宅地建物取引士の過去問
令和2年度10月実施分(2020年)
権利関係 問9
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問題
宅建試験 令和2年度10月実施分(2020年) 権利関係 問9 (訂正依頼・報告はこちら)
Aがその所有する甲建物について、Bとの間で、①Aを売主、Bを買主とする売買契約を締結した場合と、②Aを贈与者、Bを受贈者とする負担付贈与契約を締結した場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。なお、これらの契約は、令和2年7月1日に締結され、担保責任に関する特約はないものとする。
- ①の契約において、Bが手付を交付し、履行期の到来後に代金支払の準備をしてAに履行の催告をした場合、Aは、手付の倍額を現実に提供して契約の解除をすることができる。
- ②の契約が書面によらずになされた場合、Aは、甲建物の引渡し及び所有権移転登記の両方が終わるまでは、書面によらないことを理由に契約の解除をすることができる。
- ②の契約については、Aは、その負担の限度において、売主と同じく担保責任を負う。
- ①の契約については、Bの債務不履行を理由としてAに解除権が発生する場合があるが、②の契約については、Bの負担の不履行を理由としてAに解除権が発生することはない。
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この過去問の解説 (3件)
01
以下、解説になります。
1. 誤りです。
判例によれば、本選択肢の「Bが履行期の到来後に代金支払の準備をしてAに履行の催告をした場合」は、契約の履行に着手したと認めるのが相当であるとされます。
売買契約で手付の交付があったときは、相手方が契約の履行に着手するまでは、売主は手付の倍額を現実に提供することで契約解除できますが、本選択肢は契約の履行に着手したとされるので、手付の倍額を現実に提供しても契約の解除はできません。
2. 誤りです。
判例では、書面によらずになされた負担付贈与契約において、当事者一方が契約の履行に着手した後に書面によらないことを理由に契約の全部または一部を取り消すことはできない、とされています。
3. 正しいです。
本選択肢の通りです。
負担付贈与契約における贈与者は、その負担の限度において、売主と同じく担保責任を負います。
4. 誤りです。
売買契約では当事者の一方が債務を履行しない場合に契約解除ができますが、これは負担付贈与契約にも適用されるものなので、Bの負担の不履行を理由としてAに解除権は発生します。
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02
正解は3です。
「負担付き贈与については、・・・その性質に反しない限り、双務契約に関する規定」が準用され(民法553条)、双務契約の代表格である売買契約が担保責任や契約不適合責任について定めていますので、この選択肢は正しいです。
1:「買主が売主に手付を交付したときは、・・・売主はその倍額を現実提供して、契約を解除することができ」るのが原則ですが(民法557条1項本文)、「(手付による解除を主張する側の)相手方が契約の履行に着手した後は、この限りでは」(同項但書)ありません。
手付による解除を主張するAの相手方であるBは、履行期の到来後に代金支払の準備をしてAに履行の催告をしているため、これが相手方が契約の履行に着手した後に該当し、解除は認められないことになります。
よって、解除することができるとしている点で、この選択肢は誤りです。
2:「書面によらない贈与は、各当事者が解除することができる」のが原則ですが(民法550条本文)、「履行の終わった部分については、この限りではない」(同条但書)ものとされているので、一見この選択肢は正しそうに思えます。
しかし、建物の贈与の場合は、建物の引渡しまたは所有権移転登記のどちらかが終われば、履行が終わったものとするのが判例ですので、建物の引渡し及び所有権移転登記の両方が終わるまでとしている点で誤りです。
4:選択肢3でも述べた通り、負担付き贈与については双務契約の規定が準用されるため、双務契約の規定の一つである、債務不履行による解除の規定も当然に準用されます。
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03
売買契約及び負担付贈与契約についての問題です。
負担付贈与契約とは財産を無償で上げる代わりに、お金以外の負担をしてもらうことです。
正解は3です。
3.正しい
負担付贈与契約を締結した場合、贈与者はその負担の限度において売主と同じく担保責任を負います。
例えば契約に不適合があった場合、受贈者Bは贈与者Aに契約解除や損害賠償の請求をすることが可能です。
1.誤り
売買契約において買主Bが手付を交付し、履行期の到来後に代金支払の準備をして売主Aに履行の催告をしたらどうなるかという問題です。
手付の交付があっても契約の履行が始まる前ならば以下の条件で契約解除できます。
売手A:手付の倍額を払う
買手B:手付を放棄
この選択肢は「履行期の到来後」についてです。
履行が始まっているため、売主Aは手付の倍のお金を用意しても契約解除はできません。
2.誤り
書面を交わしていないからといって、契約を簡単に取り消すことはできません。
4.誤り
売買契約でも負担付贈与契約でも相手に債務不履行があれば、契約を解除することができます。
そのため売買契約は解除できますが、負担付贈与契約では契約解除できないとするこの選択肢は誤りです。
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