中小企業診断士の過去問
平成28年度(2016年)
企業経営理論 問24
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問題
中小企業診断士試験 第1次試験 企業経営理論 平成28年度(2016年) 問24 (訂正依頼・報告はこちら)
労働契約に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- 使用者が、労働者との間で、労働基準法で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約を結んだ場合、労働基準法で定める基準より労働者に有利な部分も含めて、当該労働契約は無効となる。
- 使用者は、満60歳以上の労働者との間で、5年の契約期間の労働契約を締結することができる。
- 使用者は、労働契約の締結において、労働契約の不履行について違約金を定めることはできないが、労働者が使用者に損害を被らせる事態に備えて、損害賠償額を予定することはできる。
- 労働基準法は、使用者が労働者に金銭を貸すこと、及び貸金債権と賃金を相殺することを一律に禁止している。
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この過去問の解説 (2件)
01
労働基準法で定める基準より労働者に不利な部分が無効となり、労働契約全体が無効となるわけではありません。
項番2:適切です
記述の通りです。
項番3:不適切です。
実際に労働者が使用者に損害を被らせた場合は、損害賠償を起こすことは可能です。しかし、労働基準法においては、損害賠償額を予定することはできません。
項番4:不適切です。
使用者が労働者に金銭を貸すことは禁止されていません。
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02
正解は、「使用者は、満60歳以上の労働者との間で、5年の契約期間の労働契約を締結することができる。」です。
【基礎知識】
労働基準法はもともと会社側が雇用するのに有利な時代に、会社が無茶苦茶な雇用をしていたことを防止するためにできたこともあり、非常に働く側(労働者)を守るための法律になっています。
〇労働基準法の強行法的性質
そのため、労働基準法は労働契約よりも強い立場になっており、労働基準法の基準を満たさない労働契約は無効となります。また向こうになった部分については労働基準法の基準が適用されます。(通常民法では契約自由の原則があり、契約が優先されます)これを強行法的性質と言います。
〇契約期間等
労働者の意に反して、長期間の契約とならないように、契約期間に3年の上限があります。
ただし、以下の場合は5年でも可となっています。
・専門的知識等が必要な業務
・満60歳以上の場合
〇労働契約の禁止事項
労働契約も同様で、契約条件を会社が低い水準で強引に結んだり、労働することに縛り付けておくようなことを防ぐため、禁止事項を設けています。
①賠償予定の禁止
労働契約の不履行について違約金を定めたり、損害賠償を予定する契約をしてはならない。
(ただし、現実に生じた損害について賠償を請求することはできます)
②前借金相殺の禁止
労働を条件とする前借金等を賃金と相殺してはいけない。
(当内容は、あくまで”労働を条件とする”前借金と賃金の相殺を禁じるもので、使用者が労働者に金銭を貸すこと自体を禁じるものではありません)
③強制貯金の禁止と任意貯金
強制的に貯金させてはいけない。貯金を条件に労働者を束縛する可能性があるからです。
(労使協定を締結するなどの要件が整い、労働者の委託を受けて貯蓄金の管理をすることは可能です)
誤り。有利な部分は労働契約の条件が優先されます。不利な場合のみです。
正しい。労働契約期間の制限の対象外の1つです。
誤り。賠償予定は禁止となります。
誤り。“労働を条件とする”前借金と賃金の相殺は禁止事項となりますが、単に金銭そのものを貸し出すことを禁止しているわけではありません。
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