宅地建物取引士の過去問
令和元年度(2019年)
権利関係 問6
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問題
宅建試験 令和元年度(2019年) 権利関係 問6 (訂正依頼・報告はこちら)
遺産分割に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
- 被相続人は、遺言によって遺産分割を禁止することはできず、共同相続人は、遺産分割協議によって遺産の全部又は一部の分割をすることができる。
- 共同相続人は、既に成立している遺産分割協議につき、その全部又は一部を全員の合意により解除した上、改めて遺産分割協議を成立させることができる。
- 遺産に属する預貯金債権は、相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割され、共同相続人は、その持分に応じて、単独で預貯金債権に関する権利を行使することができる。
- 遺産の分割は、共同相続人の遺産分割協議が成立した時から効力を生ずるが、第三者の権利を害することはできない。
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この過去問の解説 (3件)
01
各選択肢については以下のとおりです。
1→誤り。指定分割の問題です。
被相続人は遺言により相続開始の時から5年を超えない期間を定め、遺産分割を禁止することができます。
本文中の「遺産分割を禁止することはできず」が誤りです。
2→正しい。協議分割の問題です。
選択肢のとおりです。最高裁判所の判決にあります。遺産分割協議の成立後でも共同相続人全員の同意により、全部または一部を解除し、改めて遺産分割協議を成立させることが可能です。
3→誤り。遺産分割の対象についての問題です。
預貯金債権は遺産分割の対象で、相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されません。そのため共同相続人が単独で預貯金債権に関する権利を行使できません。
(※現行法では、要件を満たせば預貯金の一部行使ができるようになっています。)
4→誤り。分割の効力についての問題です。
遺産の分割は相続開始の時にさかのぼって効力が発生します。ただし第三者の権利を害することはできません。
本文中の「遺産分割協議が成立した時」が誤りです。
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02
以下、各選択肢の解説です。
1.
遺産分割は遺言で禁止することができます。民法908条で定められています。
民法908条
被相続人は、遺言で、遺産の分割の方法を定め、若しくはこれを定めることを第三者に委託し、又は相続開始の時から五年を超えない期間を定めて、遺産の分割を禁ずることができる
2.
選択肢の通り、正しい文章です。
全員が合意すれば、遺産分割のやり直しが出来ます。
3.
遺産に属する預貯金債権は、相続開始と同時に「当然に」相続分に応じて分割されることはありません。
遺産分割協議を経て取得者が決まったのち、必要書類を金融機関に提出してはじめて、取得者が預金を引き出すことができます。
ただし、少し前に大きな法改正がありまして、2019年7月から預貯金の1/3かつ150万円を限度額として、相続人が各持分に応じた額を単独で引き出しできるようになりました。
遺族が生活費や葬儀費用等の支払いに困ることを防ぐためです。
4.
前半の文章が誤りです。
遺産分割協議が「成立した時」から効力が生じるのではなく、「相続開始の時」にさかのぼってその効力を生じます。民法909条で定められています。
文章の後半は正しいです。
民法909条
遺産の分割は、相続開始の時にさかのぼってその効力を生ずる。ただし、第三者の権利を害することはできない。
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03
以下、解説になります。
1. 誤りです。
民法は、「被相続人は、遺言で、遺産の分割の方法を定め、若しくはこれを定めることを第三者に委託し、又は相続開始の時から五年を超えない期間を定めて、遺産の分割を禁ずることができる。」としています。
被相続人は遺言により、相続開始の時から5年を超えない期間を定めて遺産の分割を禁ずることができるので、本選択肢は誤りです。
2. 正しいです。
「共同相続人は、既に成立している遺産分割協議につき、その全部又は一部を全員の合意により解除した上、改めて分割協議を成立させることができる。」との判例があります。
よって、本選択肢は正しいです。
3. 誤りです。
判例によれば、預貯金債権は遺産分割の対象です。
相続開始と同時に当然に分割されるわけではありません。
4. 誤りです。
民法は、「遺産の分割は、相続開始の時にさかのぼってその効力を生ずる。ただし、第三者の権利を害することはできない。」と規定しています。
共同相続人の遺産分割協議が成立した時から効力を生ずるのではなく、相続開始の時にさかのぼってその効力を生じます。
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