中小企業診断士の過去問
平成27年度(2015年)
経営法務 問22
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問題
中小企業診断士試験 第1次試験 経営法務 平成27年度(2015年) 問22 (訂正依頼・報告はこちら)
A株式会社(株券発行会社ではない。以下「A社」という。)は、その発行株式の全部について譲渡による取得に取締役会の承認を要する旨、定款で定めているが、A社が相続人に対してその取得したA社株式をA社に売り渡すことを請求できる旨の定款規定は存在しない。
A社を弟の専務X1とともに創業し、A社の発行済株式の3分の2(以下「甲株式」という。)を保有する社長甲は、甲とZ(故人。甲と婚姻関係を有したことはない。)との間で出生した長女であるYに「その所有に属する遺産全部を遺贈する」旨の自筆遺言証書を作成した。甲の死後、甲の遺言書が自宅で発見され、家庭裁判所で甲の長男X2(亡妻との間の子)の立ち会いの下、検認の手続が行われた。甲の子はX2とYの2名だけである。
この場合、甲株式の法律関係に関する記述として最も適切なものはどれか。なお、遺言執行者の指定、推定相続人の廃除及び相続人と受遺者間の合意はいずれも存在せず、甲株式以外の相続財産、相続債務、寄与分及び特別受益についても考慮しないものとする。
A社を弟の専務X1とともに創業し、A社の発行済株式の3分の2(以下「甲株式」という。)を保有する社長甲は、甲とZ(故人。甲と婚姻関係を有したことはない。)との間で出生した長女であるYに「その所有に属する遺産全部を遺贈する」旨の自筆遺言証書を作成した。甲の死後、甲の遺言書が自宅で発見され、家庭裁判所で甲の長男X2(亡妻との間の子)の立ち会いの下、検認の手続が行われた。甲の子はX2とYの2名だけである。
この場合、甲株式の法律関係に関する記述として最も適切なものはどれか。なお、遺言執行者の指定、推定相続人の廃除及び相続人と受遺者間の合意はいずれも存在せず、甲株式以外の相続財産、相続債務、寄与分及び特別受益についても考慮しないものとする。
- X2は、Yに対して遺留分減殺請求権を行使すれば直ちに、甲株式のうち、自らの遺留分を保全するのに必要な限度の株式数を単独で取得することができる。
- X2は、遺留分減殺請求により甲株式につき権利を取得した場合、Yの同意を得たうえで、権利行使者をX2と指定してA社に通知すれば、単独で株主権を行使することができる。
- Yが甲株式についての権利を取得するためには、その取得についてA社に承認の請求を行い、A社取締役会による承認の決定を得ることが必要である。
- Yに対して、X1は相続財産の3分の1、X2は相続財産の2分の1の割合で、各自遺留分減殺請求権を行使することができる。
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この過去問の解説 (2件)
01
金銭債権のような可分債権とは異なり、株式の場合、共有状態にあります。
遺産分割手続きを経ない限り、単独で取得するとは言えません。
2.◯:X2はYの同意を得た上で、権利行使者をX2と指定し、通知すれば単独での行使が可能です。
3.✕:譲渡制限株式であっても、相続の場合、承認決定は不要です。
4.✕:X1はもともと相続人でなく、また兄弟姉妹には遺留分は認められていません。
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02
正解は、「X2は、遺留分減殺請求により甲株式につき権利を取得した場合、Yの同意を得たうえで、権利行使者をX2と指定してA社に通知すれば、単独で株主権を行使することができる。」です。
【基礎知識】
相続の知識が問われています。
相続の基本です。配偶者は必ず相続対象となります。他の相続の対象は第3順位まであり、優先順位の高い人がいない場合のみ、次の順位に相続権が移ります。よって、相続は配偶者+第〇順位という形になります。
・相続人の種類・順位は?
配偶者 → 常に相続人
内縁の妻・夫 → 相続人にならない
子供(嫡出子) → 第1順位
子供(非嫡出子) → 認知されていれば第1順位
直系尊属 → 第2順位
兄弟姉妹 → 第3順位
※上位の順位がいれば、その下位順位には相続はありません。
相続の割合も決まっており、
<配偶者+第1順位の場合>
配偶者:1/2
第1順位の全員分:1/2
<配偶者+第2順位の場合>
配偶者:2/3
第2順位全員分:1/3
<配偶者+第3順位の場合>
配偶者:3/4
第3順位全員分:1/4
となります。
・遺言があった場合
遺言があると、原則その通りに相続されますが、相続人には最低限の相続財産が保証されており、これを遺留分と言います。
遺言により遺留分に満たない場合、遺留分を請求することができます(遺留分減殺請求権)。遺留分減殺請求は旧民法の権利で、現在は、遺留分侵害額請求に変更されています。
遺留分減殺請求では、相続したものに対する請求権であったため、土地など分けにくいものもあり、共有関係になるケースがありました。
遺留分侵害額請求では、相応の金銭を請求する権利となり、共有状態を回避することができます。
誤り。遺留分減殺請求権では株式数で割ることができず、相続した2/3の株式を共有することになります。遺留分侵害額請求では、金銭で支払うことが可能になりました。
正しい。まだきっちりと株式の承継ができていませんので、共有状態となります。共有状態の場合は、その過半数の合意があれば、決することができます。Yが合意し、A社に通知すれば、会社法上、単独の株主権の行使が可能です。譲渡には取締役会の承認が必要な譲渡制限会社ですが、相続については承認不要となります。
誤り。相続については取締役会の承認は不要となります。
誤り。x1は兄弟姉妹で第3順位です。第1順位の子がいるため、相続対象外です。
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