マンション管理士の過去問
平成26年度(2014年)
問4

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問題

マンション管理士試験 平成26年度(2014年) 問4 (訂正依頼・報告はこちら)

管理組合(区分所有法第3条の団体をいう。以下同じ。)の管理者の訴訟の追行等に関する次の記述のうち、区分所有法及び民法の規定によれば、誤っているものはどれか。ただし、規約に別段の定めはないものとする。
  • 規約により使用目的を庭として専用使用権を与えられた敷地を勝手に駐車場に改造した区分所有者に対して、管理者が他の区分所有者の全員のために、原状回復を求める訴訟を原告として提起するためには、集会の決議を経なければならない。
  • 管理者が原告として滞納管理費等の支払を求める訴訟の係属中に、管理者自身の区分所有権を第三者に譲渡し区分所有者でなくなった場合であっても、管理者は、原告として当該訴訟を追行することができる。
  • 集会において、共用部分に係る大規模修繕工事の瑕疵について、管理者が施工業者に瑕疵修補に代えて損害賠償請求を求める訴訟を提起することが決議された場合は、管理者は、区分所有者のために原告として当該訴訟を追行する。
  • 管理者が原告として訴訟を追行する場合、当該訴訟に要する費用又は要した費用について、管理者は、各区分所有者に対して、前払い又は償還の請求をすることができるが、弁護士費用については、前払い又は償還の請求をすることができない。

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この過去問の解説 (3件)

01

誤っているものは管理者が原告として訴訟を追行する場合、当該訴訟に要する費用又は要した費用について、管理者は、各区分所有者に対して、前払い又は償還の請求をすることができるが、弁護士費用については、前払い又は償還の請求をすることができない。」です。

選択肢1. 規約により使用目的を庭として専用使用権を与えられた敷地を勝手に駐車場に改造した区分所有者に対して、管理者が他の区分所有者の全員のために、原状回復を求める訴訟を原告として提起するためには、集会の決議を経なければならない。

正しい。

まず、設問の「使用目的を庭として専用使用権を与えられた敷地を勝手に駐車場に改造」する行為は、区分所有法第6条第1項に規定されている「建物の保存に有害な行為その他建物の管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為」となります。

これを行った場合、区分所有法第57条第1項にあるようにその行為を停止し、その行為の結果を除去し、又はその行為を予防するため必要な措置を執ることを請求することができます。

そして、区分所有法第57条第2項にあるように訴訟を提起するには集会の決議に寄らなければなりません。

選択肢2. 管理者が原告として滞納管理費等の支払を求める訴訟の係属中に、管理者自身の区分所有権を第三者に譲渡し区分所有者でなくなった場合であっても、管理者は、原告として当該訴訟を追行することができる。

正しい。

区分所有法第25条第1項では、「区分所有者は、規約に別段の定めがない限り集会の決議によつて、管理者を選任し、又は解任することができる。」とあり、管理者者自身が区分所有者である必要性は特にありません。

したがって、選択肢のとおりとなります。

現実的にも訴訟の係属中に原告たる管理者が変わってしまうのは、好ましくないと考えます。

選択肢3. 集会において、共用部分に係る大規模修繕工事の瑕疵について、管理者が施工業者に瑕疵修補に代えて損害賠償請求を求める訴訟を提起することが決議された場合は、管理者は、区分所有者のために原告として当該訴訟を追行する。

正しい。

区分所有法第26条第4項に、「規約又は集会の決議により、その職務(第2項後段に規定する事項を含む。)に関し、区分所有者のために、原告又は被告となることができる。」とあります。

その職務には、損害賠償請求も含まれます。

選択肢4. 管理者が原告として訴訟を追行する場合、当該訴訟に要する費用又は要した費用について、管理者は、各区分所有者に対して、前払い又は償還の請求をすることができるが、弁護士費用については、前払い又は償還の請求をすることができない。

誤り。

区分所有法第28条に「管理者の権利義務は、委任に関する規定に従う。」とあります。

そして、民法第650条に「受任者は、委任事務を処理するのに必要と認められる費用を支出したときは、委任者に対し、その費用及び支出の日以後におけるその利息の償還を請求することができる。」とあります。

