置等の対策が必要である。

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この過去問の解説 (2件)

01

直流送電に関する記述の中で、誤っているものを選択する問題です。

選択肢1. 系統連系のための直流送電では、交直変換所の設置が必要となる。

問題文の通りです。

選択肢2. 交流送電のような同期安定度の問題がないので、長距離送電に適している。

問題文の通りです。

選択肢3. 直流の高電圧大電流の遮断は、交流の場合より容易である。

直流では電流零点がないため、高電圧・大電流の遮断は困難となっています。

従って、この選択肢が誤りとなります。

選択肢4. 直流は、変圧器で簡単に昇圧や降圧ができない。

問題文の通りです。

選択肢5. 交直変換器からは高調波が発生するので、フィルタ設置等の対策が必要である。

問題文の通りです。

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02

この問題を解くポイントは、直流送電と交流送電の違いを正しく理解することです。

直流送電(HVDC)は、交流送電と比べてさまざまな特性を持っています。

それでは問題を見ていきましょう。

選択肢1. 系統連系のための直流送電では、交直変換所の設置が必要となる。

この記述は正しいです。 

直流送電では、交流系統と接続するために 交直変換所(コンバータ)が必要です。

これは 交流を直流に変換する (AC/DC)ための設備です。

選択肢2. 交流送電のような同期安定度の問題がないので、長距離送電に適している。

この記述は正しいです。 

直流送電は、交流送電のような同期の問題がないため、特に長距離送電に適用されます。

交流では電力系統の周波数が異なる地域を接続するのが難しいのに対し、直流は同期を気にせず接続可能です。

選択肢3. 直流の高電圧大電流の遮断は、交流の場合より容易である。

この記述は誤りです。

直流は電流が常に一定方向に流れているため、遮断するのが難しいという特徴があります。

交流は電流が周期的にゼロになる瞬間があり、このタイミングを利用して遮断することができますが、

直流にはこのゼロ点がありません。

そのため、高圧大電流の直流を遮断するのは非常に困難で、特殊な遮断器が必要になります。

記述では「直流の遮断は交流より容易」とあるため、誤りです。

選択肢4. 直流は、変圧器で簡単に昇圧や降圧ができない。

この記述は正しいです。

直流には変圧器を用いた電圧変換ができません。

交流はトランスを利用して電圧を簡単に変えられますが、

直流ではこれができないため、別の方法(DC/DCコンバータなど)が必要になります。

選択肢5. 交直変換器からは高調波が発生するので、フィルタ設置等の対策が必要である。

この記述は正しいです。

交直変換所では、交流と直流を変換する際に高調波が発生するため、フィルタなどで対策を行う必要があります。

これは直流送電の大きな課題のひとつです。

まとめ

直流送電は長距離送電や系統間の異周波数連携に優れていますが、遮断や電圧変換が困難という特徴があります。

一言知識

「HVDC(高圧直流送電)」は、主に海底ケーブルを利用した送電に適用されることが多いです。

日本と他国をつなぐ国際連系線にはHVDCが利用されることが検討されています。

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