中小企業診断士の過去問
平成28年度(2016年)
企業経営理論 問17

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問題

中小企業診断士試験 第1次試験 企業経営理論 平成28年度(2016年) 問17 (訂正依頼・報告はこちら)

わが国の自動車産業におけるリーン生産方式への関心の高まりとともに、チームごとにタスクを振り分け、多能工化した作業員が自律的に職務を行うチーム型作業組織が注目されてきた。官僚制的統制とは異なる組織原理を持ったチーム型作業組織に期待される効果に関する記述として、最も適切なものはどれか。
  • 1人1タスクの原則に基づいて、グローバル化や情報化の進展など、経営環境の変化に対する迅速かつ適切な対処能力がある。
  • 自律的な調整のための積極的な参加が求められるため、メンバー間のコミュニケーションが活発になり、互いに助け合いながら共同することによる労働生活の質(QWL)の向上が期待できる。
  • 多能工化した職務は、自律的に働くことを好まない労働者に対して、複数の技能を獲得することによる職務の充実と、より高度な仕事へコミットすることによる心理的満足をもたらす。
  • チーム型作業組織は、経営者の視点から見た企業の競争優位の源泉としてではなく、労働者が自主的な管理の権限を取得し職務満足へとつなげていく活動としてとらえられる。

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この過去問の解説 (2件)

01

1は、多能工化を進めると1人マルチタスクとなります。
2は、正しいです。
3は、職務充実は、一つの業務において、裁量権の拡大など垂直的に権限を拡大させることで得られるものです。
4は、企業の競争優位の源泉となり得ます。

よって、2.が正解です。

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02

正解は、「自律的な調整のための積極的な参加が求められるため、メンバー間のコミュニケーションが活発になり、互いに助け合いながら共同することによる労働生活の質(QWL)の向上が期待できる。」です。

【基礎知識】

チーム型作業組織とは、プロジェクト的にメンバーのスキルを持ち合って少人数で課題を解決していく組織です。専門性を持つメンバーが相互に補い合って、特定の目標を追いかけますので、

・目標を達成しやすい

・メンバーが充実感を持って取り組める

・役割が明確

・イノベーションが起こりやすい

といった特徴があります。

一方で、

 ・プロジェクト外とのコミュニケーションが弱くなる

 ・チーム構築に時間がかかる

 ・規模を広げにくい

といったデメリットもあります。

今回の問題では、加えて作業員の多能工化を前提としています。つまり、作業員が色々なプロジェクトに関わることができ、より作業員の満足度やモチベーションの向上が期待できます。

選択肢1. 1人1タスクの原則に基づいて、グローバル化や情報化の進展など、経営環境の変化に対する迅速かつ適切な対処能力がある。

誤り。多能工化した作業員がチーム型作業組織に加わりますので、1タスクではなく、複数タスクを受け持つことになります。

選択肢2. 自律的な調整のための積極的な参加が求められるため、メンバー間のコミュニケーションが活発になり、互いに助け合いながら共同することによる労働生活の質(QWL)の向上が期待できる。

正しい。チーム型組織では自身の得意な業務で加わりますので、作業員の満足度、モチベーションが向上し、結果QWLが向上します。

選択肢3. 多能工化した職務は、自律的に働くことを好まない労働者に対して、複数の技能を獲得することによる職務の充実と、より高度な仕事へコミットすることによる心理的満足をもたらす。

誤り。職務の充実は垂直的(管理職業務を行うなど)な変化になります。チーム型組織では、得意な作業で水平的な変化が期待できますので、職務拡大となります。

選択肢4. チーム型作業組織は、経営者の視点から見た企業の競争優位の源泉としてではなく、労働者が自主的な管理の権限を取得し職務満足へとつなげていく活動としてとらえられる。

誤り。チーム型組織はイノベーション等も期待できますので、競争優位の源泉となりうる活動になります。

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