宅地建物取引士の過去問
平成23年度(2011年)
宅建業法 問37

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問題

宅建試験 平成23年度(2011年) 宅建業法 問37 (訂正依頼・報告はこちら)

宅地建物取引業者A社が、自ら売主として宅地建物取引業者でない買主Bとの間で締結する建築工事完了後の建物の売買契約に関する次の記述のうち、民法及び宅地建物取引業法の規定並びに判例によれば、誤っているものはどれか。
※ 令和2年4月1日の民法改正により「瑕疵担保責任」は廃止され、「契約不適合責任」が導入されました。
本設問は平成23年度に出題されたものです。
  • 当該契約の締結に際し、BがA社に手付金を支払い、さらに中間金を支払った場合、B は、A社が契約の履行に着手しないときであっても、支払った手付金を放棄して契約の解除をすることができない。
  • 当該契約の締結に際し、A社がBから代金の額の10分の2の手付金を受領する場合には、当該手付金を受領するまでに、宅地建物取引業法第41条の2の規定に基づく保全措置を講じなければならない。
  • 当該契約において、当事者の債務の不履行を理由とする契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、違約金を定める場合、これらを合算した額について代金の額の10分の1とする旨の特約を定めることができる。
  • 当該契約において、Bが瑕疵担保責任に基づく請求をすることができる期間として、Bが瑕疵を発見した時から2年間とする旨の特約を定めることができる。

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この過去問の解説 (4件)

01

1.誤
相手方が契約の履行に着手するまでは買主は手付けを放棄して、宅建業者はその倍額を償還して契約を解除することができます。

2.正
本肢の通りです。工事完了後の建物の売買においては宅建業者が受領する手付金等の額が代金額の10分の1を超え又は1000万円を超えるときは、宅建業者は手付金等を受領する前に保全措置を講じなければなりません。

3.正
宅建業者が自ら売主となる宅地又は建物の売買契約において、当事者の債務不履行を理由とする契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定めるときはこれらを合算した額が代金の額の10分の2を超えてはなりません。本肢においては10分の1としているので有効な特約になります。

4.正
瑕疵担保の責任追求期間については引渡しの日から2年以上とする特約を定めることができます。

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02

【答え】1.

1. 誤
(宅地建物取引業法 第39条2項)
宅地建物取引業者が、みずから売主となる宅地又は建物の売買契約の締結に際して手附を受領したときは、その手附がいかなる性質のものであつても、当事者の一方が契約の履行に着手するまでは、買主はその手附を放棄して、当該宅地建物取引業者はその倍額を償還して、契約の解除をすることができる。

本肢では、Bは、Aに支払った手付金を放棄すれば契約の解除をすることができます。

2. 正
(宅地建物取引業法 第41条の2 1項)
宅地建物取引業者は、自ら売主となる宅地又は建物の売買(前条第1項に規定する売買を除く。)に関しては、同項第一号若しくは第二号に掲げる措置を講じた後又は次の各号に掲げる措置をいずれも講じた後でなければ、買主から手付金等を受領してはならない。
ただし、当該宅地若しくは建物について買主への所有権移転の登記がされたとき、買主が所有権の登記をしたとき、又は当該宅地建物取引業者が受領しようとする手付金等の額(既に受領した手付金等があるときは、その額を加えた額)が代金の額の十分の一以下であり、かつ、宅地建物取引業者の取引の実情及びその取引の相手方の利益の保護を考慮して政令で定める額以下であるときは、この限りでない。

本肢では、条文通り、当該手付金を受領するまでに、宅地建物取引業法第41条の2の規定に基づく保全措置を講じなければなりません。

3. 正
(宅地建物取引業法 第38条1項)
宅地建物取引業者がみずから売主となる宅地又は建物の売買契約において、当事者の債務の不履行を理由とする契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定めるときは、これらを合算した額が代金の額の十分の二をこえることとなる定めをしてはならない。

本肢では、条文通りです。

4. 正
(宅地建物取引業法 第40条1項)
宅地建物取引業者は、自ら売主となる宅地又は建物の売買契約において、その目的物の瑕疵を担保すべき責任に関し、民法 第570条において準用する同法 第566条第3項に規定する期間についてその目的物の引渡しの日から二年以上となる特約をする場合を除き、同条に規定するものより買主に不利となる特約をしてはならない。

本肢では、Bにとって不利とならない特約なので、定めることができます。

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03

1.相手方が履行に着手していなければ手付金を放棄して契約の解除をすることができます。

2.文章の通りです。手付金の保全措置が不要なのは、手付金の金額が代金の10分の1以下かつ1000万円以下の場合です。

3.文章の通りです。違約金や損害賠償金等の額は合算して10分の2以下であれば有効です。

4.文章の通りです。買主に有利な特約ですので有効です。

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04

正解は 1 です。

宅建業法第39条第2項参照。宅建業者が手付金を受領したときは、買主は、相手方である宅建業者が契約の履行に着手するまでは、その手付を放棄すれば、契約の解除ができます。したがって、Bが中間金を支払った場合でも、Aが契約の履行に着手していなければ、Bは契約の解除ができます。

2.宅建業法第41条の2第1項参照。完成物件の建物の売買契約に関する手付金について、手付金の保全措置が不要なのは、手付金の金額が代金の10分の1以下かつ1000万円以下の場合です。問題文では、手付金の額が代金額の10分の2ですから、保全措置が必要です。

3.宅建業法第38条参照。宅建業者が自ら売主になる場合、当事者の債務不履行を理由とする契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定めるときは、その金額は、代金の10分の2を超えてはならないとされています。問題文の特約は、この規定に違反していませんから、定めることができます。

4.宅建業法第40条参照。宅建業者は、自ら売主となる宅地建物の売買契約において、その目的物を担保すべき責任に関して、瑕疵担保責任を追求できる期間を瑕疵を知った時から1年以内とする民法の規定よりも買主に不利な特約を定めることはできません。しかし、問題文の特約は、民法で定める規定よりも買主に有利な規定ですから、定めることができます。

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