中小企業診断士の過去問
平成28年度(2016年)
企業経営理論 問13

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問題

中小企業診断士試験 第1次試験 企業経営理論 平成28年度(2016年) 問13 (訂正依頼・報告はこちら)

次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。

ものづくりに強みをもつといわれているわが国の製造業であるが、近年大きな変化が見られるようになってきた。①エレクトロニクスメーカー各社の苦境が伝えられており、エレクトロニクスメーカー各社では、事業分野の再構築を図る動きが活発である。
自動車産業では、国内市場が縮小するなか、グローバルな競争に対応すべく生産拠点の海外移転や現地での研究開発の展開など大きな変化が見られる。また、②自動車のモジュール生産が本格化してきており、系列による垂直統合型の生産に変化が起こっている。さらに、環境対応技術や自動運転技術の開発が進むにつれて、自動車産業のサプライヤーにも技術の変化への対応が求められるようになっている。

文中の下線部②のわが国における自動車のモジュール生産の進展とそれにともなう生産体制の変化に関する記述として、最も適切なものはどれか。
  • モジュール生産の進展にともなって、アジア域内の現地中堅サプライヤーが生産するエンジンやパワートレイン等の大型のモジュール部品を一か所に集約して、そこからアジアの生産拠点に供給する配送システムが構築されている。
  • モジュール生産の進展にともなって、車種間でのプラットフォームの統合を進めて、生産の規模の経済や部品や設備の共通化による生産コストの低減が行われるようになっているが、一次サプライヤーの供給する部品点数は変わらない。
  • モジュール生産の進展にともなって、車種間で共用化を進める基本部分と多様化のための可変的な部分を切り分ける生産体制がとられるようになるにつれて、サプライヤーはこのような生産体制に柔軟に対応する部品供給が求められるようになった。
  • モジュール生産の進展にともなって、部品間の擦り合わせの頻度が高まってくるので、組立メーカーでは完成車組立工場の敷地内にサプライヤーを集積させたサプライヤー・パークを設ける例がみられるようになった。

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この過去問の解説 (2件)

01

モジュール生産の進展にともなって、車種間で共用化を進める基本部分と多様化のための可変的な部分を切り分ける生産体制がとられるようになるにつれて、サプライヤーはこのような生産体制に柔軟に対応する部品供給が求められるようになった。」が正解です。

選択肢1. モジュール生産の進展にともなって、アジア域内の現地中堅サプライヤーが生産するエンジンやパワートレイン等の大型のモジュール部品を一か所に集約して、そこからアジアの生産拠点に供給する配送システムが構築されている。

配送において、大型モジュール部品を一か所に集約する必要性はありません。

選択肢2. モジュール生産の進展にともなって、車種間でのプラットフォームの統合を進めて、生産の規模の経済や部品や設備の共通化による生産コストの低減が行われるようになっているが、一次サプライヤーの供給する部品点数は変わらない。

部品の共通化によって、一次サプライヤーの供給する部品点数が減少します。

選択肢3. モジュール生産の進展にともなって、車種間で共用化を進める基本部分と多様化のための可変的な部分を切り分ける生産体制がとられるようになるにつれて、サプライヤーはこのような生産体制に柔軟に対応する部品供給が求められるようになった。

正しいです。

選択肢4. モジュール生産の進展にともなって、部品間の擦り合わせの頻度が高まってくるので、組立メーカーでは完成車組立工場の敷地内にサプライヤーを集積させたサプライヤー・パークを設ける例がみられるようになった。

部品間のすり合わせの頻度は減ります。

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02

正解は「モジュール生産の進展にともなって、車種間で共用化を進める基本部分と多様化のための可変的な部分を切り分ける生産体制がとられるようになるにつれて、サプライヤーはこのような生産体制に柔軟に対応する部品供給が求められるようになった。」です。

 

【基礎知識】

 

生産のモジュール化についてです。

日本はインテグラル型(すり合わせ型)と呼ばれる生産手法がメインでした。これは部品間で問題が起こると、部品を作った部署が集まり、連携しながら問題を解決していく手法で、日本の強みとなっていました。

 

これに対し、欧米を中心に1990年代から進めているのがモジュール型です。

 

これは、部品のまとまりを作り、まとまり間の関連性が低いところで生産を区切る方法です。

 

一定のまとまりの生産を1社で組み上げるため、その中でのトラブルは1社の中で解決することができます。

 

当初、日本では部品を自動車メーカー以外のメーカーが製造する仕組みとなっていたや自動車メーカーと部品メーカーの賃金が大きく変わらないことや部品メーカーの製品が自動車メーカーからブラックボックスになることもあり、モジュール化には積極的ではありませんでした。

ただ、モジュール化がなんらかのイノベーションを起こす可能性があることなどから、部品メーカーを協力したりするなど、日本風のモジュール化が進んでいます。

選択肢1. モジュール生産の進展にともなって、アジア域内の現地中堅サプライヤーが生産するエンジンやパワートレイン等の大型のモジュール部品を一か所に集約して、そこからアジアの生産拠点に供給する配送システムが構築されている。

誤り。モジュール化はそれぞれの部品メーカーが自由に製造し、自由に企業に販売していくことがメリットです。わざわざ配送を統合化する必要はありません。

選択肢2. モジュール生産の進展にともなって、車種間でのプラットフォームの統合を進めて、生産の規模の経済や部品や設備の共通化による生産コストの低減が行われるようになっているが、一次サプライヤーの供給する部品点数は変わらない。

誤り。一次サプライヤーの部品点数は減少します。

選択肢3. モジュール生産の進展にともなって、車種間で共用化を進める基本部分と多様化のための可変的な部分を切り分ける生産体制がとられるようになるにつれて、サプライヤーはこのような生産体制に柔軟に対応する部品供給が求められるようになった。

正しい。記載の通りです。

選択肢4. モジュール生産の進展にともなって、部品間の擦り合わせの頻度が高まってくるので、組立メーカーでは完成車組立工場の敷地内にサプライヤーを集積させたサプライヤー・パークを設ける例がみられるようになった。

誤り。モジュール化によって部品のすり合わせの頻度は減少します。

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