マンション管理士の過去問
令和5年度(2023年)
問29

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問題

マンション管理士試験 令和5年度(2023年) 問29 (訂正依頼・報告はこちら)

管理組合の役員及び理事会に関する次の記述のうち、標準管理規約によれば、適切なものはどれか。
  • 区分所有者が、管理組合を原告とする滞納管理費等請求訴訟において被告となっていることは、役員の欠格事由に当たる。
  • 監事は、業務監査及び会計監査の権限を有しており、業務の執行又は財産の状況を理事に報告するために、いつでも、自ら理事会の招集をすることができる。
  • 大規模修繕工事の内容の検討のために建物診断を業者に依頼する場合、管理組合の理事会は、総会の決議を経ずに、理事会のみの判断で、建物診断の発注をすることができる。
  • マンション管理士が外部専門家として理事に就任している管理組合において、当該組合が当該管理士との間で長期修繕計画作成のための契約を締結する場合には、当該管理士は理事会の承認を得なければならない。

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この過去問の解説 (2件)

01

管理組合の役員及び理事会に関する出題です。

選択肢1. 区分所有者が、管理組合を原告とする滞納管理費等請求訴訟において被告となっていることは、役員の欠格事由に当たる。

誤り

役員の欠格事由において、管理組合を原告とする滞納管理費等請求訴訟において被告となっていることが、該当するという規定はありません。

選択肢2. 監事は、業務監査及び会計監査の権限を有しており、業務の執行又は財産の状況を理事に報告するために、いつでも、自ら理事会の招集をすることができる。

誤り

監事は、理事が不正の行為をし、若しくは当該行為をするおそれがあると認めるときは、遅滞なく、その旨を理事会に報告しなければなりません。

また、監事は、必要があると認めるときは、理事長に対し、理事会の招集を請求することができます。監事は自身で理事会招集できないため、本選択肢は誤りです。

選択肢3. 大規模修繕工事の内容の検討のために建物診断を業者に依頼する場合、管理組合の理事会は、総会の決議を経ずに、理事会のみの判断で、建物診断の発注をすることができる。

誤り

修繕工事を前提とした建物劣化診断は、原則修繕積立金から取り崩すこととなっています。そして、修繕積立金の取り消しは総会の決議事項のため、本選択肢は誤りです。

選択肢4. マンション管理士が外部専門家として理事に就任している管理組合において、当該組合が当該管理士との間で長期修繕計画作成のための契約を締結する場合には、当該管理士は理事会の承認を得なければならない。

正しい

標準管理規約37条2コメントより、役員が利益相反取引を行おうとする場合において、理事会で当該取引における重要な事実を開示し、承認を受けなければならないことを定めております。

したがって本選択肢は正しいです。

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02

 標準管理規約に関する出題です。

選択肢1. 区分所有者が、管理組合を原告とする滞納管理費等請求訴訟において被告となっていることは、役員の欠格事由に当たる。

 マンション標準管理規約(単棟型、令和6年6月7日改正)36条の2により、「①精神の機能の障害により役員の職務を適正に執行するに当たって必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者又は破産者で復権を得ないもの、➁禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又はその執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者、③暴力団員等(暴力団員又は暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者をいう。)のいずれかに該当する者は、役員となることができない。」とされます。

 つまり、「区分所有者が、管理組合を原告とする滞納管理費等請求訴訟において被告となっていることは、役員の欠格事由に当たる。」ということは、適切ではありません。

選択肢2. 監事は、業務監査及び会計監査の権限を有しており、業務の執行又は財産の状況を理事に報告するために、いつでも、自ら理事会の招集をすることができる。

 マンション標準管理規約(単棟型、令和6年6月7日改正)41条5項により、「監事は、理事が不正の行為をし、若しくは当該行為をするおそれがあると認めるとき、又は法令、規約、使用細則等、総会の決議若しくは理事会の決議に違反する事実若しくは著しく不当な事実があると認めるときは、遅滞なく、その旨を理事会に報告しなければならない。」とされ、同条6項により、「監事は、前項に規定する場合において、必要があると認めるときは、理事長に対し、理事会の招集を請求することができる。」とされ、同条7項により、「前項の規定による請求があった日から5日以内に、その請求があった日から2週間以内の日を理事会の日とする理事会の招集の通知が発せられない場合は、その請求をした監事は、理事会を招集することができる。」とされます。

 つまり、「監事は、業務監査及び会計監査の権限を有しており、業務の執行又は財産の状況を理事に報告するために、いつでも、自ら理事会の招集をすることができる。」ということは、適切ではありません。

選択肢3. 大規模修繕工事の内容の検討のために建物診断を業者に依頼する場合、管理組合の理事会は、総会の決議を経ずに、理事会のみの判断で、建物診断の発注をすることができる。

 マンション標準管理規約(単棟型、令和6年6月7日改正)28条1項により、「管理組合は、各区分所有者が納入する修繕積立金を積み立てるものとし、積み立てた修繕積立金は、①一定年数の経過ごとに計画的に行う修繕、➁不測の事故その他特別の事由により必要となる修繕、③敷地及び共用部分等の変更、④建物の建替え及びマンション敷地売却(建替え等という。)に係る合意形成に必要となる事項の調査、⑤その他敷地及び共用部分等の管理に関し、区分所有者全体の利益のために特別に必要となる管理についての特別の管理に要する経費に充当する場合に限って取り崩すことができる。」とされ、同規約32条3号により、「管理組合は、建物並びにその敷地及び附属施設の管理のため、長期修繕計画の作成又は変更に関する業務及び長期修繕計画書の管理の業務を行う。」とされ、同条関係コメント④により、「長期修繕計画の作成又は変更に要する経費及び長期修繕計画の作成等のための劣化診断(建物診断)に要する経費の充当については、管理組合の財産状態等に応じて管理費又は修繕積立金のどちらからでもできる。ただし、修繕工事の前提としての劣化診断(建物診断)に要する経費の充当については、修繕工事の一環としての経費であることから、原則として修繕積立金から取り崩すこととなる。」とされ、同規約48条10号により、「28条1項に定める特別の管理の実施並びにそれに充てるための資金の借入れ及び修繕積立金の取崩しの事項については、総会の決議を経なければならない。」とされます。

 つまり、「総会の決議を経ずに、理事会のみの判断で」という部分が、適切ではありません。

選択肢4. マンション管理士が外部専門家として理事に就任している管理組合において、当該組合が当該管理士との間で長期修繕計画作成のための契約を締結する場合には、当該管理士は理事会の承認を得なければならない。

 マンション標準管理規約(単棟型、令和6年6月7日改正)37条の2第1号により、「役員は、役員が自己又は第三者のために管理組合と取引をしようとするときには、理事会において、当該取引につき重要な事実を開示し、その承認を受けなければならない。」とされるので、適切です。

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