技術士の過去問
令和2年度(2020年)
基礎科目「環境・エネルギー・技術に関するもの」 問29
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問題
技術士 第一次試験 令和2年度(2020年) 基礎科目「環境・エネルギー・技術に関するもの」 問29 (訂正依頼・報告はこちら)
日本の工業化は明治維新を経て大きく進展していった。この明治維新から第二次世界大戦に至るまでの日本の産業技術の発展に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
- 江戸時代に成熟していた手工業的な産業が、明治維新によって開かれた新市場において、西洋技術を取り入れながら独自の発展を生み出していった。
- 西洋の先進国で標準化段階に達した技術ー式が輸入され、低賃金の労働力によって価格競争力の高い製品が生産された。
- 日本工学会に代表される技術系学協会は、欧米諸国とは異なり大学などの高学歴出身者たちによって組織された。
- 工場での労働条件を改善しながら国際競争力を強化するために、テイラーの科学的管理法が注目され、その際に統計的品質管理の方法が導入された。
- 工業化の進展にともない、技術官僚たちは行政における技術者の地位向上運動を展開した。
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この過去問の解説 (3件)
01
科学技術の歴史に関する問題も技術士試験では頻出です。ここでは、「不適切なものはどれか」という問いにも気をつけましょう。
今回の項目は
1. 適切な説明です。江戸時代を通じてすでに軽工業の分野で成熟を迎えていましたが、主に機械など西洋技術の導入によりさらに発展していったものです。世界遺産に認定された富岡製糸場などが例ですね。
2. これも適切です。しかし、低賃金労働力を酷使することでさまざまな問題が起こっていた負の側面も知っておく必要はあるでしょう。
3. これも適切です。たとえば、問題文中にもある日本工学会の歴史によれば、「日本工学会は明治12年11月18日、工部大学校(東京大学工学部の前身)の土木、電信、機械、造家、化学、鉱山、冶金7学科の第1期卒業生 23 名により相互の親睦、知識の交換を目的として創立され」とあり、当時の最高学歴者によって組織されたことがわかります。
4. これは不適切です。テイラーの科学的管理法は日本にも導入されましたが、品質管理ではなく労働者管理の方法論になります。
5. これは適切です。取り組みの一環として、1918年に工政会が発足しています。
以上から、最も不適切なものは4. となりますので、正解選択肢は4.です。
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02
<正解>4
[解説]
明治維新から第二次世界大戦に至るまでの
日本の産業技術の発展に関する問題です。
各記述内容の正誤は以下のとおりです。
1.適切な記述です。
江戸時代に成熟していた手工業的な産業は、西洋技術を取り入れながら、
独自の発展をとげました。
よって、適切な記述です。
2.適切な記述です。
西洋の先進国で標準化段階に達した技術と低賃金の労働力によって、
低コストで価格競争力の高い製品が生産されました。
よって、適切な記述です。
3.適切な記述です。
日本工学会などの技術系学協会は、大学などの高学歴出身者たちによって組織されました。
なお、日本工学会は、1879年に工部大学校の第1回卒業生23名によって創立された
日本で最初の工学系学術団体です。
よって、適切な記述です。
4.不適切な記述です。
テイラーの科学的管理法は、課業管理、作業の標準化、作業管理のための最適な組織形態に基づく労働者管理の方法論です。
統計的品質管理の方法としている点が不適切です。
よって、不適切な記述です。
5.適切な記述です。
工業化の進展に伴い、技術官僚たちは、行政における技術者の地位向上運動を展開しました。
例えば、技術者の地位向上の上で工業行政、工業経営、工業教育の改革を目指す官界、民間、学界の指導的技術者の集まりとして、
工政会が1918(大正7)年4月に発足しました。
よって、適切な記述です。
したがって、不適切な記述は4となり、
4が正解となります。
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03
日本の産業技術の発展に関する問題です。
1.記述の通り、正しいです。
2.記述の通り、正しいです。
3.高学歴出身者により組織されたという記述は文献にはありません。
4.誤りです。テイラーの科学的管理法は統計的品質管理ではなく、労働管理に関する方法論です。
5.記述の通り、正しいです。
したがって、最も不適切な記述は4になります。
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