宅地建物取引士の過去問
平成23年度(2011年)
権利関係 問5

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問題

宅建試験 平成23年度(2011年) 権利関係 問5 (訂正依頼・報告はこちら)

AがBに対して1,000万円の代金債権を有しており、Aがこの代金債権をCに譲渡した場合における次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
※ 民法改正により、この設問は不成立問題となりました。
参考としてご覧ください。

民法改正(2020年4月)により、譲渡禁止特約があったとしても譲渡された債権は原則有効となりました。(466条2項)
この問題は平成23年度(2011年)に出題された問題となります。
  • AB間の代金債権には譲渡禁止特約があり、Cがその特約の存在を知らないことにつき重大な過失がある場合には、Cはこの代金債権を取得することはできない。
  • AがBに対して債権譲渡の通知をすれば、その譲渡通知が確定日付によるものでなくても、CはBに対して自らに弁済するように主張することができる。
  • BがAに対して期限が到来した1,000万円の貸金債権を有していても、AがBに対して確定日付のある譲渡通知をした場合には、BはCに譲渡された代金債権の請求に対して貸金債権による相殺を主張することができない。
  • AがBに対する代金債権をDに対しても譲渡し、Cに対する債権譲渡もDに対する債権譲渡も確定日付のある証書でBに通知した場合には、CとDの優劣は、確定日付の先後ではなく、確定日付のある通知がBに到着した日時の先後で決まる。

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この過去問の解説 (4件)

01

1.旧民法では、譲渡禁止特約はCがその特約の存在を知らないことにつき重大な過失がある場合には、Cはこの代金債権を取得することはできませんでした。よって、本肢は正しいです。

ただし、改正民法では、譲渡禁止特約があったとしても譲渡された債権は有効です。(466条2項)

譲受人Cが譲渡禁止特約の存在を知らないことにつき重大な過失がある場合、Bは債務の履行を拒むことができます。(466条3項)しかし、Bが債務を履行しない場合、譲受人Cが相当の期間を定めて履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、Bは債務履行しなければなりません。(466条4項)

2.文章の通りです。AがBに債権譲渡の通知をすれば、その譲渡通知が確定日付によるものでなくても、CはBに対して自らに弁済するように主張することができます。

3.期限が到来した1,000万円の貸金債権を有していればBはCに対して相殺を主張できます。

4.文章の通りです。債権譲渡は、確定日付の先後ではなく、確定日付のある通知がBに到着した日時の先後で決まります。

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02

1.正

 当事者間で債権譲渡禁止特約をしたときは債権を譲渡することができませんが、善意(無重過失)の第三者に対しては債務者は譲渡禁止特約があることを対抗できません。本肢では第三者Cは重大な過失があるため代金債権を取得することはできません。

<追記>2020年4月改正民法466条により、譲渡禁止特約があったとしても譲渡された債権は原則有効となりました。よって、現行民法では、譲受人Cはこの代金債権を取得することができます。

また、現行民法においても譲受人Cが譲渡禁止特約の存在を知らないことにつき重大な過失がある場合、Bは債務の履行を拒むことができますし、譲渡人Aに対する弁済その他の債務を消滅させる事由をもってCに対抗することができます。(466条3項)

しかし、Bが債務を履行しない場合、Cが相当の期間を定めて履行の催告をし、その期間内に履行がない場合、Bは債務履行しなければならなくなりました。(466条4項)

2.正

 債権譲渡の債務者への対抗要件は、譲渡人から債務者への通知、又は債務者の承諾が必要です。従って、譲渡人Aから債務者Bへの通知があれば、その譲渡通知が確定日付によるものでなくてもCはBに対して自らに弁済するように主張することができます。

3.誤

 債権譲渡の通知を受けた債務者は、その通知を受けるまでに譲渡人に対して生じた事由を譲受人に対抗できます。従って、Bが有するAに対する期限が到来した1,000万円の貸金債権をBはCに譲渡された代金債権の請求に対して貸金債権による相殺を主張することができます。

4.正

 本肢の通りです。債権が二重譲渡され、譲受人双方が確定日付のある証書による通知を備えているときは、その通知が債務者のところに到達した日時の前後で優劣を決します。

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03

【答え】3.

