正解は「エレクトロニクス産業では、あらゆる分野の製品を生産し販売するという総花的な自前主義の戦略を見直して、事業分野の選択と集中を図り、電子部品サプライヤーとの垂直的統合を強化したため、事業分野の幅が狭くなり、グローバルな競争力が低下してきている。」です。
【基礎知識】
エレクトロニクス産業とは、冷蔵庫、エアコンなどの白物家電やスマホなどの通信機器、電子部品など幅広く電子を扱う危機を製造・販売する産業を言います。
2000年ごろまでは、日本経済を支えてきた日本のエレクトロニクス産業ですが、2000年を超えたころから凋落が始まります。
凋落には以下の要因があったと言われています。
・製造のモジュール化・デジタル化
・製品のコモディティ化
モジュール化は、製品全体を一社が部品からすべて作り上げる仕組みから、各部品に専門化した企業より部品を購入し、最終別の企業が組み上げるという製造の方法へ転換を促進しました。
アナログでは製造手法そのものに難しさもあったのですが、デジタル化により、製造自体に熟練の技などが不要になったこともモジュール化を推し進めました。
日本は関係企業とのすり合わせで商品を作ってきましたが、部品間のインターフェイスが統一され、モジュール化が進むことでこういった日本の強みが優位性を生み出さなくなっていきました。
テレビなど発展途上国でも多く使われ始め、製品のコモディティ化が進みました。上記のモジュール化・デジタル化も手伝って、今までにない機能を備える商品よりもすでにある機能を低価格で備える商品に消費が向きました。この変化に適応しきれず、日本のエレクトロニクス産業は低下していったと言われています。
選択肢1. エレクトロニクス産業では、あらゆる分野の製品を生産し販売するという総花的な自前主義の戦略を見直して、事業分野の選択と集中を図り、電子部品サプライヤーとの垂直的統合を強化したため、事業分野の幅が狭くなり、グローバルな競争力が低下してきている。
誤り。自前戦略を見直して、選択と集中を図るのはコスト集中戦略にあたり、競争力が低下すると言えません。
日本電産などモーターに絞り込んだ戦略で成長を続けています。
選択肢2. エレクトロニクス産業では、安価な電子部品をグローバルに調達して、それらを組み合わせた製品が多くなるにつれて、部品から製品までの一貫生産がコスト競争のうえから不利になっている。
正しい。すり合わせ型からモジュール化による変化で低価格化進みました。
選択肢3. エレクトロニクス産業では、競争優位の構築を目指しながらも、互いに同質的な戦略を展開しながら、技術進歩や製品開発を促進してきたが、電子技術を一方向に収斂させる傾向が強まり、多機能を搭載した類似製品の競争に陥りがちになっている。
正しい。製品のコモディティ化です。似たような機能を低価格で供給する競争に変化しました。
選択肢4. エレクトロニクス産業では、先発企業が自社技術を武器に市場シェアを獲得していても、後発企業が安価な部材をグローバルに調達し、技術的にほぼ同等な製品で価格訴求力を武器に先発企業のシェアを奪うことが多くなっている。
正しい。アナログからデジタル化への製品の変更により、アナログの生産で必要となった熟練などが不要になり、経験曲線効果が利かなくなりました。