弁護士費用も委任事務を処理するのに必要な費用ですので、前払い又は償還の請求をすることができます。

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02

正答【4】

1 〇正しい。  
  区分所有法第3条で規定される区分所有者の団
 体は、建物並び にその敷地及び附属施設の管理
 を行うための団体であって、そのための事務処理
 は行っても、権利や義務の主体ではない団体の性
 格をもっているということです。
  また、管理者は区分所有法第26条2項に「管
 理者は、その職務に関し、区分所有者を代理す
 る。第十八条第四項(第二十一条において準用す
 る場合を含む。)の規定による損害保険契約に基
 づく保険金額並びに共用部分等について生じた損
 害賠償金及び不当利得による返還金の請求及び受
 領についても、同様とする。」とあり、管理者は
 区分所有者を代理はしていますが、団体の代表で
 はないということです。
  一方、区分所有法第26条4項で、「4  管理
 者は、規約又は集会の決議により、その職務(第
 二項後段に規定する事項を含む。)に関し、区分
 所有者のために、原告又は被告となることができ
 る。 」と規定して、管理者に訴訟を追行する当事
 者適格を認め、訴訟追行権を与えています。
  これを前提に、本問の「規約により使用目的を
 庭として専用使用権を与えられた敷地を勝手に駐
 車場に改造」する行為をとらえると、区分所有法
 第57条1項に該当します。
 「(共同の利益に反する行為の停止等の請求)
  第五十七条  区分所有者が第六条第一項に規定
  する行為をした場合又はその行為をするおそれ
  がある場合には、他の区分所有者の全員又は管
  理組合法人は、区分所有者の共同の利益のた
  め、その行為を停止し、その行為の結果を除去
  し、又はその行為を予防するため必要な措置を
  執ることを請求することができる。」
  訴訟の提起は集会の決議があれば、管理者が他
 の区分所有者の全員のために、原状回復を求める
 訴訟を原告として提起することができますから、
 正しいと判断できます。

2 〇正しい。
  管理者は区分所有者でなくても構いません。 
  区分所有法では、第25条1項により原則とし
 て、管理者は、区分所有者でなくても選任できま
 すから、本問のように、別段の規約がなければ、
 管理者が区分所有権を失い区分所有者でなくなっ
 ても、訴訟上の地位がなくなるわけではありませ
 んから、正しいと判断できます。

3 〇正しい。 
  管理者の職務権限として、区分所有法第26条
 第2項に「区分所有者を代理し、共用部分等につ
 いて生じた損害賠償金の請求ができる」とあり、
 同4項により、「管理者は、集会の決議があれ
 ば、その職務に関して区分所有者のために、原告
 又は被告となること」ができます。
  よって、集会において、共用部分に係る大規模
 修繕工事の瑕疵について、管理者が施工業者に瑕
 疵修補に代えて損害賠償請求を求める訴訟を提起
 することが決議された場合は、管理者は、区分所
 有者のために原告として当該訴訟を追行すること
 ができますから、正しいと判断できます。

4 ×誤っている。
  委任では、事務を処理するについて要する費用
 又は要した費用については、前払い請求又は償還
 の請求をすることができます。(区分所有法第2
 8条)よってこの肢は誤りと判断できます。 

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03

正答は 4 です。

1.原状回復を求める訴訟は、共同の利益に反する行為の結果の除去を求めることにあたりますが、訴訟を提起する場合には集会の普通決議が必要です。

2.管理者は、規約または集会の決議により、その職務に関し、区分所有者のために、原告または被告となることができます。

管理者になるための要件は特に設けられていないので、管理者が区分所有者でなくなったとしても、原告として当該訴訟を追行することができます。

3.管理者は、規約または集会の決議により、その職務に関し、区分所有者のために、原告または被告となることができます。その職務に関することには、共用部分等について生じた損害賠償金の請求、受領についても含まれます。

4.区分所有者は、管理者がその職務を処理するにあたって費用を要するときは、管理者の請求により、その前払をしなくてはなりません。この費用には弁護士費用も含まれます。

したがって、管理者は弁護士費用についても、前払いまたは償還の請求をすることができます。
よって、この設問は誤りです。

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