宅地建物取引士の過去問
令和3年度(2021年)
権利関係 問11

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問題

宅建試験 令和3年度(2021年) 権利関係 問11 (訂正依頼・報告はこちら)

Aは、所有している甲土地につき、Bとの間で建物所有を目的とする賃貸借契約(以下この問において「借地契約」という。)を締結する予定であるが、期間が満了した時点で、確実に借地契約が終了するようにしたい。この場合に関する次の記述のうち、借地借家法の規定によれば、誤っているものはどれか。
  • 事業の用に供する建物を所有する目的とし、期間を60年と定める場合には、契約の更新や建物の築造による存続期間の延長がない旨を書面で合意すれば、公正証書で合意しなくても、その旨を借地契約に定めることができる。
  • 居住の用に供する建物を所有することを目的とする場合には、公正証書によって借地契約を締結するときであっても、期間を20年とし契約の更新や建物の築造による存続期間の延長がない旨を借地契約に定めることはできない。
  • 居住の用に供する建物を所有することを目的とする場合には、借地契約を書面で行えば、借地権を消滅させるため、借地権の設定から20年が経過した日に甲土地上の建物の所有権を相当の対価でBからAに移転する旨の特約を有効に定めることができる。
  • 借地契約がBの臨時設備の設置その他一時使用のためになされることが明らかである場合には、期間を5年と定め、契約の更新や建物の築造による存続期間の延長がない旨を借地契約に定めることができる。

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この過去問の解説 (3件)

01

正解は、3です。

定期借地権には、一般定期借地権、事業用定期借地権、建物譲渡特約付借地権があります。

それぞれの (用途) (存続期間) (契約書面)

一般・・・(用途)制限なし (期間)50年以上 (契約書面)制限なし

事業用・・(用途)事業用のみ (期間)10年以上50年未満 (契約書面)公正証書のみ

特約付・・(用途)制限なし (期間)30年以上 (契約書面)制限なし

1、正しい

 60年の定期借地権なので、一般定期借地権に分類されます。一般定期借地権の契約書面は、公正証書に限らないので、有効に成立します。

 従って、本選択肢は正しいです。

2、正しい

 建物譲渡特約がなく、用途が居住用の定期借地権は、一般定期借地権となります。しかし、一般定期借地権は存続期間を50年以上で定めなければならないので、20年とする定期借地権は設定できません。公正証書による場合でも同じです。

 従って、本選択肢は正しいです。

3、誤り

 建物譲渡特約付借地権を定めるためには、存続期間30年以上で設定しなければなりません。20年とする借地権は設定できません。

 従って、本選択肢は誤りです。 

4、正しい

 一時使用目的での、土地建物の賃貸借契約には、借地借家法は適用されません。

 借地借家法は、賃借人保護を目的に作られました。しかし、一時的に使用するためだけの賃貸借では、賃借人も長く住みたいとは考えておらず、そこまで保護する必要がありません。なので、民法の賃貸借契約と同じく、用途も、存続期間も自由に定めることができます。

 従って、本選択肢は正しいです。

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02

定期借地権の問題になります。

定期借地権とは、簡単に言いますと、期間を定め、確実に土地を返してもらうという事になります。

何でもかんでも、こちらの借地権を設定出来るのではなく、一定要件を満たす必要があります。

定期借地権の種類は三つあります。

①一般定期借地権

②事業用借地権

③建物譲渡特約付借地権

選択肢1. 事業の用に供する建物を所有する目的とし、期間を60年と定める場合には、契約の更新や建物の築造による存続期間の延長がない旨を書面で合意すれば、公正証書で合意しなくても、その旨を借地契約に定めることができる。

正しいです。

一般定期借地権とは、契約方法は書面でも良く、建物の用途は自由になりますので、今回の様に事業用に供する建物を所有する場合でも適用されます。又、存続期間は50年以上ですので、こちらも問題ありませんので、正しい記述になります。

選択肢2. 居住の用に供する建物を所有することを目的とする場合には、公正証書によって借地契約を締結するときであっても、期間を20年とし契約の更新や建物の築造による存続期間の延長がない旨を借地契約に定めることはできない。

