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中小企業診断士の過去問 平成28年度(2016年) 経営法務 問10

問題

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意匠法に規定される秘密意匠制度は、意匠登録出願人が、意匠権の設定の登録の日から3年以内の期間を指定して、その期間その意匠を秘密にすることを請求することができる制度である(意匠法第14条)。これは、先願により意匠権を確保しておく必要があるものの、直ちに当該意匠の実施を行わない場合に意匠公報が発行されることによる第三者の模倣を防止しようとする趣旨によるものである。
このような秘密意匠制度に関する記述として、最も適切なものはどれか。
   1 .
甲は、出願公開された特許出願を意匠登録出願に変更した。この場合、当該変更出願に係る意匠はすでに新規性を失っている。したがって、これを秘密にすべき利益を失っているため、甲は、その意匠登録出願について秘密にすることを請求することができない。
   2 .
乙は、本意匠Aとそれに類似する関連意匠Bを同日に意匠登録出願した。この意匠登録出願の際、乙は、Aのみを秘密にすることを請求していた。この場合、その期間が経過するまで、Bについても秘密にすべき利益を保護する必要が生じる。したがって、Bに係る意匠登録出願の願書に添付した図面の内容が意匠公報に掲載されることはない。
   3 .
丙は、意匠登録出願前に意匠が記載されたカタログを重要顧客に頒布した場合であっても、その意匠を秘密にすることを請求することができる。
   4 .
丁は、パリ条約の同盟国において意匠登録出願をした。その意匠が公報に掲載された後に、丁が日本国においてこの意匠登録出願に基づきパリ条約による優先権主張を伴う意匠登録出願をするときは、既に当該意匠を秘密にすべき利益を失っている。したがって、丁は、その意匠を秘密にすることを請求することができない。
( 中小企業診断士試験 第1次試験 経営法務 平成28年度(2016年) 問10 )
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この過去問の解説 (2件)

8

【正解3】

秘密意匠制度に関する質問です

[1]不適切

特許と意匠は保護対象が異なるため、出願公開された特許出願を意匠登録出願に変更したからといって、当該意匠を秘密にすべき利益を失っているわけではありません。よって、意匠登録出願について秘密にすることを請求できます。

[2]不適切

本意匠Aと関連意匠Bは別々の意匠となるため、同日に意匠登録出願しても、それぞれ秘密にすることを請求する必要があります。よって、本意匠Aのみを秘密にするよう請求した場合、関連意匠Bは意匠公報に掲載されることになります。

[3]適切

秘密意匠の請求条件には、意匠情報の公開状況における制約はないため、たとえ意匠登録出願前に意匠が記載されたカタログを重要顧客に頒布していたとしても、その意匠を秘密にするよう請求することは可能です。

[4]不適切

パリ条約の同盟国において意匠登録出願を行い、その意匠が公報に掲載された後に日本で意匠登録出願を行う場合、その意匠を秘密にするよう請求することが可能です(日本ではその意匠を秘密にする利益があるため)。

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1

秘密意匠制度に関する問題です。

選択肢1. 甲は、出願公開された特許出願を意匠登録出願に変更した。この場合、当該変更出願に係る意匠はすでに新規性を失っている。したがって、これを秘密にすべき利益を失っているため、甲は、その意匠登録出願について秘密にすることを請求することができない。

本選択肢では、出願公開された特許出願を意匠登録出願へと変更しています。特許と意匠では保護される対象が異なるため、出願した特許は公開されていても、意匠登録も公開されるかどうかは分かりません。したがって、意匠登録出願について秘密にすることを請求することができます。また、その意匠を秘密にすることを請求することができないという規定もありません

選択肢2. 乙は、本意匠Aとそれに類似する関連意匠Bを同日に意匠登録出願した。この意匠登録出願の際、乙は、Aのみを秘密にすることを請求していた。この場合、その期間が経過するまで、Bについても秘密にすべき利益を保護する必要が生じる。したがって、Bに係る意匠登録出願の願書に添付した図面の内容が意匠公報に掲載されることはない。

本意匠Aとそれに類似する関連意匠Bは、別々の意匠として扱われます。本意匠Aのみを秘密にすることを請求していたため、関連意匠Bが意匠公報に掲載されることがないとは言い切れません

「~されることはない」という言い切り表現が使われています。「果たして、そのように断言できるのか?」と違和感を感じることができれば、この選択肢は誤りの可能性が高そうだとして除外し易くなります。但し、全ての選択肢で言い切り表現を用いていることもありますので、他の選択肢の内容とも併せて正誤判断を行って下さい。

選択肢3. 丙は、意匠登録出願前に意匠が記載されたカタログを重要顧客に頒布した場合であっても、その意匠を秘密にすることを請求することができる。

正解の選択肢となります。

但し、重要顧客は意匠が記載されたカタログの内容を知っているため、重要顧客以外には秘密にしておく「新規性の喪失の例外規定」の適用を受ける必要があります。

選択肢4. 丁は、パリ条約の同盟国において意匠登録出願をした。その意匠が公報に掲載された後に、丁が日本国においてこの意匠登録出願に基づきパリ条約による優先権主張を伴う意匠登録出願をするときは、既に当該意匠を秘密にすべき利益を失っている。したがって、丁は、その意匠を秘密にすることを請求することができない。

パリ条約の同盟国においては意匠が公開されたとしても、日本国において既に当該意匠を秘密にすべき利益を失っているとは言い切れません。また、その意匠を秘密にすることを請求することができないという規定もありません

まとめ

【補足】

秘密にすべき利益を失っている」ため「秘密にすることを請求することができない」という表現も、複数の選択肢で用いられています。最終的には全ての選択肢を総合的に判断することになりますが、「最も適切なもの」を選択する設定になっているので、どちらも不適切ではないか?という推理を働かせることも有効です。もし、どちらかが最も適切な選択肢であった場合は、本問の難易度はかなり高いと思われます。

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