宅地建物取引士の過去問
令和元年度(2019年)
権利関係 問5

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問題

宅建試験 令和元年度(2019年) 権利関係 問5 (訂正依頼・報告はこちら)

次の記述のうち、民法の規定及び判例並びに下記判決文によれば、誤っているものはどれか。

(判決文)
本人が無権代理行為の追認を拒絶した場合には、その後に無権代理人が本人を相続したとしても、無権代理行為が有効になるものではないと解するのが相当である。けだし、無権代理人がした行為は、本人がその追認をしなければ本人に対してその効力を生ぜず(民法113条1項)、本人が追認を拒絶すれば無権代理行為の効力が本人に及ばないことが確定し、追認拒絶の後は本人であっても追認によって無権代理行為を有効とすることができず、右追認拒絶の後に無権代理人が本人を相続したとしても、右追認拒絶の効果に何ら影響を及ぼすものではないからである。
  • 本人が無権代理行為の追認を拒絶した場合、その後は本人であっても無権代理行為を追認.して有効な行為とすることはできない。
  • 本人が追認拒絶をした後に無権代理人が本人を相続した場合と、本人が追認拒絶をする前に無権代理人が本人を相続した場合とで、法律効果は同じである。
  • 無権代理行為の追認は、別段の意思表示がないときは、契約の時にさかのぼってその効力を生ずる。ただし、第三者の権利を害することはできない。
  • 本人が無権代理人を相続した場合、当該無権代理行為は、その相続により当然には有効とならない。

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この過去問の解説 (3件)

01

まず判決文に書かれている内容です。

本人が無権代理行為の追認を拒絶した
→その後、本人が死亡し、無権代理人が本人を相続した
→この場合でも、無権代理行為は有効とならない。

その理由は
→本人が無権代理行為の追認を拒絶した時点で、有効とならないことが確定する
→その後は、もう変更不可(たとえ本人でも)
→当然、無権代理人が本人を相続しても同じ(つまり、もう変更不可)

選択肢1. 本人が無権代理行為の追認を拒絶した場合、その後は本人であっても無権代理行為を追認.して有効な行為とすることはできない。

判決文に書いてある通りです。
正しい文章です。

選択肢2. 本人が追認拒絶をした後に無権代理人が本人を相続した場合と、本人が追認拒絶をする前に無権代理人が本人を相続した場合とで、法律効果は同じである。

<本人が追認拒絶をした後に無権代理人が本人を相続した場合>
これは、上記の判決文のケースです。
無権代理行為は、有効とならないことが確定済みです。

一方、
<本人が追認拒絶をする前に無権代理人が本人を相続した場合>
無権代理人は、追認を拒絶することができず、無権代理行為は有効となります。
無権代理人は自分がした行為の責任をとらないといけないので、いくら本人の地位を相続したからといって、追認を拒絶することは出来ません。
相続の発生が、本人の追認の前か後かで、法律効果は異なります。
よって誤りです。

選択肢3. 無権代理行為の追認は、別段の意思表示がないときは、契約の時にさかのぼってその効力を生ずる。ただし、第三者の権利を害することはできない。

追認をすれば、その契約は、契約時にさかのぼって有効となります。
正しい文章です。

選択肢4. 本人が無権代理人を相続した場合、当該無権代理行為は、その相続により当然には有効とならない。

本人が無権代理人を相続した場合、本人は、追認を拒絶することが出来ます。
そもそもの自分の権利だからです。
無権代理人の行為を当然に引き継ぐわけではありません。
正しい文章です。

参考になった数20

02

判決文の要旨は以下のとおりです。無権代理の効力についての説明です。
本人が無権代理人の行為の追認を拒絶した場合、本人が死亡し無権代理人が本人を相続しても無権代理行為は有効ではありません。
・本人が無権代理人の行為を追認拒絶した時点で無効
・追認拒絶は本人であっても有効にできない
・追認拒絶後に無権代理人が本人を相続しても上記2点はそのままで、無効のまま

選択肢1. 本人が無権代理行為の追認を拒絶した場合、その後は本人であっても無権代理行為を追認.して有効な行為とすることはできない。

正しい選択肢です。
判決文の内容のとおりです。

選択肢2. 本人が追認拒絶をした後に無権代理人が本人を相続した場合と、本人が追認拒絶をする前に無権代理人が本人を相続した場合とで、法律効果は同じである。

誤った選択肢です。
相続のタイミングで結論が異なります。
本人が追認拒絶前に相続した場合→有効
無権代理人が本人の立場を相続するため、自分が行った行為になるため有効になります。あわせて追認拒絶することはできません。
本人が追認拒絶後に相続した場合→無効
こちらは判決文のとおりです。

選択肢3. 無権代理行為の追認は、別段の意思表示がないときは、契約の時にさかのぼってその効力を生ずる。ただし、第三者の権利を害することはできない。

正しい選択肢です。
判決文に記載はありません。しかし民法に選択肢の内容が以下のように記載されています。
無権代理人の行為の追認は契約の時にさかのぼって効力が発生します。ただし第三者の利益を害することはできません。

選択肢4. 本人が無権代理人を相続した場合、当該無権代理行為は、その相続により当然には有効とならない。

正しい選択肢です。
判決文と逆の場合が記載されています。
本人が無権代理人の立場を相続した場合、本人が持つ権利である追認拒絶をすることができます。本人は無権代理行為自体に関係がないため、拒絶しても問題ありません。

参考になった数8

03

以下、解説になります。

選択肢1. 本人が無権代理行為の追認を拒絶した場合、その後は本人であっても無権代理行為を追認.して有効な行為とすることはできない。

正しいです。
判決文の後半に、「本人が追認を拒絶すれば無権代理行為の効力が本人に及ばないことが確定し、追認拒絶の後は本人であっても追認によって無権代理行為を有効とすることができず、」と記されています。
よって、本選択肢は正しいです。

選択肢2. 本人が追認拒絶をした後に無権代理人が本人を相続した場合と、本人が追認拒絶をする前に無権代理人が本人を相続した場合とで、法律効果は同じである。

誤りです。
本人が追認拒絶をした後に無権代理人が本人を相続した場合、判決文によれば、無権代理行為を有効とすることはできません。
一方、本人が追認拒絶をする前に無権代理人が本人を相続した場合には、無権代理行為は当然に有効になります。
よって、法律効果は異なります。

選択肢3. 無権代理行為の追認は、別段の意思表示がないときは、契約の時にさかのぼってその効力を生ずる。ただし、第三者の権利を害することはできない。

正しいです。
「追認は、別段の意思表示がないときは、契約の時にさかのぼってその効力を生ずる。ただし、第三者の権利を害することはできない。」と民法は規定しています。
本選択肢の通りです。

選択肢4. 本人が無権代理人を相続した場合、当該無権代理行為は、その相続により当然には有効とならない。

正しいです。
無権代理人が死亡し、本人が相続したという場合です。
判決文中盤に「本人が追認を拒絶すれば無権代理行為の効力が本人に及ばないことが確定し、」とあるので、本人が無権代理人を相続しても、無権代理行為が当然に有効になるわけではありません。

参考になった数1