正しいです。

居住の用に供する建物を所有することを目的とする場合は、事業用借地権は設定できませんので、一般定期借地権になります。

公正証書で契約しても期間は50年以上に設定しなければなりませんので、正しい記述になります。

選択肢3. 居住の用に供する建物を所有することを目的とする場合には、借地契約を書面で行えば、借地権を消滅させるため、借地権の設定から20年が経過した日に甲土地上の建物の所有権を相当の対価でBからAに移転する旨の特約を有効に定めることができる。

誤りです。

建物譲渡特約付借地権とは、建物の用途は自由になりますので、今回の様に居住用でも適用されます。

しかし、存続期間が30年以上ではないと適用できませんので、「借地権の設定から20年が経過した日に」といった箇所が誤りになります。

選択肢4. 借地契約がBの臨時設備の設置その他一時使用のためになされることが明らかである場合には、期間を5年と定め、契約の更新や建物の築造による存続期間の延長がない旨を借地契約に定めることができる。

正しいです。

一時使用の場合は借地借家法は適用されません。

民法604条、賃貸借の存続期間は、50年を超えることができない。

こちらの選択肢には「期間を5年と定め」との記述がありますので、50年以内ですので正しい記述になります。

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03

A(貸主)とB(借主)との間で結ぶ甲土地についての賃貸借契約についての問題です。

問題文に「期間が満了した時点で、確実に借地契約が終了する」とあることから契約の更新がなく、当初の存続期間が満了すると確定的に終了する定期借地権の問題であることがわかります。

選択肢1. 事業の用に供する建物を所有する目的とし、期間を60年と定める場合には、契約の更新や建物の築造による存続期間の延長がない旨を書面で合意すれば、公正証書で合意しなくても、その旨を借地契約に定めることができる。

<正しい>

事業用、期間60年とあるのでこれは一般定期借地権となります。

一般定期借地権の契約書面の形式に制限はないので、公正証書で合意しなくても、その旨を借地契約に定めることができます。

選択肢2. 居住の用に供する建物を所有することを目的とする場合には、公正証書によって借地契約を締結するときであっても、期間を20年とし契約の更新や建物の築造による存続期間の延長がない旨を借地契約に定めることはできない。

<正しい>

「住居用」で「建物譲渡特約がない」場合、定期借地権は一般定期借地権となります。

しかし、一般定期借地権が適用されるのは期間が50年以上の場合です。

よって、借地契約を結べないとしたこの選択肢は正しいです。

契約書面が公正証書と制限されていて、期間が20年(期間が10年以上50年未満)なのは事業用定期借地権です。

選択肢3. 居住の用に供する建物を所有することを目的とする場合には、借地契約を書面で行えば、借地権を消滅させるため、借地権の設定から20年が経過した日に甲土地上の建物の所有権を相当の対価でBからAに移転する旨の特約を有効に定めることができる。

<誤り>

定期借地権の一種に借地権設定後30年以上を経過した日に貸主が相当の対価で建物を買い取るという建物譲渡特約付借地権があります。

貸主が建物を買い取ることで借地契約が終了した後、借地人は請求などによって引き続き借家に住み続けることが可能です。

建物譲渡特約付借地権による借地契約が終了しても、貸した土地が更地として手元に戻るわけではないのです。

今回の選択肢は、

・居住の用に供する建物を所有することを目的に、Bは土地を借りた

・借地権の設定から20年が経過した日に甲土地上の建物の所有権を相当の対価でB(借主)からA(貸主)に移転する旨の特約を有効に定めることができる

とあります。

建物譲渡特約付借地権を定めるには存続期間は30年以上とする必要があります。

よって20年としたこの選択肢は誤りです。

選択肢4. 借地契約がBの臨時設備の設置その他一時使用のためになされることが明らかである場合には、期間を5年と定め、契約の更新や建物の築造による存続期間の延長がない旨を借地契約に定めることができる。

<正しい>

臨時設備の設置その他一時使用のために賃貸借契約を結ぶパターンについてです。

一時使用目的の場合借地借家法は適用されず、契約の更新や建物の築造による存続期間の延長がない旨を借地契約に定めることが可能です。

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