宅地建物取引士の過去問
平成28年度(2016年)
権利関係 問2
このページは閲覧用ページです。
履歴を残すには、 「新しく出題する(ここをクリック)」 をご利用ください。
問題
宅建試験 平成28年度(2016年) 権利関係 問2 (訂正依頼・報告はこちら)
制限行為能力者に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
- 古着の仕入販売に関する営業を許された未成年者は、成年者と同一の行為能力を有するので、法定代理人の同意を得ないで、自己が居住するために建物を第三者から購入したとしても、その法定代理人は当該売買契約を取り消すことができない。
- 被保佐人が、不動産を売却する場合には、保佐人の同意が必要であるが、贈与の申し出を拒絶する場合には、保佐人の同意は不要である。
- 成年後見人が、成年被後見人に代わって、成年被後見人が居住している建物を売却する際、後見監督人がいる場合には、後見監督人の許可があれば足り、家庭裁判所の許可は不要である。
- 被補助人が、補助人の同意を得なければならない行為について、同意を得ていないにもかかわらず、詐術を用いて相手方に補助人の同意を得たと信じさせていたときは、被補助人は当該行為を取り消すことができない。
正解!素晴らしいです
残念...
この過去問の解説 (4件)
01
1:まず、民法第6条第1項では、一種又は数種の営業を許された未成年者は、その営業に関しては、成年者と同一の行為能力を有するとあります。
これは、未成年者の営業の許可について述べていますが、今回のケースでは居住するための建物を購入するのと、古着の仕入販売に関する営業は特に意味はないため、
未成年者となり、法定代理人の同意を得ていないとなると、法定代理人は売買契約を取り消すことができます。
2:民法第13条1項では、保佐人の同意を要する行為等が述べられており、
その中には被保佐人が、民法が定める重要行為を行う場合、保佐人の同意が必要とあり、
その中には不動産の売却や贈与の申し出の拒絶などがあります。
今回の選択肢の場合の贈与の申し出を拒絶する時は、保佐人の同意が必要となります。
3:民法第859条の3には、成年後見人は、成年被後見人に代わって、その居住の用に供する建物又はその敷地について、
売却、賃貸、賃貸借の解除又は抵当権の設定その他これらに準ずる処分をするには、家庭裁判所の許可を得なければならない、とあります。
ここでは、成年被後見人の居住用不動産の処分についての許可が記されておりますので、選択肢の内容は誤りになります。
4:民法第21条では、制限行為能力者が行為能力者であることを信じさせるため詐術を用いたときは、その行為を取り消すことができないとあります。
ここでは制限能力者の詐術についてであり、この場合では制限行為能力者でないと偽る場合も同じことを指しています。
また、保護者の同意を得ていると信じさせての詐術も、同じように扱われますので、選択肢の被補助人は、自らのその行為を取り消すことはできません。
参考になった数35
この解説の修正を提案する
02
・解答のポイント
制限行為能力者についての出題パターンは、一つの種類の制限行為能力者について詳しく問う問題と、各種制限行為能力者の行為能力(契約をするための行為を単独で完全に出来る能力のこと)についての比較問題があります。
どちらも権利関係の分野では比較的早く学習することになるので、必ず正解したい問題です。
・解説
1.営業を許可された未成年者は、その営業に関しては、成年者と同一の行為能力を持ちます(民法6条1項)。
本問で注意すべきは、法定代理人が許可したのは、あくまで古着の仕入販売であり、それ以外は許可していません。
そのため、自己が居住するための建物を第三者から購入することは、原則どおり法定代理人が取り消すことができます。
2.被保佐人が保佐人の同意を要する行為は、民法13条1項各号に規定されています。
民法13条1項七号は、保佐人の同意を得なければ取り消すことができる法律行為になるものとして、「贈与の申込を拒絶すること等」を規定していますので、贈与の申し出を拒絶するには保佐人の同意が必要となります。
3.この選択肢はヒッカケ問題です。
後見監督人は、後見人の事務の監督などをする機関ですが、置くことは任意です。
この問題文では「後見監督人の許可」と書いていますが、この肢の許可は家庭裁判所からもらわなければいけません。
制限行為能力者の法律行為をどの機関が許可するかは、明確にしておいてください。
この問題は、成年被後見人が居住用にしている不動産の処分についての許可として、民法859条の3「家庭裁判所の許可が必要だ」という規定を知っているかどうかを聞いていますので、結論は誤りの肢ということになります。
4.この選択肢は民法21条が規定している、制限行為能力者が詐術をした場合に、取消権が否定されるというポイントを聞いています。
明確にしなければならないのは、なにが詐術に当たるかということを判例知識も含めて知っておくことで、過去には判例知識も問われています。
しかし、この肢では条文知識の原則論を聞いてきていますので、取消権は否定され、正しい肢となります。
参考になった数17
この解説の修正を提案する
03
<制限行為能力者の問題>
制限行為能力者については、権利関係を学び始めて最初に取り掛かる部分です。
試験前になると学習が手薄になってしまうこともあります。
基本的な問題を少し捻って出題される事も多くなってきていますので
今一度、制限行為能力者の範囲について確認をしておきましょう。
①宅建の試験問題なのに、問題文に「古着の仕入れ」と記述があっても動揺しないようにしてください。
単に「未成年でも許可を受けた範囲(古着の仕入れ販売)だけは、成年者と同一の行為能力を有するとみなされる」という所を出題してきているだけです。
あくまでも「許可を受けた範囲だけは成年者と同一」ですので、
文中にある「法定代理人の許可を得ずに建物を購入する」という行為に関しては、単なる未成年扱いです。
よって、法定代理人は建物購入に関して取り消すことができます。
②被保佐人は、不動産売却も贈与の拒絶も、どちらも保佐人の同意が必要です。
※補足ですが、被保佐人による不動産賃貸借契約の場面では
・宅地は5年以内
・建物は3年以内
の短期賃貸借であれば、被保佐人単独での契約が可能です。
③成年後見人が、成年被後見人に代わって成年被後見人が居住している建物を売却する場合に必要なのは、家庭裁判所の許可です。
④問題文の通り、正解です。
行為能力者の詐術(ウソつき・騙し)に関しては、その行為を取り消すことはできません。
参考になった数15
この解説の修正を提案する
04
1:誤りです。
未成年は、許可された営業に関しては成年と同一の行為能力を有するとされています。
しかし、この選択肢では、許可されているのは古着の仕入れ販売であり、自己が居住する建物の売買については許可された営業外の行為となっています。
その場合、法定代理人の同意が必要であり、また取り消す時は法定代理人は売買契約を取り消すことが出来ます。
2:誤りです。
被保佐人が不動産の売却をする場合には保佐人の同意が必要です。
また、被保佐人が贈与の拒絶をする場合も保佐人の同意が必要です。
3:誤りです。
民法859条の3において、成年後見人が被成年後継人が居住の用に供する建物を売却する場合には家庭裁判所の許可を得なければないらない旨が規定されています。
また、民法864条13条1項3号において、後見監督人がいる場合にはその同意を得なければならないと規定されています。
4:正解です。
民法21条において、制限行為能力者が、制限行為能力者であると信じさせるために詐術を行った場合、その行為は取り消すことが出来ないと規定されています。
同様に、相手方に虚偽の事実を信じさせようとするような詐術行為を行った場合、その行為を取り消すことは出来ません。
参考になった数12
この解説の修正を提案する
前の問題(問1)へ
平成28年度(2016年)問題一覧
次の問題(問3)へ