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中小企業診断士の過去問 平成28年度(2016年) 企業経営理論 問18

問題

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A社は技術者によって設立された中堅企業で、ハイテクエレクトロニクス製品を生産している。これまでマトリックス組織を採用して、既存製品のバージョンアップを通じて新製品を次々に市場に投入し成長してきた。この間、トップマネジメントは経営戦略を策定する際に、技術者であるプロダクトマネジャーから5年先までの投資計画と利益計画を毎年提出させ、彼らと対話することを通じてどの製品分野に予算を配分するかの全社的な投資決定をしてきた。一方、機能マネジャーには、複数の製品を生産するのに同じ工程技術が使えることなどから、原価計算を行い、その後に算定される利益率に応じて生産的経営資源を配分する権限を与えてきた。既存製品のバージョンアップによる新製品開発も成熟段階に達したため、既存のマトリックス組織のもとで、これまでの製品とは不連続な技術による新製品の事業化に乗り出した。この製品の利益率は既存の製品群に比べて高かったので、機能マネジャーは積極的に生産的経営資源を新規事業分野に配分し始めたが、この企業全体の利益率は低下してきている。
A社の全社的な利益率の低下の背後にあると考えられる問題に関する記述として、最も不適切なものはどれか。
   1 .
既存製品のバージョンアップが新製品に結びつく段階では有効に機能したマトリックス組織が、既存製品とは不連続な技術に基づく新規事業を遂行するには障害となった。
   2 .
既存製品のプロダクトマネジャーは5年計画を毎年提出していたため、トップマネジメントが近視眼的な学習に陥ってしまい、利益率の低い既存事業に投資を続けてしまった。
   3 .
機能マネジャーが、新製品の方が利益率が高いことを知りつつ、その全社的な投資戦略に対する意味をトップマネジメントに伝えなかったため、トップマネジメントが迷信的学習に陥ってしまった。
   4 .
機能マネジャーに生産的経営資源の配分権限を与えていたが、投資決定権限を与えていなかったために、機能マネジャーが傍観者的学習に陥ってしまい、企業全体として最適な資源配分ができなくなっていた。
( 中小企業診断士試験 第1次試験 企業経営理論 平成28年度(2016年) 問18 )
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この過去問の解説 (2件)

11
1、2、3は正しいです。
4の傍観者的学習とは、個人の学習成果が、組織行動に活用されず、個人が傍観者と化す状態を表しますので、誤りです。

よって、4.が正解です。

付箋メモを残すことが出来ます。
7

正解は、「機能マネジャーに生産的経営資源の配分権限を与えていたが、投資決定権限を与えていなかったために、機能マネジャーが傍観者的学習に陥ってしまい、企業全体として最適な資源配分ができなくなっていた。」です。

【基礎知識】

二次試験でも問われそうな問題です。与件(問題で与えられている情報)を丁寧に整理し、基本的な知識を踏まえて解答を導く力が求められています。

この企業の現状を整理します。マトリクス組織となっています。

・マトリックス組織

 (概要)事業部制と機能別組織の組み合わさった形態。例えば、営業部に属しながら、顧客別事業部にも属するような形態です。製造部門に属しながら、新製品開発のプロジェクトに参画するなどもできる。

 (メリット)

   ・プロジェクト組織に属することで、目標が明確化される

   ・人材等のリソースの有効活用が可能

   ・円滑な情報伝達が可能

 (デメリット)

   ・指示系統が複雑

   ・指示内容の矛盾、衝突

マトリクス組織はワンマンツーボスの体制となり、非常に指示系統が複雑になるのがデメリットです。

A社では、プロダクトマネジャーが取りまとめる製品ごとのラインと、機能マネジャーが取りまとめる、製造、営業といったラインのマトリクス組織になっていると考えられます。

プロダクトマネジャーは現行製品のバージョンアップが主な目的で、機能マネジャーは共通の機能の効率的な利用が主な目的となっています。

このマトリクス組織が既存製品をバージョンアップさせ、効率的に機能を運用して利益を上げるこれまでのビジネスモデルでは機能してきました。

プロダクトライフサイクルでは製品は導入期、成長期、成熟期、衰退期と必ず需要は減少に向かいます。A社ではそれをバージョンアップで生きながらえてきましたが、とうとう成熟してきたと記載されています。そして、ようやく新製品開発に乗り出したというのが、A社の現状です。

以上の記載から、利益率減少の直接的な原因は以下と考えられます。

 ・製品の成熟化による利益率の減

 ・新製品開発の遅れにより、既存製品の減退をカバーできていない

1点目はプロダクトライフサイクルからやむを得ない流れです。2点目はA社の運用に問題がありそうです。

選択肢1. 既存製品のバージョンアップが新製品に結びつく段階では有効に機能したマトリックス組織が、既存製品とは不連続な技術に基づく新規事業を遂行するには障害となった。

正しい。プロダクトマネジャーと機能マネジャーの両輪で、既存製品のバージョンアップと共通機能の有効活用によるコストダウン等で成長を引っ張ってきましたが、新規開発という新しい取り組みに適合できていません。

選択肢2. 既存製品のプロダクトマネジャーは5年計画を毎年提出していたため、トップマネジメントが近視眼的な学習に陥ってしまい、利益率の低い既存事業に投資を続けてしまった。

正しい。プロダクトライフサイクルを見据え、新製品開発をもう少し前から準備しておくべきですが、5年サイクルでのフォローなど、時間軸が甘かったことが遅れにつながっています。

選択肢3. 機能マネジャーが、新製品の方が利益率が高いことを知りつつ、その全社的な投資戦略に対する意味をトップマネジメントに伝えなかったため、トップマネジメントが迷信的学習に陥ってしまった。

正しい。機能マネジャーのミッションとして明確だったのかはわかりませんが、より幅広く状況を把握できる機能マネジャーが具申すべきでした。

選択肢4. 機能マネジャーに生産的経営資源の配分権限を与えていたが、投資決定権限を与えていなかったために、機能マネジャーが傍観者的学習に陥ってしまい、企業全体として最適な資源配分ができなくなっていた。

誤り。機能マネジャーは例えば製造において、A製品の製造に資源を配分する等の決定権限を持っています。今回は新製品開発という新たな分野への投資になりますので、もう少し上位での早期の意思決定が求められます。

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