中小企業診断士の過去問
平成28年度(2016年)
企業経営理論 問30
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問題
中小企業診断士試験 第1次試験 企業経営理論 平成28年度(2016年) 問30 (訂正依頼・報告はこちら)
価格に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- Aさんは、ある家電専門店の店頭で5,000円のスマートフォンを目にした時、価格の安さに大きな驚きを感じた。その製品の詳細なスペック(仕様)を販売員に尋ね、購買に至った。これは「品質のバロメーター」としての価格が、消費者の購買意思決定を後押しした例である。
- 一物一価の原則は常に存在するわけではない。購買の行われるタイミングや季節、地域、顧客区分、あるいは需要の動向によって、価格はある程度柔軟に変更される。
- 演奏家向けのバイオリンの製作者であるBさんは、この数年、効率的に製作に取り組める工房を手に入れ、バイオリン1丁の生産に要する時間を1割程度削減した。そこで販売価格を1割下げたところ、受注が殺到している。これは価格のもつ「プレステージ」効果による。
- 消費者にとって、価格には複数の意味があるとされる。そのうちのひとつが「支出の痛み」である。どんなに価格を引き下げても消費者が購買に踏み切ることのできない状況を示すものである。
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この過去問の解説 (2件)
01
品質のパロメーターとしての価格とは、価格が品質を判断するための基準としての機能を持っている状態を指します。設問文の場合、Aさんは、金額に大きな驚きを感じながらも、最終的には販売員に仕様を訪ねた後、購買を決定していますので、品質のパロメーターとしての価格が後押しをしたわけではありません。
項番2:適切です。
記述の通りです。一物一価は経済学の概念ですが、現実世界ではタイミングや季節に応じて物の値段は柔軟に変更されます。
項番3:不適切です。
プレステージ効果とは、高い価格であること自体が商品価値を高めることを指します。設問文の例の場合、販売価格を下げたことで受注が殺到しているため、プレステージ効果ではありません。
項番4:不適切です。
支出の痛みとは、人が物を購入する際に、お金を支払うことそのものに対し、心が痛むことを指します。設問文の説明とは無関係です。
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02
正解は、「一物一価の原則は常に存在するわけではない。購買の行われるタイミングや季節、地域、顧客区分、あるいは需要の動向によって、価格はある程度柔軟に変更される。」です。
【基礎知識】
当問題は文章をよく読むことで回答が可能です。ですので、最低限押さえておきたい語句を説明します。
プレステージ効果:価格の高いもの=高品質=持っているとステータスが高い との考えを前提に、あえて価格を高くつけることでより販売量が増える効果です。どの商品でもいいわけではなく、ある程度ブランドや品質に対する認知も必要になります。
支出の痛み:同じ商品であれば、価格が安いほど効用が高くなるというもので、同じものを1万円で買うのと、5千円で買うのでは支出の痛みは5千円の方が小さいと考えられます。
誤り。価格が品質のバロメーターになっているということは、価格が高いと品質が高いと評価されることになります。品質が低いものと認識されているのに、消費が後押しされることはありません。
正しい。一物一価とは、特定時点における同一の財やサービスの価格はある前提条件のもとに一つしか成立しないとする経済法則です。 ある前提条件とは、情報の非対称性は存在せず、財やサービスのブランドなどの差別化は存在しないことです。実際は購買時点も変わりますし、情報の非対称性も存在し、価格はある程度柔軟に動くものと考えれられます。
誤り。プレステージ効果は「いいものは高い」が前提になっています。よって、価格が下がると需要も減少することになります。
誤り。支出の痛みとは、同じ商品であれば、価格が安いほど効用が高い、つまり価格の引き下げは支出の痛みを和らげます。
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