マンション管理士の過去問
平成26年度(2014年)
問26

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問題

マンション管理士試験 平成26年度(2014年) 問26 (訂正依頼・報告はこちら)

マンションの敷地の一部を隣接する民間駐車場の所有者に売却することになった。この場合において、管理組合の理事長から相談を受けたマンション管理士の次の発言のうち、区分所有法及び民法の規定並びに標準管理規約によれば、適切でないものはどれか。ただし、マンションの敷地は一筆で登記されており、かつ、区分所有者全員の共有に属するものとする。
  • 規約で専有部分と敷地利用権の分離処分が禁止されていますが、規約に別段の定めをすれば分離処分は可能になります。
  • このマンションの敷地の一部を売却するには分筆登記が必要ですが、区分所有者全員の同意がなければ分筆登記はできません。
  • 分筆登記をすることにより土地が分割され、売却予定の土地は建物が所在する土地以外の土地となりますので、建物の敷地ではなくなります。
  • 売却により敷地面積が変わることになれば、規約にある対象物件の敷地面積の変更も必要になります。

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この過去問の解説 (3件)

01

正答【3】

1 〇適切である。
  規約に別段の定めをすれば分離処分は可能です。 
  専有部分と敷地利用権の分離処分の禁止は、区
 分所有法第22条第1項によれば、原則として区
 分所有者は、その有する専有部分とその専有部分
 に係る敷地利用権とを分離して処分することがで
 きませんが、規約での別段の定めもできますか
 ら、適切です。

2 〇適切である。民法の共有になります。 
  一筆で登記された敷地の一部を、隣接する民間
 駐車場の所有者に売却するには、対象の土地に新
 しく所有権を発生させる必要がありますから、元
 の土地を分筆する必要があります。
  区分所有法では、建物については共有であれ
 ば、多くの事項は多数決で決められますが、土地
(敷地)が共有の場合における売却などの処分行為
 は、区分所有法の適用から外れ、民法の共有の規
 定が適用されます。
  敷地の一部を売却する行為は、共有物の変更行
 為となりますから、他の共有者の同意、つまり、
  区分所有者全員の同意が必要となり、適切で
 す。
 
3 X適切でない。
  分割されても「みなしで規約敷地」となってい
 ます。規約の変更も必要となります。
  もともと1筆の土地の一部を分割する行為は、
 区分所有法第5条2項において、マンションが建
 っている下の敷地(法定敷地といいます)という
 概念は、もともと建物の専有部分の権利と一体化
 した敷地として管理・使用されていた土地ですか
 ら、滅失などの状況の変化で建物の一部がなくな
 り、もとの法定敷地の規定に該当しなくなった土
 地となっても原則として建物の敷地の要件は満た
 すものと考えられます。
  このような考えから、建物の一部滅失や土地の
 分割により、その土地の上に建物がなくなった土
 地の場合にはその土地は、区分所有法での法定敷
 地には該当しなくなりますが、それに準じた規約
 敷地として扱うことにしたものです。
 「その土地は、前項の規定により規約で建物の敷
 地と定められたものとみなす」の規定は、法律上
 での「みなし規定」の効力がありますから、別途
 規約を特別に定めなくても法律上当然に規約敷地
 が生じることになります。
  設問は、この区分所有法第5条2項の後段の
「建物が所在する土地の一部が分割により建物が所
 在する土地以外の土地となつたときも、同様とす
 る」の規定により、分筆登記をすることにより土
 地が分割され、売却予定の土地は建物が所在する
 土地以外の土地となっても、依然として、建物の
「みなし規約敷地」となっていますので、適切では
 ありません。
 
4 〇適切である。 
  標準管理規約によれば、管理対象の物件とし
 て、敷地の所在地や敷地面積も表示されています
 から、敷地面積が変われば、規約にある対象物件
 の敷地面積の変更も必要になりますので、適切で
 す。

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02

正答は 3 です。

1.敷地利用権を数人で共有または準共有している場合、専有部分と敷地利用権の分離処分が禁止されます。ただし、規約に別段の定めがある場合には、個別の処分が許されます。

2.敷地の分筆登記の申請は処分行為に当たるため、共有者全員の同意がなければ行うことができません。

3.一棟の区分所有建物が存在する土地(法定敷地)が建物の敷地となります。分筆登記をし建物が所在しなくなった土地は、規約で建物の敷地と定められたものとみなされます(みなし規約敷地)。
したがって、建物の敷地でなくなるわけではありません。
よって、この設問は不適切です。

4.標準管理規約の対象となる物件の範囲は、敷地、建物および付属施設です。
標準管理規約の別表第1の対象物件の表示に敷地の面積を記載する箇所があり、売却により敷地面積が変わる場合、規約の敷地面積も変更する必要があります。

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03

正解(誤っているもの)は3です。

1 正しい。
区分所有法第22条第1項によれば、「敷地利用権が数人で有する所有権その他の権利である場合には、区分所有者は、その有する専有部分とその専有部分に係る敷地利用権とを分離して処分することができない。ただし、規約に別段の定めがあるときは、この限りでない。」とあり、マンション管理士の発言は正しいです。

2 正しい。
民法第251条によれば、「各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、共有物に変更を加えることができない。」とあります。土地の分筆登記は、共有物の変更と考えられますので、共有者全員の同意が必要であり、マンション管理士の発言は正しいです。

3 誤り。
区分所有法第5条第2項によれば、「建物が所在する土地が建物の一部の滅失により建物が所在する土地以外の土地となつたときは、その土地は、前項の規定により規約で建物の敷地と定められたものとみなす。建物が所在する土地の一部が分割により建物が所在する土地以外の土地となったときも、同様とする。」とあり、依然として建物の敷地ですので、マンション管理士の発言は正しくありません。

4 正しい。
規約の対象となる物件の範囲は、標準管理規約別表第一に記載されていますが、敷地の面積も記載されているため、規約にある対象物件の敷地面積の変更も必要になります。したがって、マンション管理士の発言は正しいです。

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