マンション管理士の過去問
平成26年度(2014年)
問12
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問題
マンション管理士試験 平成26年度(2014年) 問12 (訂正依頼・報告はこちら)
Aは、その所有する甲マンション1階の店舗部分(101号室)を、平成20年4月1日にBに対し、期間を10年、賃料を月額50万円として賃貸し、引き渡したところ、Bは、平成25年4月1日にAに対し、賃料を月額40万円に減額するよう請求した。この場合における次の記述のうち、借地借家法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
- AとBとの賃貸借契約において、賃貸期間中は賃料を減額しない旨の定めがある場合も、Bは賃料減額を請求することができる。
- Bは、平成25年4月1日より前の賃料減額を請求することができない。
- Bの減額請求につき、AとBとの協議が調わないときには、Aは、減額を正当とする裁判が確定するまでは、Bに対し、相当と認める額の賃料の支払を請求することができる。
- Bの減額請求につき、月額45万に減額するのが正当である旨の裁判が確定した場合、賃料は裁判確定時から月額45万円となる。
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この過去問の解説 (3件)
01
1 正しい。
借地借家法第32条第1項のとおりです。賃料を増額しない旨の定めは有効ですが、減額しない旨の定めは借主不利な条件ですので、借主保護の観点で無効であり、減額請求できます。
2 正しい。
借地借家法第32条第1項のとおりです。賃料の変更は将来に向かって可能であり、遡って請求することはできません。
3 正しい。
借地借家法第32条第3項のとおりです。裁判が確定するまでは、請求された側が妥当とする額の建物の借賃の支払を請求することができます。(増額にしろ、減額にしろ、一般的には従前の金額となります。)
4 誤り。
借地借家法第32条第3項のとおりです。裁判で減額が確定した場合、請求を行った時点から減額となります。既に支払を受けた額が正当とされた建物の借賃の額を超えるときは、その超過額に年一割の割合による受領の時からの利息を付してこれを返還しなければなりません。
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02
1.一定の期間建物の賃料を減額しない旨の特約があったとしても、賃料の減額の請求はできます。
2.当事者は「将来に向かって」建物の賃料の増減を請求できます。したがって請求時より過去の賃料の減額請求はできません。
3.減額を正当とする裁判が確定するまでは、減額の請求を受けた賃貸人(A)は自身が相当と認める額の賃料の支払いを請求することができ、賃借人(B)はこれを支払う必要があります。
4.賃料の額については、「賃料増減額請求の意思表示が相手方に到達したときから」、裁判で確定した金額となります。
したがって、賃料は減額請求が相手方(A)に到達したときから、月額45万円となります。裁判確定時からではありません。
よって、この設問は誤りです。
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03
1 〇正しい。減額しないという特約は無効です。
賃料の減額は、借地借家法第32条第1項によ
り、建物の借賃の額の増減を請求することができ
ます。また、但し書き「一定の期間建物の借賃を
増額しない旨の特約がある場合には、その定めに
従う。」により、一定の期間建物の借賃を増額し
ない旨の特約は有効ですが、賃貸期間中は賃料を
減額しない旨の定め(特約)は、賃借人に不利な
内容となり、無効です(但し書きの反対解釈)か
ら、賃貸期間中は賃料を減額しない旨の定めがあ
る場合も、Bは賃料減額を請求することができ、
正しいと判断できます。
社会的弱者保護という立場から賃借人に有利な
特約のみ認めようとしたものです。
2 〇正しい。
将来に向かって。相当な時の経過が必要です。
借地借家法第32条1項により、借賃増減請求
権をするには、経済状況の変動という相当な時間
が経過していることが必要であり、また「将来に
向かって」とありますから、借主Bが減額を請求
したのは、平成25年4月1日であるため、借主
Bは平成25年4月1日より前(過去)の賃料減額
を請求することができませんので、正しいと判断
できます。
3 〇正しい。
借地借家法第32条3項により、請求を受けた
貸主Aは、減額を正当とする裁判が確定するまで
は、Bに対し、相当と認める額の賃料の支払を請
求することができますので、正しいと判断できま
す。
4 X誤っている。
減額請求の意思表示をした時からの形成権です。
借地借家法第32条の借賃増減請求権は、裁判
の確定したときではなく、減額請求の意思表示を
したときから有効になると判断されています。
これにより、Bの減額請求につき、月額45万に
減額するのが正当である旨の裁判が確定した場
合、賃料は裁判確定時ではなく、請求した平成25
年4月1日から月額45万円となりますので、誤り
と判断できます。
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