宅地建物取引士の過去問
令和3年度(2021年)
権利関係 問2

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問題

宅建試験 令和3年度(2021年) 権利関係 問2 (訂正依頼・報告はこちら)

債務者A、B、Cの3名が、令和3年7月1日に、内部的な負担部分の割合は等しいものとして合意した上で、債権者Dに対して300万円の連帯債務を負った場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。
  • DがAに対して裁判上の請求を行ったとしても、特段の合意がなければ、BとCがDに対して負う債務の消滅時効の完成には影響しない。
  • BがDに対して300万円の債権を有している場合、Bが相殺を援用しない間に300万円の支払の請求を受けたCは、BのDに対する債権で相殺する旨の意思表示をすることができる。
  • DがCに対して債務を免除した場合でも、特段の合意がなければ、DはAに対してもBに対しても、弁済期が到来した300万円全額の支払を請求することができる。
  • AとDとの間に更改があったときは、300万円の債権は、全ての連帯債務者の利益のために消滅する。

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この過去問の解説 (3件)

01

正解は、2です。

連帯債務は、原則相対効です。

しかし、更改、相殺、混合、弁済絶対効とされます。

●相対効・・・1人について生じた事由は、他の債務者に効果が及びません

●絶対効・・・1人について生じた事由は、他の債務者にも効果が及びます

1、正しい

 請求は絶対効ではなく相対効であるため、Aの時効にのみ効果を及ぼします。

 〈参考までに、2020年民法改正前は、請求も絶対効とされていました。〉

 従って、本選択肢は正しいです。

2、誤り

 相殺絶対効です。しかし、債権を有するBが、援用の意思を示していない場合には、Bの負担部分(100万円)についてのみ絶対効となります。よって、Cは、100万円についてのみ、支払いの拒絶ができますが、300万円(BのDに対する債権)で相殺することはできません。

 従って、本選択肢は誤りです。

3、正しい

 免除は絶対効ではなく相対効であるため、Aの時効にのみ効果を及ぼします。

 〈参考までに、2020年民法改正前は、免除も絶対効とされていました。〉

 従って、本選択肢は正しいです。 

4、正しい

 更改絶対効です。

 従って、本選択肢は正しいです。

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02

正解は、「BがDに対して300万円の債権を有している場合、Bが相殺を援用しない間に300万円の支払の請求を受けたCは、BのDに対する債権で相殺する旨の意思表示をすることができる。」です。

連帯債務とは、二人以上の債務者が連帯して、各々で全責任を負うという事です。

また、連帯債務者の一人に生じた影響を、他の債務者にも影響を及ぼす事を絶対効と言います。

逆に、影響を及ぼさない事を相対効と言います。

絶対効・・・相殺、更改、混同。

相対効・・・請求、時効の完成、免除、承認。

選択肢1. DがAに対して裁判上の請求を行ったとしても、特段の合意がなければ、BとCがDに対して負う債務の消滅時効の完成には影響しない。

正しい。

相対効の請求になりますので、一人に請求をしても他の債務者には請求を行った事にはならないという事になります。

選択肢2. BがDに対して300万円の債権を有している場合、Bが相殺を援用しない間に300万円の支払の請求を受けたCは、BのDに対する債権で相殺する旨の意思表示をすることができる。

誤り。

相殺は絶対効になります。三人での連帯債務になりますので、それぞれ負担分は100万円という事になり、その100万円に対してはCは相殺する(BのDに対する債権)意思表示が出来ます。

選択肢3. DがCに対して債務を免除した場合でも、特段の合意がなければ、DはAに対してもBに対しても、弁済期が到来した300万円全額の支払を請求することができる。

正しい。

免除は相対効になりますので、弁済期が来ればA,Bに対しても請求出来る事になります。

選択肢4. AとDとの間に更改があったときは、300万円の債権は、全ての連帯債務者の利益のために消滅する。

正しい。

更改は絶対効になります。更改とは、以前の債権が消え、新たに債権が生じるという事になりますので、一度リセットされ、他の債務者にも影響を及ぼします。

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03

連帯債務」がキーワードの問題です。

連帯債務とは、数人で債務を負担するものです。

この問題のポイントは以下の点です。

・債務者はA、B、C

・債権者Dに対して300万円の連帯債務を負っている

・A・B・C一人当たりの負担は100万円

選択肢1. DがAに対して裁判上の請求を行ったとしても、特段の合意がなければ、BとCがDに対して負う債務の消滅時効の完成には影響しない。

<正しい>

債権者Dが債務者Aに対して裁判上の請求を行うと、Aの債務の消滅時効は完成が猶予されます。

連帯債務者の間で時効の完成は、影響しあいません。

選択肢2. BがDに対して300万円の債権を有している場合、Bが相殺を援用しない間に300万円の支払の請求を受けたCは、BのDに対する債権で相殺する旨の意思表示をすることができる。

<誤り>

相殺についての選択肢です。

相殺は、連帯債務者同士で影響があります。

連帯債務者の1人(B)が債権者(D)に対して債権を有する場合、その連帯債務者(B)が相殺を援用すれば、すべての連帯債務者(A・B・C)の債務が消滅します。

今回、Bは相殺を援用していません。

そんな時にCがDからまとめて300万支払うよう言われたとします。

この場合Cは、Bの負担100万円は支払はなくてよいのです。

自分が負担する100万円についてのみ、支払いを拒否することができます。

選択肢3. DがCに対して債務を免除した場合でも、特段の合意がなければ、DはAに対してもBに対しても、弁済期が到来した300万円全額の支払を請求することができる。

<正しい>

債権者が特定の債務者に対して債務を免除した場合の問題です。

連帯債務者の間で免除は、影響しあいません。

そのため、債務者DはCを免除しても債権者A・Bに対しては支払を請求することができます。

選択肢4. AとDとの間に更改があったときは、300万円の債権は、全ての連帯債務者の利益のために消滅する。

<正しい>

更改とは新しい債務の成立によって古い債務を消滅させることです。

今回債務者Aと債権者Dとの間に更改がありました。

連帯債務者の間で更改は、影響しあいます。

そのため、300万円の債権は、全ての連帯債務者の利益のために消滅します。

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