中小企業診断士の過去問
平成29年度(2017年)
企業経営理論 問20

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問題

中小企業診断士試験 第1次試験 企業経営理論 平成29年度(2017年) 問20 (訂正依頼・報告はこちら)

組織的知識創造プロセスとして、野中郁次郎が提唱するSECIモデルに関する記述として、最も適切なものはどれか。
  • SECIモデルにおける共同化ないし社会化(Socialization)とは、新入社員の研修活動を通じて組織文化に適応させることを意味し、組織メンバーとしての自覚を促すことによって社内での行動パターンを身につけさせることを促す。
  • SECIモデルにおける表出化(Externalization)とは、新製品のイメージなどが具体的な言葉によって新製品コンセプトとして表現されていくような、社会化を通じて獲得された暗黙知を形式知に転換するプロセスを意味する。
  • SECIモデルにおける内面化(Internalization)とは、実践を繰り返すことを通じて、内面化された知識を他者にも伝えていくことを意味する。
  • SECIモデルにおける連結化(Combination)とは、形式知と暗黙知が組み合わされることを通じて、すでに言語で表現されている既存の製品コンセプトが、新製品コンセプトへ転換されていくことを意味する。

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この過去問の解説 (2件)

01

正解は2です。

SECI(セキ)モデルに関する問題です。「暗黙知」を「形式知」にして全社的に共有していくものです。「共同化(暗黙知から暗黙知)→表出化(暗黙知を形式知に変える)→連結化(形式知と他の形式知を組み合わせる)→内面化(組み合わせれた形式知が自分のものとなり新しい暗黙知が生まれる」のステップとなります。

各選択肢については、以下の通りです。

1→共同化は暗黙知から暗黙知を共有する段階なので、新入社員の研修のような形式知されたものではありません。

2→正しいです。表出化は暗黙知を具体的な言葉によって表現するような形式知に転換することです。

3→内面化とは形式された暗黙知が他社に伝えるものではなく、自分の中で新しい暗黙知が生まれるものです。

4→連結化とは形式知と形式知が組み合わせるものです。

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02

【基礎知識】

正解は「SECIモデルにおける表出化(Externalization)とは、・・・」です。

SECIモデルとは、個人が持つ経験や知識で暗黙知となっているものを組織的に管理し、形式知に変換するための理論です。形式知を変換した後、組織はさらに形式知を組み合わせて新たなナレッジを生み出すとしています。

この考えは“ナレッジマネジメント”の基礎となりました。

SECIモデルは知を管理・共有していくために、4つのプロセスを定義しています。

SECIとは4つのプロセスの頭文字となります。

・共同化(社会化(Socialization))プロセス:暗黙知を暗黙知で他者に伝える 

経験を通して暗黙知を他者に移転させるプロセス。まだ形式知化されていないため、体を動かしたり五感を活かしたりして知識を共有する。

・表出化(Externalization)プロセス:暗黙知を形式知化する 

個人が所有している暗黙知を言葉に出し、共有するプロセス。言語化や図や文章で示すことで知識を形式知化。主観的な知識を共有する共同化に比べ、表出化は客観的かつ論理的に他者に伝えられます。

 

・連結化(Combination)プロセス:形式知を組み合わせ、新たな知を創造

表出された形式知に異なる形式知を組み合わせることで、新たな知を創造するプロセス。マニュアルや共有されたノウハウを、アレンジし、新たなアイデアや知識を生み出します。

 

・内面化(Internalization)プロセス:新たな知を暗黙知化して取り込む

新たに得た形式知を反復練習して体に染み込ませるプロセス。連結化プロセスで見出された新たなアイデアを実践して暗黙知に変化させます。

また、それぞれのプロセスを実践するために適した場があるとされています。

・創発場:休憩室やランチ会など、気軽な場での会話から知識を交換 →共同化プロセス

・対話場:ミーティングなど、本格的なディスカッションを通じた知識の共有 →表出化プロセス

・システム場:ナレッジマネジメントツールなどで、お互いの形式知を結合化 →連結化プロセス

・実践場:自身の作業スペースで反復練習し、新たに得た形式知を暗黙知へと変換 →内面化プロセス

選択肢1. SECIモデルにおける共同化ないし社会化(Socialization)とは、新入社員の研修活動を通じて組織文化に適応させることを意味し、組織メンバーとしての自覚を促すことによって社内での行動パターンを身につけさせることを促す。

誤り。共同化は暗黙知→暗黙知です。暗黙知をOJTなどで暗黙知として他人に移すプロセスです。新人研修はテキストなど形式知化した内容と考えられますので誤り。

選択肢2. SECIモデルにおける表出化(Externalization)とは、新製品のイメージなどが具体的な言葉によって新製品コンセプトとして表現されていくような、社会化を通じて獲得された暗黙知を形式知に転換するプロセスを意味する。

表面化は暗黙知→形式知です。正しい。

選択肢3. SECIモデルにおける内面化(Internalization)とは、実践を繰り返すことを通じて、内面化された知識を他者にも伝えていくことを意味する。

誤り。内面化は新しい知→暗黙知です。選択肢は暗黙知を暗黙知として取り込んでいますので共同化です。

選択肢4. SECIモデルにおける連結化(Combination)とは、形式知と暗黙知が組み合わされることを通じて、すでに言語で表現されている既存の製品コンセプトが、新製品コンセプトへ転換されていくことを意味する。

誤り。連結化は形式知→新しい知です。連結化は形式知同士が組み合わさて新しい知ができますので、誤り。

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