中小企業診断士の過去問
平成27年度(2015年)
経営法務 問18

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問題

中小企業診断士試験 第1次試験 経営法務 平成27年度(2015年) 問18 (訂正依頼・報告はこちら)

著作権及び著作者人格権に関する記述として、最も不適切なものはどれか。
  • 契約によって「著作権の全部を譲渡する」旨の条項を定めることにより、著作権を構成する複製権等の支分権を個別に特定しなくても、支分権の全てが譲渡人から譲受人に移転する。
  • 著作権法上、職務上作成する著作物の著作者は、雇用契約等で別途規定しない限り使用者であるから、使用者が法人であっても著作者人格権に基づき当該著作物の改変行為の差止めを請求できる。
  • 電子書籍の出版権者は、電子書籍の公衆送信権のみを専有するにとどまるが、海賊版業者が違法配信目的で電子書籍の複製を行う行為の差止めを請求できる。
  • わが国の著作権法上、リバース・エンジニアリングがプログラムの著作物の著作権を侵害するか否かについては議論があるが、これを禁止する条項をソフトウェアの使用許諾契約で定めることは可能である。

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この過去問の解説 (2件)

01

1.✕:不適切です。
著作権の全部または一部の譲渡は認められているものの、明確に譲渡契約に定める必要があります。
2.◯:正しいです。
雇用契約等で別途規定がない限り、著作者人格権は使用者となります。
3.◯:正しいです。
出版権者は複製する権利ならびにそれらを公衆送信する権利を持ちます。
したがって、違法送信を差し止めることも認められています。
4.◯:正しいです。
契約自由の原則に照らし、禁止する事項を定めることが可能です。

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02

正解は、「契約によって「著作権の全部を譲渡する」旨の条項を定めることにより、著作権を構成する複製権等の支分権を個別に特定しなくても、支分権の全てが譲渡人から譲受人に移転する。」です。

【基礎知識】

著作権の基本的な事項が問われている問題です。

今回の問題で問われている論点を中心に整理します。

〇著作者は誰か

・創作する者が著作者となります。従業員が職務上作成する著作物は、契約、就業規則等に特段の定めがなければ使用者が著作者となります。

〇著作権の移転

・著作権は移転が可能です。複製権など一部の権利を移転することも可能です。

・移転の際の注意点として、翻訳権、二次的著作物の利用に関する原著作者の権利については、移転契約の中に書き込まないと移転されません(著作権法では、記載がない場合は著作者に残るとされています)。

・著作権独特のライセンスとして著作物を出版する出版権があります。

  

※平成27年から紙媒体以外の電子書籍にも出版権の設定が可能となりました。→海賊版の差止請求等が可能に

選択肢1. 契約によって「著作権の全部を譲渡する」旨の条項を定めることにより、著作権を構成する複製権等の支分権を個別に特定しなくても、支分権の全てが譲渡人から譲受人に移転する。

誤り。翻訳権等、一部の権利は移転契約で明確にしないと著作者に留保(権利が残る)されます。

選択肢2. 著作権法上、職務上作成する著作物の著作者は、雇用契約等で別途規定しない限り使用者であるから、使用者が法人であっても著作者人格権に基づき当該著作物の改変行為の差止めを請求できる。

正しい。原則著作権は使用者(法人)にあります。著作権がありますので、当然著作人格権もあります。

選択肢3. 電子書籍の出版権者は、電子書籍の公衆送信権のみを専有するにとどまるが、海賊版業者が違法配信目的で電子書籍の複製を行う行為の差止めを請求できる。

正しい。平成27年の改正内容です。出版権に新たに電子書籍が加わりました。

選択肢4. わが国の著作権法上、リバース・エンジニアリングがプログラムの著作物の著作権を侵害するか否かについては議論があるが、これを禁止する条項をソフトウェアの使用許諾契約で定めることは可能である。

正しい。リバースエンジニアリングとは、すでに公開されている製品、プログラムを購入し、中身を分析して設計図、ソースコードなどを明らかにしていくことを指します。無断で製品に使用したりすると、著作権法に抵触する可能性もあります。しかし、ソフトウェアでの使用許諾で制限することは可能です。

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