マンション管理士の過去問
平成27年度(2015年)
問17
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問題
マンション管理士試験 平成27年度(2015年) 問17 (訂正依頼・報告はこちら)
分譲業者Aが、Bに新築建物である甲マンションの101号室を売却し、建物に隠れた瑕疵が発見された場合の瑕疵担保責任に関する次の記述のうち、民法及び住宅の品質確保の促進等に関する法律の規定並びに判例によれば、正しいものはどれか。ただし、売買契約に瑕疵担保責任についての特約はなかったものとする。
- AからBに店舗である101号室が引き渡された1年後に、内壁の塗装に隠れた瑕疵が発見された場合、Bは、Aに対し、損害賠償請求をすることはできない。
- AからBに住宅である101号室が引き渡された5年後に、構造耐力上主要な部分としての柱に隠れた瑕疵が発見された場合、その瑕疵が重要でなく、その修補に過分の費用を要するときは、Bは、Aに対し、柱の瑕疵を修補するよう請求することができない。
- AからBに住宅である101号室が引き渡された5年後に、構造耐力上主要な部分としての柱に隠れた瑕疵が発見され、Bが、Aに対し、柱の瑕疵の修補請求を行い、Aがこれを完了したときは、修補完了後もBに損害が残存していたとしても、Bは、Aに対する損害賠償請求をすることはできない。
- AからBに住宅である101号室が引き渡された1年後に、建物の浴槽に隠れた瑕疵が発見された場合、BがAに対し損害賠償請求を行うには、瑕疵の発見から1年以内に裁判上の権利行使をしなければならない。
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この過去問の解説 (3件)
01
正解(正しいもの)は、「AからBに住宅である101号室が引き渡された5年後に、構造耐力上主要な部分としての柱に隠れた瑕疵が発見された場合、その瑕疵が重要でなく、その修補に過分の費用を要するときは、Bは、Aに対し、柱の瑕疵を修補するよう請求することができない。」です。
誤り。
瑕疵担保責任の対象が店舗であるため、住宅の品質確保の促進等に関する法律は適用されず、民法が適用されます。民法第570条によれば、売買の目的物に隠れた瑕疵があったときの損害賠償請求は買主が事実を知った時から1年以内にしなければならないとありますので、内装の塗装の隠れた瑕疵を発見して1年以内であれば損害賠償請求できます。したがって、選択肢は誤りとなります。
正しい。
住宅の品質確保の促進等に関する法律第95条第1項によれば、新築住宅の売買契約においては、売主は、買主に引き渡した時から10年間、住宅の構造耐力上主要な部分等の隠れた瑕疵について担保責任を負うとされています。ただし、民法第634条第1項の規定を準用しており、瑕疵が重要でない場合において、その修補に過分の費用を要するときは、瑕疵の修補請求をすることができません。したがって、選択肢は正しいです。
誤り。
住宅の品質確保の促進等に関する法律第95条第1項によれば、新築住宅の売買契約においては、売主は、買主に引き渡した時から10年間、住宅の構造耐力上主要な部分等の隠れた瑕疵について担保責任を負うとされています。また、民法第634条第2項の規定を準用しており、瑕疵の修補とともに損害賠償請求を行うこともできます。したがって、選択肢は誤りとなります。
誤り。
瑕疵担保の対象が浴槽であり、住宅の構造耐力上主要な部分等に該当しないため、住宅の品質確保の促進等に関する法律は適用されず、民法が適用されます。民法第570条によれば、売買の目的物に隠れた瑕疵があったときの損害賠償請求は買主が事実を知った時から1年以内にしなければならないとありますので、内装の塗装の隠れた瑕疵を発見して1年以内であれば損害賠償請求できます。この場合、請求は裁判上で行う必要はないとされています。したがって、選択肢は誤りとなります。
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02
正解は「AからBに住宅である101号室が引き渡された5年後に、構造耐力上主要な部分としての柱に隠れた瑕疵が発見された場合、その瑕疵が重要でなく、その修補に過分の費用を要するときは、Bは、Aに対し、柱の瑕疵を修補するよう請求することができない。」です。
誤りです。
住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)では、新築住宅の基本構造部分の瑕疵担保責任が強化されています。
基本構造部分とは、構造耐力上主要な部分(柱や梁など)と雨水の侵入を防止する部分(屋根や外壁)です。
内装の塗装は、この基本構造部分ではありませんので、品確法は適用されません。
そこで、民法の売主の瑕疵担保責任が適用されます。
民法第570条では、
