技術士の過去問
令和元年度(2019年)再試験
適性科目 問38

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問題

技術士 第一次試験 令和元年度(2019年)再試験 適性科目 問38 (訂正依頼・報告はこちら)

ものづくりに携わる技術者にとって、特許法を理解することは非常に大事なことである。特許法の第 1 条には、「この法律は、発明の保護及び利用を図ることにより、発明を奨励し、もって産業の発達に寄与することを目的とする」とある。発明や考案は、目に見えない思想、アイディアなので、家や車のような有体物のように、目に見える形でだれかがそれを占有し、支配できるというものではない。したがって、制度により適切に保護がなされなければ、発明者は、自分の発明を他人に盗まれないように、秘密にしておこうとすることになる。しかしそれでは、発明者自身もそれを有効に利用することができないばかりでなく、他の人が同じものを発明しようとして無駄な研究、投資をすることとなってしまう。そこで、特許制度は、こういったことが起こらぬよう、発明者には一定期間、一定の条件のもとに特許権という独占的な権利を与えて発明の保護を図る一方、その発明を公開して利用を図ることにより新しい技術を人類共通の財産としていくことを定めて、これにより技術の進歩を促進し、産業の発達に寄与しようというものである。
特許の要件に関する次の( ア )~( エ )の記述について、正しいものは ○ 、誤っているものは × として、最も適切な組合せはどれか。

( ア )「発明」とは、自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度なものであること
( イ )公の秩序、善良の風俗又は公衆の衛生を害するおそれがないこと
( ウ )産業上利用できる発明であること
( エ )国内外の刊行物等で発表されていること
  • ア:×  イ:○  ウ:○  エ:×
  • ア:○  イ:×  ウ:○  エ:○
  • ア:×  イ:○  ウ:×  エ:○
  • ア:○  イ:○  ウ:○  エ:×
  • ア:○  イ:○  ウ:×  エ:×

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この過去問の解説 (3件)

01

特許は、技術士とは切っても切れない事項であるため、試験には頻出の内容になります。今回は、法律に基づく特許の定義について問われています。https://elaws.e-gov.go.jpで特許法について参照しながら考えていくとわかりやすいです。

(ア) 第二条に、以下の記述があります。

この法律で「発明」とは、自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のものをいう。

以上より、(ア)は○です。

(イ) については、第三十二条に、以下の記述があります。

公の秩序、善良の風俗又は公衆の衛生を害するおそれがある発明については、第二十九条の規定にかかわらず、特許を受けることができない。

以上より、(イ)は○です。

(ウ)については、第二十九条に、以下の記述があります。

産業上利用することができる発明をした者は、次に掲げる発明を除き、その発明について特許を受けることができる。

以上より、(ウ)は○です。

(エ)については、第二十九条に、次の記述があります。

第二十九条 産業上利用することができる発明をした者は、次に掲げる発明を除き、その発明について特許を受けることができる。

一 特許出願前に日本国内又は外国において公然知られた発明

二 特許出願前に日本国内又は外国において公然実施をされた発明

三 特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となつた発明

以上より、(エ)は×です。

まとめると、正解選択肢は4.となります。

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02

ア.正しい

イ.正しい

ウ.正しい

エ.刊行物等で発表されていなくても、特許要件に該当するので誤りです。

よって答えは4です。

参考になった数9

03

<正解>4

[解説]

特許法における特許の要件に関する

記述内容についての正誤の組合せ問題です。

(ア)から(エ)の記述内容は、以下のとおりとなります。

(ア)正しい記述内容です。

特許法第2条第1項において、

「発明」とは、

自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度なものをいう。

とされています。

よって、正しい記述内容です。

(イ)正しい記述内容です。

特許法第32条において、

公の秩序、善良の風俗又は公衆の衛生を害するおそれがある発明については、

第29条の規定にかかわらず、

特許を受けることができない。

とされています。

つまり、「公の秩序、善良の風俗又は公衆の衛生を害するおそれがないこと」

であることが求められています。

よって、正しい記述内容です。

(ウ)正しい記述内容です。

特許法第29条において、

産業上利用することができる発明をした者は、特許を受けることができる。

こととされています。

つまり、「産業上利用できる発明」であることが求められています。

よって、正しい記述内容です。

(エ)誤った記述内容です。

特許法第29条において、

特許を受けることができない発明として、

以下のものが掲げられています。

一 特許出願前に日本国内又は外国において公然知られた発明

二 特許出願前に日本国内又は外国において公然実施をされた発明

三 特許出願前に日本国内又は外国において、

頒布された刊行物に記載された発明

又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明

「国内外の刊行物等で発表されていること」は、

特許出願前に日本国内又は外国において、

頒布された刊行物に記載された発明

となり、特許を受けることができない発明となります。

よって、誤った記述内容です。

これらを踏まえて、各選択肢を検討すると以下のとおりとなります。

1 (ア)が×となっているため、

不適切な組み合わせとなります。

2 (イ)が×(エ)が○となっているため、

不適切な組み合わせとなります。

3 (ア)と(ウ)が×(エ)が○となっているため、

不適切な組み合わせとなります。

4 (ア)から(エ)の全てが合致しているため、

適切な組み合わせとなります。

5 (ウ)が×となっているため、

不適切な組み合わせとなります。

よって、4が正解となります。

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