中小企業診断士の過去問
平成28年度(2016年)
企業経営理論 問9

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問題

中小企業診断士試験 第1次試験 企業経営理論 平成28年度(2016年) 問9 (訂正依頼・報告はこちら)

競争優位の源泉を分析するには、バリュー・チェーン(価値連鎖)という概念が有効である。バリュー・チェーンに関する記述として、最も適切なものはどれか。
  • 差別化の効果は、買い手が認める価値と、自社のバリュー・チェーンのなかで作り出した特異性を生み出すためのコストが同水準になった時に最大化する。
  • バリュー・チェーン内で付加価値を生み出していない価値活動に関して、アウトソーシングなどによって外部企業に依存する場合、企業の競争力を弱めてしまう。
  • バリュー・チェーンの各々の価値活動とともに、それらの結び付き方は、企業の独特な経営資源やケイパビリティとして認識することができる。
  • バリュー・チェーンの全体から生み出される付加価値は、個別の価値活動がそれぞれ生み出す付加価値の総和であり、各価値活動の部分最適化を図っていくことが、収益性を高める。

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この過去問の解説 (2件)

01

1は、自社のバリューチェーンの中で作り出した付加価値の総和と、買い手が認める価値が同水準になった時に、最大化します。
2は、付加価値を生み出していない価値活動をアウトソースすることで、競争力を高めることが可能です。
3は、正しいです。
4は、各価値活動の部分最適化では無く、全体最適化を図ることが重要です。

よって、3.が正解です。

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02

正解は「バリュー・チェーンの各々の価値活動とともに、それらの結び付き方は、企業の独特な経営資源やケイパビリティとして認識することができる。」です。

【基礎知識】

競争戦略をとるにあたり、一体自社のどこに競争力の源泉があるのかを分析する手法の一つがポーターのバリュー・チェーンという考え方です。

バリュー・チェーンでは企業活動を製品の提供に直結したり、業界の競争力を左右するような活動を含む「主活動」とそれを補完する「支援活動」に分かれます。

〇主活動:購買物流、製造、出荷物流、販売・マーケティング、サービス

〇支援活動:全般管理、人事・労務管理、技術開発、調達活動

企業活動はこれらの活動の付加価値が連なり、最終全体的な価値となると考えています。付加価値を生む活動が多いと競争力の源泉になります。また、それぞれの活動を個別最適ではなく、全体最適となるように設計し、バリュー・チェーンが創出する付加価値を高めていきます。

選択肢1. 差別化の効果は、買い手が認める価値と、自社のバリュー・チェーンのなかで作り出した特異性を生み出すためのコストが同水準になった時に最大化する。

誤り。買い手の認める価値>自社のコストとなったときに差別化効果が最大化されます。

選択肢2. バリュー・チェーン内で付加価値を生み出していない価値活動に関して、アウトソーシングなどによって外部企業に依存する場合、企業の競争力を弱めてしまう。

誤り。付加価値を少しでも生み出すことが重要ですので、生み出していないものを外に出すことは有益です。

選択肢3. バリュー・チェーンの各々の価値活動とともに、それらの結び付き方は、企業の独特な経営資源やケイパビリティとして認識することができる。

正しい。ケイパビリティとは組織力のことです。単に各バリュー・チェーンの特異性のみでなく、その結びつき方も企業の競争力になります。

選択肢4. バリュー・チェーンの全体から生み出される付加価値は、個別の価値活動がそれぞれ生み出す付加価値の総和であり、各価値活動の部分最適化を図っていくことが、収益性を高める。

誤り。バリューチェーンは一つ一つを最大化するのではなく、チェーン全体をとおして価値を最大化することに意味があります。よって総和以上のものを引き出すために、個別最適ではなく、全体最適を図ります。

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