マンション管理士の過去問
平成30年度(2018年)
問12

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問題

マンション管理士試験 平成30年度(2018年) 問12 (訂正依頼・報告はこちら)

甲マンション203号室を所有しているAは、高齢になり判断能力に不安を抱えていたところ、Bとの間で、Bに高額の報酬を支払って同室の内装をリフォームしてもらう旨の請負契約(以下「本件請負契約」という。)を締結した。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
  • 本件請負契約を締結した時にAに意思能力がなかった場合には、Aは、意思能力を欠いていたことを理由として、本件請負契約の無効を主張することができる。
  • 本件請負契約を締結した時に、Aについて後見開始の審判はなされていなかったが、Aが精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にあった場合には、Aは、行為能力の制限を理由として、本件請負契約を取り消すことができる。
  • Bが、実際にはリフォームをする必要がないにもかかわらず、リフォームをしないと健康を害するとAをだまし、これによりAがリフォームをする必要があると誤信して本件請負契約を締結していた場合には、Aは、Bの詐欺を理由として、本件請負契約を取り消すことができる。
  • 本件請負契約を締結する際に、Bが、Aの窮迫・軽率・無経験を利用して、相場よりも著しく高額な報酬の支払をAに約束させていた場合には、Aは、公序良俗に違反することを理由として、本件請負契約の無効を主張することができる。

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この過去問の解説 (3件)

01

正答は 2 です。

1. 法律行為の当事者が意思表示をした時に意思能力を有しなかったときは、その法律行為は無効となります。(民法3条の2)(判例:大判明38年5月11日)
意思能力とは、自ら有効に意思表示をする能力のことです。

2. 精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者については、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、未成年後見人、未成年後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人、補助監督人又は検察官の請求により、「後見開始の審判」をすることができます。(民法7条)

したがって、後見開始の審判はなされていなかったということでは、行為能力の制限に制限を理由として、本件請負契約を取り消すことができません。
よって、この設問は誤りです。

3. BがAをだまして、本件請負契約を締結していた場合には、Aは、Bの詐欺を理由として、本件請負契約を取り消すことができます。(民法96条)

4. 公序良俗違反により法律行為は、無効となります。(民法90条)
公序良俗違反の例:射倖行為、暴利行為など、過去には、公序良俗違反に関する様々な裁判例も出ています。(最判昭61.9.4)(大判昭9.5.1)

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02

正答は 2 です。

1.物事を正常に判断する能力のことを意思能力といい、意思能力がない者が行った契約は無効とされています。

2.後見開始の審判がなされていなかったということは、Aは請負契約締結時に成年被後見人ではなかったことになります。したがって、行為能力の制限を理由として、本件請負契約を取り消すことはできません。
よって、この設問は誤りです。

3.詐欺による意思表示とは、相手方に騙されて意思表示をしてしまうことをいいます。詐欺により意思表示をしたAは、本件請負契約を取り消すことができます。

4.公序良俗違反とは、公の秩序・善良の風俗に違反することをいいます。暴利行為または不公正な取引行為などが、公序良俗違反となります。
公序良俗違反の契約は無効とされます。

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03

甲マンション203号室の所有者Aが、判断能力に不安を抱える中でBとの間で高額の報酬を支払ってリフォームする旨の請負契約を締結した場合に関する記述で、民法の規定及び判例に基づき、誤っているものを判定する問題です。

選択肢1. 本件請負契約を締結した時にAに意思能力がなかった場合には、Aは、意思能力を欠いていたことを理由として、本件請負契約の無効を主張することができる。

正しい

解説:民法3条の2に基づき、意思能力を欠いて行為をした場合、その行為は無効とされます。

選択肢2. 本件請負契約を締結した時に、Aについて後見開始の審判はなされていなかったが、Aが精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にあった場合には、Aは、行為能力の制限を理由として、本件請負契約を取り消すことができる。

誤り

解説:後見開始の審判がなされていない場合でも、事理を弁識する能力を欠く常況にある者の行為は取り消すことができます。しかし、後見開始の審判がなされていないというだけで、行為能力の制限を理由として契約を取り消すことはできません。

選択肢3. Bが、実際にはリフォームをする必要がないにもかかわらず、リフォームをしないと健康を害するとAをだまし、これによりAがリフォームをする必要があると誤信して本件請負契約を締結していた場合には、Aは、Bの詐欺を理由として、本件請負契約を取り消すことができる。

正しい

解説:民法96条に基づき、詐欺により行為をした場合、その行為は取り消すことができます。

選択肢4. 本件請負契約を締結する際に、Bが、Aの窮迫・軽率・無経験を利用して、相場よりも著しく高額な報酬の支払をAに約束させていた場合には、Aは、公序良俗に違反することを理由として、本件請負契約の無効を主張することができる。

正しい

解説:民法90条に基づき、公序良俗に反する契約は無効とされます。

まとめ

この問題を解く際には、民法の契約に関する規定や、意思表示の無効、取り消しに関する基本的な知識が必要です。

特に、意思能力の欠如、詐欺、公序良俗違反などの概念を理解しておくことで、各選択肢が正しいか誤っているかを判断することができます。

具体的な法律の条文やその解釈に基づいて正確に答えを導き出す必要があります。

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