1. 正

(民法 第466条1項)

債権は、譲り渡すことができる。

ただし、その性質がこれを許さないときは、この限りでない。

(民法 第466条2項)

前項の規定は、当事者が反対の意思を表示した場合には、適用しない。

ただし、その意思表示は、善意の第三者に対抗することができない。

本肢では、Cがその特約の存在を知らないことにつき重大な過失がある場合は、BはCに対して、譲渡禁止特約を主張できます。

<2020年4月1日改正後>

(民法 第466条1項)

債権は、譲り渡すことができる。ただし、その性質がこれを許さないときは、この限りでない。

(民法 第466条2項)

当事者が債権の譲渡を禁止し、又は制限する旨の意思表示(以下「譲渡制限の意思表示」という。)をしたときであっても、債権の譲渡は、その効力を妨げられない。

(民法 第466条3項)

前項に規定する場合には、譲渡制限の意思表示がされたことを知り、又は重大な過失によって知らなかった譲受人その他の第三者に対しては、債務者は、その債務の履行を拒むことができ、かつ、譲渡人に対する弁済その他の債務を消滅させる事由をもってその第三者に対抗することができる。

(民法 第466条4項)

前項の規定は、債務者が債務を履行しない場合において、同項に規定する第三者が相当の期間を定めて譲渡人への履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、その債務者については、適用しない。

よって現行法では、Cに譲渡禁止特約の存在を知らないことにつき重大な過失がある場合でも、Cはこの代金債権を取得することができます。

2. 正

(民法 第467条1項)

債権の譲渡は、譲渡人が債務者に通知をし、又は債務者が承諾をしなければ、債務者その他の第三者に対抗することができない。

(民法 第467条2項)

前項の通知又は承諾は、確定日付のある証書によってしなければ、債務者以外の第三者に対抗することができない。

本肢では、条文通りです。

3. 誤

(民法 第468条1項)

債務者が異議をとどめないで前条の承諾をしたときは、譲渡人に対抗することができた事由があっても、これをもって譲受人に対抗することができない。

この場合において、債務者がその債務を消滅させるために譲渡人に払い渡したものがあるときはこれを取り戻し、譲渡人に対して負担した債務があるときはこれを成立しないものとみなすことができる。

(民法 第468条2項)

譲渡人が譲渡の通知をしたにとどまるときは、債務者は、その通知を受けるまでに譲渡人に対して生じた事由をもって譲受人に対抗することができる。

本肢では、AがBに対して確定日付のある譲渡通知をしたにとどまる場合、BはCに譲渡された代金債権の請求に対して貸金債権による相殺を主張することができます。

4. 正

(判例)

債権譲渡は、確定日付の先後ではなく、確定日付のある通知がBに到着した日時の先後または承諾の日時の先後によって決まります。

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04

正解は 3 です。

民法第468条第3項では、譲渡人が譲渡の通知をしたにとどまるときは、債務者は、その通知を受けるまでに譲渡人に対して生じた事由をもって譲受人に対抗できると規定しています。BのAに対する債権は、AがBに対して債権譲渡の通知をする前に期限が到来し、相殺可能な状態となっているため、上記の規定により、BはCに対して貸金債権の相殺を主張できます。

1.<旧民法での解釈>

譲受禁止特約に違反した譲渡は効力を生じません。ただし、相手方が善意・無重過失の場合には、その特約は効力を生じません。(判例・通達)したがって、債権譲渡につき重過失があるCに対しては、この特約の効力が生じ、Cは代金債権を取得できません。

<2020年4月1日改正後の民法の解釈>

譲受禁止特約に違反した譲渡であっても、譲渡された債権は原則有効となりました。よって、現行民法では、譲受人Cはこの代金債権を取得することができます。

ただし、譲受人Cが譲渡禁止特約の存在を知らないことにつき重大な過失がある場合、Bは債務の履行を拒むことができますし、譲渡人Aに対する弁済その他の債務を消滅させる事由をもってCに対抗することができます。

一方で、Bが債務を履行しない場合、Cが相当の期間を定めて履行の催告をし、その期間内に履行がない場合、Bは債務履行しなければなりません。よって、この方法によっても譲受人Cは代金債権を取得することができます。

この改正は、弁済期前の債権を売り渡して代金を得たり、債権を担保にして融資を受けたりするなど、債権譲渡を中小企業の資金調達活用する目的があるとされています。

2.民法第467条第2項参照。債権譲渡の通知は、確定日付のある証書によってしなければなりません。

4.債権の二重譲渡があり、両方の譲受人に対して確定日付のある証書により通知がなされた場合、その優劣は、証書の確定日付ではなく証書の到着の先後によります。(判例・通達)

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