「売買の目的物に隠れた瑕疵があったときは、第566条の規定を準用する。ただし、強制競売の場合は、この限りでない。」と定めています。
また、第566条第3項では、「前二項の場合において、契約の解除又は損害賠償の請求は、買主が事実を知った時から一年以内にしなければならない。」と規定しています。
そこで、Bは、101号室を引き渡された1年後に、内装の塗装に隠れた瑕疵を見つけたら、それから1年以内であれば、Aに対して、損害賠償請求ができます。
正しいです。
品確法94条第1項では、「民法第634条第1項 及び第2項 前段に規定する担保の責任を負う。」と規定しています。
民法第634条第1項では、
「仕事の目的物に瑕疵があるときは、注文者は、請負人に対し、相当の期間を定めて、その瑕疵の修補を請求することができる。ただし、瑕疵が重要でない場合において、その修補に過分の費用を要するときは、この限りでない。」と定めていますので、瑕疵が重要でなく、その修補に過分の費用を要するときは、修補するように請求することはできません。
誤りです。
瑕疵担保責任の追及方法としては、修補請求か損害賠償請求があります。
修補が完了しても、まだ損害があれば、損害賠償請求はできます。
誤りです。
建物の浴槽は、構造耐力上主要な部分(柱や梁など)でも、雨水の侵入を防止する部分(屋根や外壁)でもないので、品確法の適用はありません。
そこで、民法第566条第3項が適用され、瑕疵を発見してから、一年以内に損害賠償の請求しなければなりません。
もっとも、裁判上の権利行使をしなければならないわけではありません。
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03
正答は 「AからBに住宅である101号室が引き渡された5年後に、構造耐力上主要な部分としての柱に隠れた瑕疵が発見された場合、その瑕疵が重要でなく、その修補に過分の費用を要するときは、Bは、Aに対し、柱の瑕疵を修補するよう請求することができない。」 です。
民法570条で、「売買の目的物に隠れた瑕疵があったときは、第566条の規定を準用する。」と規定されています。
そして、民法第566条で、「売買の目的物が地上権、永小作権、地役権、留置権または質権の目的である場合において、買主がこれを知らず、かつ、そのために契約をした目的を達することができないときは、買主は、契約の解除をすることができる。この場合において、契約の解除をすることができないときは、損害賠償の請求のみをすることができる。契約の解除または損害賠償の請求は、買主が事実を知った時から一年以内にしなければならない。」と規定されています。
したがって、買主Bが隠れた瑕疵を発見してから一年以内であれば損害賠償の請求を行うことができます。
よって、この設問は誤りです。
住宅の品質確保の促進等に関する法律第95条1項で、「新築住宅の売買契約においては、売主は、買主に引き渡した時から10年間、住宅の構造耐力上主要な部分等の瑕疵について、民法第570条において準用する同法第566条第1項並びに同法第634条第1項及び第2項前段に規定する担保の責任を負う。この場合において、同条第1項及び第2項前段中「注文者」とあるのは「買主」と、同条第1項中「請負人」とあるのは「売主」とする。」と規定されています。
この担保責任の内容は、損害賠償の請求、契約の目的が達成できない場合の解除、瑕疵の修補請求です。
そして、民法第634条1項で、「仕事の目的物に瑕疵があるときは、注文者は、請負人に対し、相当の期間を定めて、その瑕疵の修補を請求することができる。ただし、瑕疵が重要でない場合において、その修補に過分の費用を要するときは、この限りではない。」と規定されています。
したがって、買主Bは、売主Aに瑕疵の修補請求ができます。ただし、その瑕疵が重要でなく、その修補に過分の費用を要するときは、瑕疵の修補を請求することはできません。
他選択肢で説明した通り、買主Bは、売主Aに瑕疵の修補請求ができます。
そして、民法第634条2項で、「注文者は、瑕疵の修補に代えて、またはその修補とともに、損害賠償の請求をすることができる。」と規定されています。
したがって、修補完了後もBに損害が残存していた場合は、Bは、Aに対する損害賠償請求をすることができます。
よって、この設問は誤りです。
他選択肢で説明した通り、契約の解除または損害賠償の請求は、買主が事実を知った時から一年以内にしなければなりません。
判例上、「損害賠償請求権を保存するには、売主の担当責任を問う意思を裁判外で明確に告げることをもって足り、裁判上の権利行使をするまでの必要はない」と解されています。(平成4年10月20日 最高裁判所 判例)
したがって、裁判上の権利行使は必要ありません。
よって、この設問は誤りです。
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