技術士の過去問
令和元年度(2019年)再試験
適性科目 問41

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問題

技術士 第一次試験 令和元年度(2019年)再試験 適性科目 問41 (訂正依頼・報告はこちら)

IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の第 5 次評価報告書第1作業部会報告書では「近年の地球温暖化が化石燃料の燃焼等による人間活動によってもたらされたことがほぼ断定されており、現在増え続けている地球全体の温室効果ガスの排出量の大幅かつ持続的削減が必要である」とされている。
次の温室効果ガスに関する記述について、正しいものは ○ 、誤っているものは × として、最も適切な組合せはどれか。

( ア )温室効果ガスとは、地球の大気に蓄積されると気候変動をもたらす物質として、京都議定書に規定された物質で、二酸化炭素(CO2)とメタン(CH4)、亜酸化窒素(一酸化二窒素 / N2O)のみを指す。
( イ )低炭素社会とは、化石エネルギー消費等に伴う温室効果ガスの排出を大幅に削減し、世界全体の排出量を自然界の吸収量と同等のレベルとしていくことにより、気候に悪影響を及ぼさない水準で大気中の温室効果ガス濃度を安定化させると同時に、生活の豊かさを実感できる社会をいう。
( ウ )カーボン・オフセットとは、社会の構成員が、自らの責任と定めることが一般に合理的と認められる範囲の温室効果ガスの排出量を認識し、主体的にこれを削減する努力を行うとともに、削減が困難な部分の排出量について、他の場所で実現した温室効果ガスの排出削減・吸収量等を購入すること又は他の場所で排出削減・吸収を実現するプロジェクトや活動を実現すること等により、その排出量の全部を埋め合わせた状態をいう。
( エ )カーボン・ニュートラルとは、社会の構成員が、自らの温室効果ガスの排出量を認識し、主体的にこれを削減する努力を行うとともに、削減が困難な部分の排出量について、他の場所で実現した温室効果ガスの排出削減・吸収量等を購入すること又は他の場所で排出削減・吸収を実現するプロジェクトや活動を実現すること等により、その排出量の全部又は一部を埋め合わせる取組みをいう。
  • ア:×  イ:○  ウ:×  エ:×
  • ア:×  イ:×  ウ:○  エ:○
  • ア:×  イ:○  ウ:○  エ:○
  • ア:○  イ:○  ウ:×  エ:×
  • ア:○  イ:○  ウ:○  エ:○

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この過去問の解説 (3件)

01

<正解>1

[解説]

温室効果ガスに関する記述内容について

の正誤の組合せ問題です。

(ア)から(エ)の記述内容は、以下のとおりとなります。

(ア)誤った記述内容です。

温室効果ガスには、様々なものがあり、

二酸化炭素(CO2)、メタン(CH4)、一酸化二窒素(N2O)のほか、

フロンガスなども含まれます。

「二酸化炭素(CO2)、メタン(CH4)、一酸化二窒素(N2O)」に限定している記述は誤りです。

(イ)正しい記述内容です。

低炭素社会とは、

化石エネルギー消費等に伴う温室効果ガスの排出を大幅に削減し、

世界全体の排出量を自然界の吸収量と同等のレベルとしていくことにより、

気候に悪影響を及ぼさない水準で大気中の温室効果ガス濃度を安定化させると同時に、

生活の豊かさを実感できる社会をいいます。

よって、正しい記述内容です。

(ウ)誤った記述内容です。

カーボン・オフセットとは、

日常生活や経済活動において避けることができない

CO2等の温室効果ガスの排出について、

まず、できるだけ排出量が減るよう削減努力を行い、

どうしても排出される温室効果ガスについて、

排出量に見合った温室効果ガスの削減活動に投資すること等により、

排出される温室効果ガスを埋め合わせるという考え方をいいます。

問題文の内容は、カーボン・ニュートラルの説明です。

よって、誤った記述内容です。

(エ)誤った記述内容です。

カーボン・ニュートラルとは、

二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの「排出量」 から、

植林や森林管理などによる「吸収量」 を差し引いて、

合計を実質的にゼロにすることをいいます。

問題文の内容は、カーボン・オフセットの説明です。

よって、誤った記述内容です。

これらを踏まえて、各選択肢を検討すると以下のとおりとなります。

1 (ア)から(エ)の全てが合致しているため、

適切な組み合わせとなります。

2 (ア)以外が合致していないため、

不適切な組み合わせとなります。

3 (ウ)と(エ)が○となっているため、

不適切な組み合わせとなります。

4 (ア)が○となっているため、

不適切な組み合わせとなります。

5 (イ)以外が合致していないため、

不適切な組み合わせとなります。

よって、1が正解となります。

参考になった数25

02

環境省など、信頼のおける公的機関が発出する情報をもとに、問題を整理していきます。

ア: https://www.env.go.jp/earth/ondanka/ghg-mrv/overview.html に、「温室効果ガスには様々なものがありますが、人間の活動によって増加した主な温室効果ガスには、二酸化炭素(CO2)やメタン(CH4)、一酸化二窒素(N2O)、フロンガスがあります。」との記述があります。したがって、この記述は×です。

イ: https://www.env.go.jp/earth/info/pc071211/jp.pdf に、「低炭素社会とは、究極的には、温室効果ガスの排出を自然が吸収できる量以内にとどめる(カーボン・ニュートラル)社会を目指すものである。そのためには、産業、行政、国民など社会のあらゆるセクターが、その選択や意志決定において、省エネルギー・低炭素エネルギーの推進や、3Rの推進による資源生産性の向上等により、二酸化炭素の排出を最小化(「カーボン・ミニマム」 ) するための配慮を徹底することを当然とする社会システムが必要。」「人々は先進国を中心に形成された大量消費に生活の豊かさを求める画一的な社会から脱却し、家族やコミュニティとの絆、健康、自然との触れ合い、もったいないの心などに価値を置くことにより生活の質を高めることを志向する。このような消費者の選択が社会システムの変革をもたらし、低炭素で豊かな社会を実現する。」とあります。したがって、この記述は○です。

ウ: https://www.env.go.jp/earth/ondanka/mechanism/carbon_offset.html に、「カーボン・オフセットとは、日常生活や経済活動において避けることができないCO2等の温室効果ガスの排出について、まずできるだけ排出量が減るよう削減努力を行い、どうしても排出される温室効果ガスについて、排出量に見合った温室効果ガスの削減活動に投資すること等により、排出される温室効果ガスを埋め合わせるという考え方です。」とあります。「全部を埋め合わせる」わけではないので、したがって、この記述は×です。

エ: https://ondankataisaku.env.go.jp/carbon_neutral/about/ に、「2020年10月、政府は2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、カーボンニュートラルを目指すことを宣言しました。「排出を全体としてゼロ」というのは、二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの「排出量」※ から、植林、森林管理などによる「吸収量」※ を差し引いて、合計を実質的にゼロにすることを意味しています。※人為的なもの カーボンニュートラルの達成のためには、温室効果ガスの排出量の削減 並びに吸収作用の保全及び強化をする必要があります。」との記述があります。したがって、この記述は×です。

以上まとめると、正解選択肢は1.となります。

参考になった数12

03

ア.温室効果ガスには他にもフロンガスなどがあるので誤りです。

イ.正しい

ウ.カーボン・ニュートラルの説明なので誤りです。

エ.カーボン・オフセットの説明なので誤りです。

よって答えは1です。

参考になった数10