宅地建物取引士の過去問
平成28年度(2016年)
権利関係 問8

このページは閲覧用ページです。
履歴を残すには、 「新しく出題する(ここをクリック)」 をご利用ください。

問題

宅建試験 平成28年度(2016年) 権利関係 問8 (訂正依頼・報告はこちら)

AがBに甲建物を月額10万円で賃貸し、BがAの承諾を得て甲建物をCに適法に月額15万円で転貸している場合における次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
  • Aは、Bの賃料の不払いを理由に甲建物の賃貸借契約を解除するには、Cに対して、賃料支払の催告をして甲建物の賃料を支払う機会を与えなければならない。
  • BがAに対して甲建物の賃料を支払期日になっても支払わない場合、AはCに対して、賃料10万円をAに直接支払うよう請求することができる。
  • AがBの債務不履行を理由に甲建物の賃貸借契約を解除した場合、CのBに対する賃料の不払いがなくても、AはCに対して、甲建物の明渡しを求めることができる。
  • AがBとの間で甲建物の賃貸借契約を合意解除した場合、AはCに対して、Bとの合意解除に基づいて、当然には甲建物の明渡しを求めることができない。

次の問題へ

正解!素晴らしいです

残念...

この過去問の解説 (4件)

01

正解は1

・本問のポイント
本問は転貸借についての知識を問う問題で、特に特徴的な点はありませんが、一つ判例を知っていなければならない肢(4の肢)がありました。正誤に影響はありません。

・解説

1.本問では、A→B→Cと、有効に転貸借が成立している事例です。
本肢は、賃借人であるBの債務不履行が問題となっていますが、甲建物の賃貸借契約を解除するには、転借人であるCに対してする催告は意味をなしません。
Cの転借権は、Bの賃借権の上に成り立つものです。
Bの賃借権を失わせるための催告をし、賃貸借契約を解除さえすれば、Cの転借権も一緒に消滅するからです。
よって、本肢は誤っており、この選択肢が正解です。

2.転借人(C)の賃貸人(A)に対する賃料の支払い義務は、民法613条1項において、「転借人は賃貸人に対して直接に義務を負う」と規定されています。
そのため、賃借人であるBが賃貸人であるAに賃料を支払わない場合には、AはCに賃料を請求することができます。
なお、この場合において賃料は10万円か15万円かが問題となりますが、Aはもともと10万円の債権しか持っていなかったのですから、CはAに対して10万円を支払う義務を負います。
よって、本肢は正しい肢となります。

3.解説1.でも既述したように、賃借人であるBが賃貸人であるAに債務不履行をし、契約が解除された場合には、転貸借契約も終了します。「親がコケれば子もコケる」と考えるといいでしょう。
よって、AはCに対して明け渡しを求めることができ、本肢は正しい肢となります。

4.最判昭37.2.1は、「賃貸人と賃借人との合意で賃貸借契約が解除されたときは、その合意解除をもって転借人に対抗することはできない」としています。
期間満了まで借りられるという転借人の期待権の保護などが主な趣旨です。
よって、本肢は正しい肢となります。

参考になった数34

02

正解は【1】になります。

1:民法第541条では履行遅滞等による解除権についてあり、そこでは当事者の一方がその債務を履行しない場合において、相手方が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、相手方は契約の解除をすることができることになっております。
今回のケースでは、Bの不払いにより甲建物の契約を解除するには、Aは賃貸借契約の解除を、Bにのみ催告をしてCに対しては延滞賃料の支払う機会を与える必要はありません。

2:民法第613条1項では転貸の効果が記されており、そこでは賃借人が適法に賃借物を転貸したときは、転借人は、賃貸人に対して直接に義務を負うことになっております。
そのため、賃貸人は転借人に対し、直接賃料を請求しても賃借料の範囲であれば問題ありません。
選択肢の場合、Aは転借人Cに、10万円の範囲内であれば賃料の直接支払いの請求を行うことができます。

3:選択肢1と同様にはなりますが、賃貸人のAと賃借人Bとの間での賃貸借契約が、Bの債務不履行に伴う解除の場合、BとCとの間の転貸借契約における転貸主Bの債務もここでは事実上の不能とるため、当然としてこの転貸借契約は終わることになります。

4:最高裁の判例から紐解くと、無断転貸にもかかわらず賃貸借の解除ができない場合にされた賃貸借の合意解除と転借人の地位について、賃貸人Aが賃借人Bとの合意を解除した場合は、転借人Cに対して解除を対抗することができず、明渡しを請求することはできないことになっております。
従って、AはCに対しBと合意解除に基づき、甲建物の明渡しを求めることはできません。

参考になった数13

03

正解:1

1:誤りです。
賃貸人は、賃借人に対して催促すれば足りるとされており、Bに賃料の不払いがあれば、Bに対して催告すれば良いということになります。
Bがそれに従わない場合は、AB間の賃貸借契約は、強制的に解除されることとなります。
転借人もそれに伴い、建物を受け渡さなければいけません。

2:民法613条には「賃借人が適法に賃借物を転貸した時は、転借人は賃借人に対して直接に義務を負う。この場合においては賃料の前払いをもって賃貸人に対抗することができない」とされています。
賃貸人Aは、転借人Cに対して賃借料10万円を直接支払うように請求できるということです。
よって正しい肢となります。

3:賃貸人Aが、債務不履行により賃貸借契約を解除した場合、CがBに対して賃料の不払いがなくてもBとCとの転貸借契約も履行不能となり、AはCに甲建物の明け渡しを求めることができます。
よって、正しい肢となります。

4:合意解除の場合には転借人にまでその効力は及ばないとされています。
AB間の賃貸借解除を理由にAはCに甲建物の明け渡しを求めることができません。
よって正しい肢となります。

参考になった数10

04

1が間違いで、正解肢です。

<転貸借の問題>

①借主Bの賃料未払いによる債務不履行に関して、貸主Aは契約解除をすることができます。
その際、転借人であるCに賃料支払いの機会は与えなくても良いということになります。
なぜなら、貸主Aは借主Bと賃貸借契約を結んでいるのであり、貸主Bから転借しているCは、貸主Aと直接の契約関係は成り立っていません。
貸主Aと借主Bの賃貸借契約が終了すれば、それに伴ってCの転貸借関係も終了すると考えられます。

②問題文通り、正しい内容です。
貸主が転借人に賃料請求をする場合、賃料と転借料の少ないほうを請求できます。

③問題文通り、正しい内容です。
問題①の解説と重複しますが、AとBの賃貸借契約が解除になれば、転借人Cに何の落ち度もなくても転貸借契約も無くなってしまいます。
よって、貸主Aは転借人Cに対して明け渡しを求めることができます。

④問題文通り正しい内容です。
賃貸借が合意解除された場合、転借人にその効果は及ばないとされています。
ですので、当然には建物の明け渡しを求めることはできません。

参考になった数8